キスはその喉笛に

異種CP警報発令中。


えっとおぉ～～。将軍行灯でなく、悪魔と小天狗です。88年です。
そもそも何でこんなコトを考えたかと言えば、話はエイプリルフールに遡る。
エイプリルフールの大嘘カップリング候補の一つがこの二人だったのだ。ちなみに、も一つの候補は小児科のナイチンゲールとICUの爆弾娘の百合だった。
で、三者の比較検討の結果、一番霧島的に鳥肌立つほど有り得ない帝華の伏龍と東城の猛虎の組み合わせで嘘を吐いたワケです。
……裏を返せば、悪魔と小天狗の組み合わせは霧島的に「有り得ない……ワケ、では、ない……よなあぁ？」くらいの肯定だった。
だったらやってみようじゃないか、と。
そのくらいのかっるい気持ちですので、続きとか今後の展開とか、一切合財期待しないで下さい。有り得ないからっ！
前回に続き、メいっぱい「やおい」です。ヤマなしでオチなしでイミもない。
怖いものが見たい人はどうぞ、です。

「私はね、」

至近距離の瞳が囁いた。
外科医とは最高に因果な商売だ。生きた人間を切り刻むことを生業にする職業を、渡海は他に知らない。
だから手術中の外科医が鬼にも修羅にもなるのは解る。
だが、今目の前で笑う阿修羅が着ているのは術衣ではなく、手にしているのはメスではなく。
通勤用の半袖シャツにネクタイを締めて、高階は阿修羅の瞳で笑った。

「あなたのことが、大っ嫌いですよ」

煙草の味のした唇が、つれない事を言った。
キスして、笑って、大嫌いなんて、阿修羅の瞳で。
渡海は薄く笑って高階の顎に指を添わせた。
高階の瞳が次の展開を予想して笑う。

「俺もだよ」

唇に噛み付いて、血の香りを味わってから、唇を舐めるように囁いた。
食い破られた痛みとキツイ煙草の香りに高階が眉を顰める。
優秀で因業な指先で唇を辿る高階を見ながら、渡海は喉の奥で笑ったのだった。