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こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
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8500番ヒットの浅夜さまリクエストです。
キリ番ヒットおめでとう御座います。そしてリクエスト有難う御座います。


リクエストは「『過保護な男と協力者』の続き、将軍行灯←ゲリラ要素アリ」ということで。タイトルがそのままです。裏タイトルは「地雷原丸儲け」。
その他の人々強化月間にも入れていいかもしれないですね。地雷原とゲリラも参加ですし。
何だかありきたりな話になりましたが、読んでやって頂けると嬉しいです。

「どうぞお納め下さい」

差し出された箱を検分し、藤原看護師はゆっくりと息を吐いた。

「銘菓『辻が花』……素敵な選択ですこと」
「どうかよろしくお取り計らいのほどを……」
「心得ておりますわ」

ソファにかけた状態だったが、客人は両手を膝について深々と平伏する。
客人の旋毛を見ながら藤原看護師は薄く微笑んだ。
BGMはまさに「越後屋、お主も悪よのう」のテーマであった。



田口が不定愁訴外来に戻ってくると、中からコーヒーの香りがした。
予定にない来客に自然と田口の眉間に皺が寄る。予定外の来客は大概が鬱陶しい。白鳥しかり、兵藤しかり。
しかし奥の院で寛いでいたのは、懐かしい顔だった。

「彦根?」
「こんにちは、田口先輩」

ソファに座っていたのは田口の後輩である彦根だった。田口の顔を見て、座ったままちょこっと頭を下げる。
田口もちょこっと頷き返した。

「どうしたんだよ、突然」
「え――、母校が懐かしくなっちゃいけませんか?」
「お前がそんな可愛げのあるヤツか。何企んでるんだか……」

突然の来訪を当然疑問に思った田口だったが、彦根は軽口で交わす。
田口は苦笑を浮かべてしまったが、敢えて深くは尋ねなかった。
藤原看護師にコーヒーを差し出されたせいもある。

「田口先生、私ちょっと届け物があるので出てきますね」
「あ、はい」
「コーヒー御馳走様でした」

藤原看護師はコーヒーと共にそう告げた。彦根も愛想よく藤原看護師に礼を言った。藤原看護師は一つ笑い、ぱたんと軽い音とともに扉を閉めた。
眼鏡の奥の彦根の瞳が光るのに、田口は気付かなかった。
コーヒーを一口飲んで、ほぅっと息を吐く。腹に落ちる温度に緊張が緩んだ。

「田口先輩」
「え?」

彦根の声に、田口は顔を上げた。何時の間に近寄っていたのか、上から落ちる影に視界が暗くなって、田口は瞬間動けなくなる。
彦根の手が田口の手からマグカップを奪った。



「…………そろそろかしら」

腕時計とにらめっこをしていた藤原看護師は、徐に呟いて院内内線を取り上げた。暗記している内線番号をプッシュする。

「あ、藤原ですが。一大事ですよ、お急ぎになった方がよろしいんじゃないかしら?」

相手の反応を一切気に掛けず、それだけ言うと藤原看護師はさっさと電話を切った。怪訝そうな顔で藤原看護師を見る外来受付の看護師に、

「お邪魔様でした」

と温かみのある笑顔を向けて藤原看護師はその場を後にした。



「ちょ、何……んんっ」
「暴れないでよ、先輩。時間無いんですから。一寸の光陰軽んずべからず、ですよ」
「あ、どこ触って…………止めろ、おいっ!」

彦根の手が田口の身体をあちこち彷徨っている。舌は入れられなかったが、キスは避けきれなかった。鎖骨の上の皮膚の薄い部分にちりりと痛みが走る。
自分ではどうにもなりそうにない状況に、瞼の裏に思い描いた影は。

「は、や…………っ」

どすっ、と音がして、田口の上から影がどいた。
何度か瞬きして視点を合わせると、仁王立ちした速水が肩で息をしていた。先ほどまで田口の上にいた彦根は、床に座り込んでいる。

「お前か、彦根…………」
「ちぇ――、いいトコだったのになぁ」
「ぶぁっかヤロ、コイツに手ぇ出してただで済むと思うなよっ!」

速水は彦根を一つ怒鳴ると、田口を自分の傍に引き寄せて、彦根の視界から遮った。
彦根は床からのっそり立ち上がり、わざとらしく尻の埃を叩いて払う。
そのまましばらく無言の睨み合い。
先に視線を外したのは彦根の方だった。

「今日のところは退散しますよ。田口先輩また来ますから」
「来なくていい、来んなっ!」

彦根のセリフに速水が吠えるが、彦根は明るく笑ってするりと不定愁訴外来を抜けて行った。
大学構内を歩きながら、彦根は時計をちらりと見る。

「あの値段でこの時間だからぁ……うっわ、結構暴利だなぁ」

もっと値の張る貢ぎ物をしないと、長く二人きりにしてくれないらしい。想像だけで懐が寒くなりそうだ。
しかしそれでも、藤原看護師を懐柔しなければならないことは、彦根もよく知るところだった。
一方、不定愁訴外来に残された二人はというと。
一番外の扉がパタンと音を立てるのを聞いて、ようやく田口は肩の力を抜いた。

「助かった、速水……でもどうして?」
「藤原さんから、一大事だって電話があった。あんにゃろ……」
「藤原さん…………」

速水の言葉に田口は複雑な気分になった。
この事態を見透かされていたのかと思うと居た堪れない。が、助けてくれたのは事実なのだから、やはり何かの礼は必要だろう。
そんなことを考えている田口を緩く腕の中に囲い込みながら、速水は歯軋りした。
彦根のヤツも藤原看護師に貢ぎ物をしたに違いない。今回は常日頃の積み重ねがモノを言ったが、速水と言えど油断は出来ないということだ。
藤原看護師の思うツボなのが目に見えているが、田口の安全には代えられない。
取り敢えず今回の謝礼を考えなくては。

「…………速水?」
「何でもない。彦根に何処触られた?」

考え込んだ速水を怪訝に思い、腕の中の田口が首を傾げて見上げた。
そんな田口に小さく笑ってやると、田口は気まずそうに目線を逸らして小さな声で呟く。

「キスされて、あと首も…………」

鎖骨の上に刻まれた赤い痕。速水の感情はたちまち温度を上げる。
同じ場所にもっときつく噛みついて、しっかりと鬱血を作った。

「ん…………っ」

痛みに眉を顰めて眼を瞑る田口の顔が壮絶に色っぽい。感情の赴くまま田口にキスをして、たっぷりと舌を絡めた。田口もそれに応える。
田口の顎を伝う唾液を指で拭ってやりながら、改めて田口は誰にも譲れないと速水は思うのだった。
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ありがとうございます!!
キリバンに答えてくださって、凄い嬉しいです!霧島さんの将軍は嫉妬深くて、読んでて楽しいです^^この三人の組み合わせはなかなか無いので、面白かったです。
地雷原はもの凄く、儲かってますね(笑)まだまだいろんな方々から、もらってそうです。そしていつも被害に遭うのが行灯先生、というのがやっぱりたまりませんね!思わず、将軍にエールを送りたくなりました。

今後も素敵な将軍行灯小説を読むために、またサイト訪問したいと思います!
もう一回くらいキリバン踏みたいな~。
では、ありがとうございました。
浅夜 2009/06/22(Mon)20:31:01 編集
Re:ありがとうございます!!
いらっしゃいませ。
こちらこそ、リクエスト有難う御座いますデス。

裏タイトル通り、地雷原丸儲けです。ゲリラから賄賂、将軍と行灯から謝礼……そしてどんどん値段が跳ね上がる。見事な贈収賄の連鎖。
将軍にエールを有難う御座います。これもある意味、将軍イジメだったかもしれない……。あ、でも、危機一髪のところを助けたんだから、行灯先生の中では将軍の株は更に上がったかも! よ、カッコいいっ!
またの御来訪を楽しみにしておりますね。ではではっ。
S.Kirishima 2009/06/22 21:19
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