霧島の中では、
・行灯先生は医鷲旗の優勝決定戦を見に行っていた。
・そこで魔人と賭けをして、将軍が負ける方に賭けた。
というのがデフォルトです。
「遠方より来たるあり・3」でもそんな話をしています。
今回はそのあたりの話。
NHK衛星第二でやってた「オペラ座の怪人」をちょっとだけ見て、愚痴外来オペラ座妄想をやってみたのですが、挫折しました。
何故かって
怪人=カッコいいけどイカレ気味でフラレ役
子爵=ヒロインとくっつくけどヘタレ
このアンビバレンツ! 誰を何処に振るか、非っ常に悩みませんか?
これを乗り越えてオペラ座妄想をやった方、是非霧島を招待して下さい。尊敬します。
・行灯先生は医鷲旗の優勝決定戦を見に行っていた。
・そこで魔人と賭けをして、将軍が負ける方に賭けた。
というのがデフォルトです。
「遠方より来たるあり・3」でもそんな話をしています。
今回はそのあたりの話。
NHK衛星第二でやってた「オペラ座の怪人」をちょっとだけ見て、愚痴外来オペラ座妄想をやってみたのですが、挫折しました。
何故かって
怪人=カッコいいけどイカレ気味でフラレ役
子爵=ヒロインとくっつくけどヘタレ
このアンビバレンツ! 誰を何処に振るか、非っ常に悩みませんか?
これを乗り越えてオペラ座妄想をやった方、是非霧島を招待して下さい。尊敬します。
医鷲旗大会が終わった後、速水の力はどっと抜けてしまった。
表彰台の上で清川と振りまいた愛想が、最後のエネルギーだったらしい。
観客はゾロゾロと帰っていく、他の学校も帰り支度をしている、東城大の剣道部員たちは会場の撤収を手伝っている……ザワザワした空気を遠くに聞きながら、速水は男子更衣室でぼんやりと座り込んでいた。
そこへ、小さな軋みを立ててドアが開く。
「失礼しまーす……速水?」
遠慮がちな声と共に、ロッカーの並びを抜けて顔を出したのは田口だった。速水の姿を見つけて瞬間顔を輝かせるが、すぐに沈んだ表情になる。
「何だよ?」
「お前の後輩たちから、行ってやってくれって言われたんだけど……俺、いない方がいいか?」
「いや、いい」
速水が頷くと、田口は曖昧に頷いて速水の前に座った。ロッカーの並んだ狭い通路では、膝がぶつかるような距離だ。
「…………惜しかったな」
「ああ」
「悔しい?」
「ん――――あんまり……何か力が抜けちまっただけ」
「そっか」
田口の口調はいつも通りにのんびりだ。
男子更衣室内にぽつりぽつりと声が落ちる。
余りの静けさに居た堪れなくなるのは速水の方で、床のリノリウムの繋ぎ目を見ていた速水は視線を上げて苦笑を浮かべた。
「カッコ悪いとこ見せたな」
「そんなことないよ」
田口は笑う。
膝で距離を詰めて、田口の方から速水に触れた。指先が速水の髪を掠める程度の触れ合いに癒される。
「お前はカッコよかったよ、速水。どんな選手よりもカッコよかった」
「そっか」
田口が甘い声で言うので、速水は田口の腰を抱き寄せた。田口は解っていたようで、特に慌てる様子もなく、速水の髪をゆっくりと撫でてくれる。
田口の首筋に鼻を埋めると僅かに汗の匂いがした。観客席も暑かったのだろう。
「なあ、何か食いたいモンあるか? 奢るよ。それとも何か作る?」
速水に懐かれたまま田口はそんなことを言い出した。
励ましのつもりなのだろう、その気持ちが素直に嬉しいと思う。自分が負けたことはこの際関係なくなった。
その気持ちを速水は正直に口にする。
「お前がいいな」
「…………俺は食いモンじゃないぞ」
「訊いたお前が悪い。打ち上げ終わったら行くから……ダメ?」
「仕方ないなぁ」
田口は溜息と共に呟いて、小さなキスを一つくれた。
それがOK代わりなのは、言われなくても解った。
ところで、二日後の学生食堂。
合宿で疎かにしたレポートの穴埋めをする為に来たくもないのに大学に来ていた速水は、こちらは進んで勉強すべく大学に来ていた島津と遭遇した。
折しも飯時で、島津の前には冷たいわかめうどんの盆がある。
速水は首を傾げた。
「何だよ、今月苦しいのか?」
うどん単品は安い。学食で一番安価なメニューだ。
そして健全な金銭感覚の持ち主である島津は、滅多に生活苦には陥らない。
島津は速水の疑問に顰め面で答えた。
「行灯に巻き上げられたんだよ」
「アイツが勝つなんてそれこそ珍しい。何賭けたんだ?」
田口が賭けで勝つなんて、島津の生活苦より珍しい。
当然ながら面白がって尋ねた速水だったが、島津には恨めしそうな顔を向けられてしまった。
「お前があの時負けたりしなけりゃ、ニトベは俺のモンだったんだぞ」
「え? 俺?」
速水が最近負けた事案。医鷲旗大会しかない。
あの時の観客席に田口がいたのは知っているが、島津もいたと考えるのは自然で、二人が自分の勝敗をネタに賭けをしても可笑しくはない。
そして、田口はあの時「奢る」と言った。
聞き流していたが、あれは「臨時収入があったから奢る」という意味だったのかもしれない。
「行灯のヤツ…………っ」
速水は唸ってしまった。
優しい慰めに舞い上がった分、騙された気分が強い。
こうなりゃしっかり返してもらおうと心に決めた。
「ヤな予感…………」
そして、夏の日に何故か寒気を感じた田口は、下宿で腕を擦るのだった。
表彰台の上で清川と振りまいた愛想が、最後のエネルギーだったらしい。
観客はゾロゾロと帰っていく、他の学校も帰り支度をしている、東城大の剣道部員たちは会場の撤収を手伝っている……ザワザワした空気を遠くに聞きながら、速水は男子更衣室でぼんやりと座り込んでいた。
そこへ、小さな軋みを立ててドアが開く。
「失礼しまーす……速水?」
遠慮がちな声と共に、ロッカーの並びを抜けて顔を出したのは田口だった。速水の姿を見つけて瞬間顔を輝かせるが、すぐに沈んだ表情になる。
「何だよ?」
「お前の後輩たちから、行ってやってくれって言われたんだけど……俺、いない方がいいか?」
「いや、いい」
速水が頷くと、田口は曖昧に頷いて速水の前に座った。ロッカーの並んだ狭い通路では、膝がぶつかるような距離だ。
「…………惜しかったな」
「ああ」
「悔しい?」
「ん――――あんまり……何か力が抜けちまっただけ」
「そっか」
田口の口調はいつも通りにのんびりだ。
男子更衣室内にぽつりぽつりと声が落ちる。
余りの静けさに居た堪れなくなるのは速水の方で、床のリノリウムの繋ぎ目を見ていた速水は視線を上げて苦笑を浮かべた。
「カッコ悪いとこ見せたな」
「そんなことないよ」
田口は笑う。
膝で距離を詰めて、田口の方から速水に触れた。指先が速水の髪を掠める程度の触れ合いに癒される。
「お前はカッコよかったよ、速水。どんな選手よりもカッコよかった」
「そっか」
田口が甘い声で言うので、速水は田口の腰を抱き寄せた。田口は解っていたようで、特に慌てる様子もなく、速水の髪をゆっくりと撫でてくれる。
田口の首筋に鼻を埋めると僅かに汗の匂いがした。観客席も暑かったのだろう。
「なあ、何か食いたいモンあるか? 奢るよ。それとも何か作る?」
速水に懐かれたまま田口はそんなことを言い出した。
励ましのつもりなのだろう、その気持ちが素直に嬉しいと思う。自分が負けたことはこの際関係なくなった。
その気持ちを速水は正直に口にする。
「お前がいいな」
「…………俺は食いモンじゃないぞ」
「訊いたお前が悪い。打ち上げ終わったら行くから……ダメ?」
「仕方ないなぁ」
田口は溜息と共に呟いて、小さなキスを一つくれた。
それがOK代わりなのは、言われなくても解った。
ところで、二日後の学生食堂。
合宿で疎かにしたレポートの穴埋めをする為に来たくもないのに大学に来ていた速水は、こちらは進んで勉強すべく大学に来ていた島津と遭遇した。
折しも飯時で、島津の前には冷たいわかめうどんの盆がある。
速水は首を傾げた。
「何だよ、今月苦しいのか?」
うどん単品は安い。学食で一番安価なメニューだ。
そして健全な金銭感覚の持ち主である島津は、滅多に生活苦には陥らない。
島津は速水の疑問に顰め面で答えた。
「行灯に巻き上げられたんだよ」
「アイツが勝つなんてそれこそ珍しい。何賭けたんだ?」
田口が賭けで勝つなんて、島津の生活苦より珍しい。
当然ながら面白がって尋ねた速水だったが、島津には恨めしそうな顔を向けられてしまった。
「お前があの時負けたりしなけりゃ、ニトベは俺のモンだったんだぞ」
「え? 俺?」
速水が最近負けた事案。医鷲旗大会しかない。
あの時の観客席に田口がいたのは知っているが、島津もいたと考えるのは自然で、二人が自分の勝敗をネタに賭けをしても可笑しくはない。
そして、田口はあの時「奢る」と言った。
聞き流していたが、あれは「臨時収入があったから奢る」という意味だったのかもしれない。
「行灯のヤツ…………っ」
速水は唸ってしまった。
優しい慰めに舞い上がった分、騙された気分が強い。
こうなりゃしっかり返してもらおうと心に決めた。
「ヤな予感…………」
そして、夏の日に何故か寒気を感じた田口は、下宿で腕を擦るのだった。
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COMMENT
わ~い
(^・^)11111番ふみました。う、うれすぃ。また、リクエストできるなんて。
明日、上京するのでうかれている私。
ということで厚生労働省の委員会に出席するため何度目かの上京。会議後、やっと念願のお上りさん羨望の六本木界隈をぶらつく田口先生。道でばったりあの人に…。というお話をお願いします。
あの人っていうのはもちろんあの人で。展開は霧島さんにおまかせです。よろしくお願いします。
明日、上京するのでうかれている私。
ということで厚生労働省の委員会に出席するため何度目かの上京。会議後、やっと念願のお上りさん羨望の六本木界隈をぶらつく田口先生。道でばったりあの人に…。というお話をお願いします。
あの人っていうのはもちろんあの人で。展開は霧島さんにおまかせです。よろしくお願いします。
Re:わ~い
お久し振りです。11111ヒットおめでとう御座います。
ろ、六本木ですって?
田舎者には難儀なリクエストを、そんな……っ。
ガイドブックと首っ引きだな。きっと大ウソ書くと思いますよ。
気長にお待ち下さいませ。
ろ、六本木ですって?
田舎者には難儀なリクエストを、そんな……っ。
ガイドブックと首っ引きだな。きっと大ウソ書くと思いますよ。
気長にお待ち下さいませ。