6月10日は「時の記念日」です。
大正期に、「時間を守りましょう」ってことで決まったらしい。
6月10日という日付は、日本書紀に「水時計を設置した」という記述があるから……ということらしいのですが。あ、陰暦を太陽暦に直した日付が6月10日になったとか。
詳しくは各種サイトをご確認ください。
連載とキリリクを抱え込んでいるのですが、言いだしっぺでもあることだし一つ二つは記念日企画に参加しようと思います。
ついでに言うと、ミルクキャラメルの日というのも今日です。M永のミルクキャラメルの発売日が今日だったんだそうで。あのキャラメル好きだな。
追記:時計をプレゼントする意味は霧島的大嘘です。どっかでこんなの聞いたよなぁ、くらいの不確かさです。あまり信じず、都合のいいとこだけ拾って下さい。調べてみたけど検索の仕方が悪いのか解らなかったんだ……。
大正期に、「時間を守りましょう」ってことで決まったらしい。
6月10日という日付は、日本書紀に「水時計を設置した」という記述があるから……ということらしいのですが。あ、陰暦を太陽暦に直した日付が6月10日になったとか。
詳しくは各種サイトをご確認ください。
連載とキリリクを抱え込んでいるのですが、言いだしっぺでもあることだし一つ二つは記念日企画に参加しようと思います。
ついでに言うと、ミルクキャラメルの日というのも今日です。M永のミルクキャラメルの発売日が今日だったんだそうで。あのキャラメル好きだな。
追記:時計をプレゼントする意味は霧島的大嘘です。どっかでこんなの聞いたよなぁ、くらいの不確かさです。あまり信じず、都合のいいとこだけ拾って下さい。調べてみたけど検索の仕方が悪いのか解らなかったんだ……。
「壊れたか」
止まった腕時計を見て、速水は一つ舌打ちをした。
意味も無く腕を上下に振ってみるが、当然ながら時計の針はぴくりともしない。
その様子を見ていた田口がちょっと首を傾げた。
「電池切れじゃないのか?」
「そう思って、ついこないだ電池交換したんだよ」
「ああ…………」
電池交換しても止まってしまうようなら、本体の方がイカレたということだ。
役に立たなくなった時計を腕から外して、速水はぶらぶらとブラ下げた。
「電池高かったのに」
「捨てるのか、それ?」
「持っててもしょうがないだろ」
腕時計に使われるボタン電池は割高である。小さい分、尚そう思う。
買ったばかりなのに無駄になったボタン電池を思って不平を零す速水をチラリと見て、田口は小さな声で尋ねた。
速水の方はあっさりと言う。
しばらく田口は躊躇っていたようだが、余所を向いたまま小さな声で呟いた。
「新しい時計、俺が買っちゃダメか?」
「へ?」
「や、やっぱりいい! 聞かなかったことにしてくれっ!」
思わず聞き返したら、田口は慌てて手を振った。
そのまま逃げられそうだったので、速水は咄嗟に手を伸ばして田口の腕を掴んだ。腕時計を持っている方の手だったので、当然ながら腕時計はアスファルトの上に落ちた。これでもう、決定的に壊れただろう。
「行灯、ちょっと落ち着け。理由を話せ」
「理由って、その…………っ」
誕生日も何かの祝いも、全く関係なかった。
満天の定食とかぐらいならたかるにも気が咎めないが、流石に腕時計ともなると、やると言われてすんなり受け取れるものではない。
そこのあたりは、田口もよく解っているのだろう。田口自身がそういう訳も解らない贈り物を苦手とする性質だ。
散々渋って、ようやっとのことでぽつぽつと口を開いた。
「その……こ、恋人に時計を贈るのは、特別な意味があるって……」
「意味? どんな?」
「う――――――…………っ」
尚云い渋る田口をじっと見る。
田口が速水の視線に弱いのは織り込み済みだ。
真剣な表情を作っているが、実のところ速水の内心は浮足立っている。
この展開は、何か凄く嬉しいことを言ってくれるに違いない。
「あ、貴方の時間を、私に下さい…………って」
「田口…………」
予想通り、田口が消え入りそうな声で呟いた言葉は速水を喜ばせた。
思えばお互い、医師という多忙な身だ。特に速水は自由になる時間も容赦なく削られる立場である。
残りの僅かな時間は元より田口に捧げていたけれど、田口の方も欲しがってくれているのが嬉しかった。
ようやっと全てを白状した田口がちらりと速水の顔を見たので、速水は笑顔を向けた。田口は照れたように再び顔を伏せる。
田口の腕を掴んだ手はそのままに、空いている手で田口の頬に触れた。
「そういうことなら、お前に買ってもらう。その代わり、お前の分は俺が買うからな」
「俺は別に、時計が壊れたってワケじゃ」
「あんなの聞いた後で、無視なんか出来るか」
田口が速水の時間を欲しがるように、速水だって田口の時間が欲しい。独占したい。
速水の宣告に田口は戸惑ったようだったが、速水は強引に押し切った。
小さな溜息一つで抵抗を諦めた田口に、速水は小さくキスをする。
「何だったらペアにするか?」
「それは無理! 恥ずかし過ぎて死ぬっ!」
速水のセリフに本気で憤死しそうな田口がおかしくて、速水は喉の奥で笑った。
止まった腕時計を見て、速水は一つ舌打ちをした。
意味も無く腕を上下に振ってみるが、当然ながら時計の針はぴくりともしない。
その様子を見ていた田口がちょっと首を傾げた。
「電池切れじゃないのか?」
「そう思って、ついこないだ電池交換したんだよ」
「ああ…………」
電池交換しても止まってしまうようなら、本体の方がイカレたということだ。
役に立たなくなった時計を腕から外して、速水はぶらぶらとブラ下げた。
「電池高かったのに」
「捨てるのか、それ?」
「持っててもしょうがないだろ」
腕時計に使われるボタン電池は割高である。小さい分、尚そう思う。
買ったばかりなのに無駄になったボタン電池を思って不平を零す速水をチラリと見て、田口は小さな声で尋ねた。
速水の方はあっさりと言う。
しばらく田口は躊躇っていたようだが、余所を向いたまま小さな声で呟いた。
「新しい時計、俺が買っちゃダメか?」
「へ?」
「や、やっぱりいい! 聞かなかったことにしてくれっ!」
思わず聞き返したら、田口は慌てて手を振った。
そのまま逃げられそうだったので、速水は咄嗟に手を伸ばして田口の腕を掴んだ。腕時計を持っている方の手だったので、当然ながら腕時計はアスファルトの上に落ちた。これでもう、決定的に壊れただろう。
「行灯、ちょっと落ち着け。理由を話せ」
「理由って、その…………っ」
誕生日も何かの祝いも、全く関係なかった。
満天の定食とかぐらいならたかるにも気が咎めないが、流石に腕時計ともなると、やると言われてすんなり受け取れるものではない。
そこのあたりは、田口もよく解っているのだろう。田口自身がそういう訳も解らない贈り物を苦手とする性質だ。
散々渋って、ようやっとのことでぽつぽつと口を開いた。
「その……こ、恋人に時計を贈るのは、特別な意味があるって……」
「意味? どんな?」
「う――――――…………っ」
尚云い渋る田口をじっと見る。
田口が速水の視線に弱いのは織り込み済みだ。
真剣な表情を作っているが、実のところ速水の内心は浮足立っている。
この展開は、何か凄く嬉しいことを言ってくれるに違いない。
「あ、貴方の時間を、私に下さい…………って」
「田口…………」
予想通り、田口が消え入りそうな声で呟いた言葉は速水を喜ばせた。
思えばお互い、医師という多忙な身だ。特に速水は自由になる時間も容赦なく削られる立場である。
残りの僅かな時間は元より田口に捧げていたけれど、田口の方も欲しがってくれているのが嬉しかった。
ようやっと全てを白状した田口がちらりと速水の顔を見たので、速水は笑顔を向けた。田口は照れたように再び顔を伏せる。
田口の腕を掴んだ手はそのままに、空いている手で田口の頬に触れた。
「そういうことなら、お前に買ってもらう。その代わり、お前の分は俺が買うからな」
「俺は別に、時計が壊れたってワケじゃ」
「あんなの聞いた後で、無視なんか出来るか」
田口が速水の時間を欲しがるように、速水だって田口の時間が欲しい。独占したい。
速水の宣告に田口は戸惑ったようだったが、速水は強引に押し切った。
小さな溜息一つで抵抗を諦めた田口に、速水は小さくキスをする。
「何だったらペアにするか?」
「それは無理! 恥ずかし過ぎて死ぬっ!」
速水のセリフに本気で憤死しそうな田口がおかしくて、速水は喉の奥で笑った。
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COMMENT
うわあv
お久しぶりです、モトコです。
日参してるものの、何だかタイミングが掴めなくて長縄に入れない小学生のように、お声をかけ損ねてます←アホめ
時計と一緒にお互いの時間を贈り合うって、
いいですねv霧島さんちの行灯センセは、ちゃんと
愛情表現してて、可愛いな~素敵だな~と、
いつも思いますvお腹いっぱい御馳走様ですv
日参してるものの、何だかタイミングが掴めなくて長縄に入れない小学生のように、お声をかけ損ねてます←アホめ
時計と一緒にお互いの時間を贈り合うって、
いいですねv霧島さんちの行灯センセは、ちゃんと
愛情表現してて、可愛いな~素敵だな~と、
いつも思いますvお腹いっぱい御馳走様ですv
Re:うわあv
いらっしゃいませ。こちらこそご無沙汰です。霧島は長縄苦手な小学生でした。
ちなみにペアウォッチだと「同じ時を刻もう」って意味だったと記憶しております。どこの創作だか知らないけど。
「恋人」が小声なトコが、行灯先生の精一杯なんですけどね。それでも喜ぶあたり将軍はお手軽だ。今度いっそ、うんと殺伐とした二人を妄想してみようかな?
それでは、また遊びにいらして下さいませ。霧島もこそこそ日参しております。
ちなみにペアウォッチだと「同じ時を刻もう」って意味だったと記憶しております。どこの創作だか知らないけど。
「恋人」が小声なトコが、行灯先生の精一杯なんですけどね。それでも喜ぶあたり将軍はお手軽だ。今度いっそ、うんと殺伐とした二人を妄想してみようかな?
それでは、また遊びにいらして下さいませ。霧島もこそこそ日参しております。