7500番をヒットした黄月さまのリクエストです。
ヒットおめでとう御座います。そして報告とリクエスト有難う御座いました!
リクは「Three Moons' Accelの後日談」ということです。
当然ながら読み返したのですが、どうもこうバランスの悪い感じが拭いきれません。前半はディテールに凝り過ぎて、後半は駆け足気味というか……恥ずかしいなぁ、もう。
と、兎に角お読み頂ければ幸いで御座います。
ヒットおめでとう御座います。そして報告とリクエスト有難う御座いました!
リクは「Three Moons' Accelの後日談」ということです。
当然ながら読み返したのですが、どうもこうバランスの悪い感じが拭いきれません。前半はディテールに凝り過ぎて、後半は駆け足気味というか……恥ずかしいなぁ、もう。
と、兎に角お読み頂ければ幸いで御座います。
「先輩、知ってますか?」
「知ってる」
廊下トンビこと兵藤の前振りに素っ気ない返事をすると、兵藤は眉を垂れて情けない顔をした。問答無用で前振りを叩き落とされたのだから、兵藤がしょげても仕方がないだろう。
「先輩、そんなこと言わずに聞いて下さいよ――っ」
情けないことにさっさと泣きが入る。朝っぱらから鬱陶しい。
田口は天井を仰いで溜息を吐いた。わざとらしく大きめに吐いたのは、ちょっとした意趣返しだ。
「で? 今日は何の話だ?」
「それがですねっ」
田口の方から水を向けてやると、たちまち元気になった兵藤は仕入れたてホヤホヤの院内噂話を披露する。
「オレンジの速水部長が、超絶可愛くて美人でスタイルがよくて、寛大で性格の出来た料理上手な彼女とイチャイチャラブラブ同棲していて、毎日酒池肉林なんですって」
何だそりゃ。
田口はコーヒーを口に運ぶ手を止めて、目を丸くしてしまった。
田口を驚かせたことに満足したのだろう、兵藤はにんまりと笑う。
「先輩、ご存じでした?」
「速水に恋人がいるらしいってとこだけな」
先ほどの報復なのだろう、兵藤は人をからかう口調で尋ねてくる。
田口は当たり障りのない答えを返した。
速水に恋人がいるのは知っている。
田口もよく知った人物だ、鏡を見ればすぐに会える。
現時点で速水の恋人枠を占拠しているのは田口なのだから。
そこに至る紆余曲折には納得できないところもあるのだが……いきなり三日間の性転換だなんて、どうやって納得しろというのだ……現状はそう悪くないと思っている。
しかし、数日前の速水の予想では「可愛い彼女と半同棲」くらいの噂だったと思ったのだが。
「凄いな。可愛くて美人でスタイルよくて性格良くて料理上手の人間なんて、何処にいるんだ?」
尾鰭の付きまくった速水の恋人像に田口は呆れてしまった。
そう言えば速水から「妬くなよ」と言われていたが、これでは嫉妬する気にもならない。あまりに非現実的だ。
兵藤も噂の誇張具合は解っているのだろう。苦笑を浮かべて頷いた。
「そこはホラ、速水部長がお付き合いする人ですから、きっとさぞ美人なんだろうなぁって。忙しい速水部長と付き合ってる位だから寛大な人なんでしょうねえ」
きっと、なんだろうなぁ。
無責任な推測とありふれた願望が入り混じって、理想の速水の恋人像は出来上がっているらしい。
「噂ってそうやって尾鰭付いてくものなんだなあ……」
「先輩?」
急にしみじみとした田口に、兵藤はワケも解らずに首を傾げたのだった。
一方その頃、オレンジ新棟。
夜勤の明けた速水は佐藤への引き継ぎを終了したところだった。
「あ――腹減ったぁ」
「満天寄って帰るんですか?」
「ん――――」
独り言というには大きな声に、佐藤は苦笑交じりに尋ねた。
速水は少し天井を見上げて考え込む。
「アイツ、何か作っといてくれてっかな…………」
「アイツ?」
「アイツって彼女さんですかっ?!」
速水の独り言に佐藤は首を傾げたが、素早く反応したのは看護師たちだった。
何がそう嬉しいのか、たちまちにその場の全員の視線が速水に向かう。しかし誰も寄ってこない。
看護師たちの無言のプレッシャーに、佐藤は渋々ながら口を開いた。男の心理としては、他人の惚気話に口を挟みたくないのだ。
「彼女さん、家で待ってらっしゃるんですか?」
「いや。アイツも仕事してるし、もう出勤してるだろ。でも握り飯ぐらいは作っといてくれるから。家帰ると味噌汁温めるのもメンドーでさぁ」
「あ――、それはそうですね。腹減ってるけど作るのメンドーで……俺も満天かコンビニか、そのまま寝るかですし」
「だろ」
佐藤の同意に速水も頷いた。
背後の看護師一同からは、
「佐藤先生違うっ! 突っ込むのそこじゃないっ」
などという囁きが聞こえるが、芸能リポーターのような鋭いツッコミを期待されたって佐藤も困る。
速水は背後の看護師一同を振り返り、晴れやかに笑ってやった。
「『お疲れさま』のメモ見ると、可愛いヤツだと思うよな」
「「「きゃああああ~~~っ」」」
あからさまな惚気に看護師一同は盛大に悲鳴を上げる。
病院内は静かに、なんて当たり前の心得はどこへ行ったのやら。
佐藤は速水の長身を見上げながらしみじみと溜息を吐いた。
「あんた、楽しんでるでしょう…………」
「上司に向かって『あんた』はよくないなぁ、佐藤ちゃん」
佐藤のボヤキに返した速水は実に楽しそうな口調だった。
そうして数日後、伝言メモの内容が「お疲れさま、昨夜は寂しかった、今夜は仲良くしようねv」的な噂話を耳にした田口が、やはりコーヒー片手に呆れ返ることになるのであった。
「知ってる」
廊下トンビこと兵藤の前振りに素っ気ない返事をすると、兵藤は眉を垂れて情けない顔をした。問答無用で前振りを叩き落とされたのだから、兵藤がしょげても仕方がないだろう。
「先輩、そんなこと言わずに聞いて下さいよ――っ」
情けないことにさっさと泣きが入る。朝っぱらから鬱陶しい。
田口は天井を仰いで溜息を吐いた。わざとらしく大きめに吐いたのは、ちょっとした意趣返しだ。
「で? 今日は何の話だ?」
「それがですねっ」
田口の方から水を向けてやると、たちまち元気になった兵藤は仕入れたてホヤホヤの院内噂話を披露する。
「オレンジの速水部長が、超絶可愛くて美人でスタイルがよくて、寛大で性格の出来た料理上手な彼女とイチャイチャラブラブ同棲していて、毎日酒池肉林なんですって」
何だそりゃ。
田口はコーヒーを口に運ぶ手を止めて、目を丸くしてしまった。
田口を驚かせたことに満足したのだろう、兵藤はにんまりと笑う。
「先輩、ご存じでした?」
「速水に恋人がいるらしいってとこだけな」
先ほどの報復なのだろう、兵藤は人をからかう口調で尋ねてくる。
田口は当たり障りのない答えを返した。
速水に恋人がいるのは知っている。
田口もよく知った人物だ、鏡を見ればすぐに会える。
現時点で速水の恋人枠を占拠しているのは田口なのだから。
そこに至る紆余曲折には納得できないところもあるのだが……いきなり三日間の性転換だなんて、どうやって納得しろというのだ……現状はそう悪くないと思っている。
しかし、数日前の速水の予想では「可愛い彼女と半同棲」くらいの噂だったと思ったのだが。
「凄いな。可愛くて美人でスタイルよくて性格良くて料理上手の人間なんて、何処にいるんだ?」
尾鰭の付きまくった速水の恋人像に田口は呆れてしまった。
そう言えば速水から「妬くなよ」と言われていたが、これでは嫉妬する気にもならない。あまりに非現実的だ。
兵藤も噂の誇張具合は解っているのだろう。苦笑を浮かべて頷いた。
「そこはホラ、速水部長がお付き合いする人ですから、きっとさぞ美人なんだろうなぁって。忙しい速水部長と付き合ってる位だから寛大な人なんでしょうねえ」
きっと、なんだろうなぁ。
無責任な推測とありふれた願望が入り混じって、理想の速水の恋人像は出来上がっているらしい。
「噂ってそうやって尾鰭付いてくものなんだなあ……」
「先輩?」
急にしみじみとした田口に、兵藤はワケも解らずに首を傾げたのだった。
一方その頃、オレンジ新棟。
夜勤の明けた速水は佐藤への引き継ぎを終了したところだった。
「あ――腹減ったぁ」
「満天寄って帰るんですか?」
「ん――――」
独り言というには大きな声に、佐藤は苦笑交じりに尋ねた。
速水は少し天井を見上げて考え込む。
「アイツ、何か作っといてくれてっかな…………」
「アイツ?」
「アイツって彼女さんですかっ?!」
速水の独り言に佐藤は首を傾げたが、素早く反応したのは看護師たちだった。
何がそう嬉しいのか、たちまちにその場の全員の視線が速水に向かう。しかし誰も寄ってこない。
看護師たちの無言のプレッシャーに、佐藤は渋々ながら口を開いた。男の心理としては、他人の惚気話に口を挟みたくないのだ。
「彼女さん、家で待ってらっしゃるんですか?」
「いや。アイツも仕事してるし、もう出勤してるだろ。でも握り飯ぐらいは作っといてくれるから。家帰ると味噌汁温めるのもメンドーでさぁ」
「あ――、それはそうですね。腹減ってるけど作るのメンドーで……俺も満天かコンビニか、そのまま寝るかですし」
「だろ」
佐藤の同意に速水も頷いた。
背後の看護師一同からは、
「佐藤先生違うっ! 突っ込むのそこじゃないっ」
などという囁きが聞こえるが、芸能リポーターのような鋭いツッコミを期待されたって佐藤も困る。
速水は背後の看護師一同を振り返り、晴れやかに笑ってやった。
「『お疲れさま』のメモ見ると、可愛いヤツだと思うよな」
「「「きゃああああ~~~っ」」」
あからさまな惚気に看護師一同は盛大に悲鳴を上げる。
病院内は静かに、なんて当たり前の心得はどこへ行ったのやら。
佐藤は速水の長身を見上げながらしみじみと溜息を吐いた。
「あんた、楽しんでるでしょう…………」
「上司に向かって『あんた』はよくないなぁ、佐藤ちゃん」
佐藤のボヤキに返した速水は実に楽しそうな口調だった。
そうして数日後、伝言メモの内容が「お疲れさま、昨夜は寂しかった、今夜は仲良くしようねv」的な噂話を耳にした田口が、やはりコーヒー片手に呆れ返ることになるのであった。
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COMMENT
ありがとうございます^^*
続編「BIG FINS」ありがとうございます^^*すっごくおもしろかったです!ウワサの尾鰭は楽しすぎますよね!ウワサといえば兵藤くん^^*かわいかったです!
時の記念日「時を贈る」も可愛かったです^^*ラブラブいいっすね!大好き^^*
わたしは「プロポーズの日」にしてみました^^*読んで頂けたら幸いです♪
では、キリリク書いていただいてありがとうございました^^*これからも楽しみにしております!
時の記念日「時を贈る」も可愛かったです^^*ラブラブいいっすね!大好き^^*
わたしは「プロポーズの日」にしてみました^^*読んで頂けたら幸いです♪
では、キリリク書いていただいてありがとうございました^^*これからも楽しみにしております!
Re:ありがとうございます^^*
いらっしゃいませ、コメント有難う御座います。
あんなんでよろしかったでしょうか? 噂といえばトンビは当然ですが、オレンジの面々も出してみました。あそこは、女性のノリと副部長代理のノリの差が楽しい……かもしれない。
あ、実はプロポーズ読みましたよ! ノーコメント申し訳なかったです。うん、あの二人は既に熟年夫婦だ。
また遊びにいらして下さいませ。霧島は毎日コソコソ覗いています。
あんなんでよろしかったでしょうか? 噂といえばトンビは当然ですが、オレンジの面々も出してみました。あそこは、女性のノリと副部長代理のノリの差が楽しい……かもしれない。
あ、実はプロポーズ読みましたよ! ノーコメント申し訳なかったです。うん、あの二人は既に熟年夫婦だ。
また遊びにいらして下さいませ。霧島は毎日コソコソ覗いています。