柑橘系だったと思います。柚子より小さい感じの……よく解らん。
花言葉は【ふくよかな愛、明日の幸福】です。「明日の幸福」をチョイス。
将軍と行灯先生で、幸せな話!
……と思ってたのに、脳内BGMが中島みゆきだった為に、薄暗くなりました。ゴメンなさい。
花言葉は【ふくよかな愛、明日の幸福】です。「明日の幸福」をチョイス。
将軍と行灯先生で、幸せな話!
……と思ってたのに、脳内BGMが中島みゆきだった為に、薄暗くなりました。ゴメンなさい。
どちらかが女性だったらこの関係は変わっていただろうか。
もう十数年来の問いを、飽き飽きした思いで田口は自分に問いかけた。
変わっていたに決まっている。
少なくとも、手を繋ぐのにこうして車の中で人目を避けて、なんてことはなかっただろう。
カーラジオが北日本の荒れた空模様を告げている。
しっとりと重ね合わせた掌は温かいのに、助手席は遠い。肩が触れない。
暖房で乾いた唇を、剥がすように口を開いた。
「…………もう止めるか?」
田口の問いに、速水は田口の手を強く握り返すことで答える。
これがノーの意図であることを、田口は経験で知っていた。
事あるごとに別れ話は浮上した。
結婚式の招待、見合い話の打診、昇進の内示。
人生の節目に繋がりそうな時、この手を放す選択もあったのだ。
そうしなかったのは二人の意思だ。
「今はさ、」
ふと、速水が口を開いた。
沈黙が破られたことに驚いた田口が速水を見れば、速水も同様に田口を見ていた。
田口の動揺が、繋いだままの手から速水に伝わってしまう。
速水は田口を見つめて柔らかく微笑んだ。
「周りが五月蠅いから俺もお前も揺らぐけど、あと二十年もすればもう五月蠅く言われないさ。その時はお互いいいトシした爺さんだろうけど、俺はやっぱりお前を愛しいと思っているだろうよ」
「……だから、それまで待ってろって?」
「ああ」
自信たっぷりに速水は断言した。
繋いだ手を一つ揺らすという、おまけまで付けて。
田口は、速水の言葉を脳内に思い描いてみた。
年を取った自分は容易には想像つかなかったが、やはり速水を愛おしく思っているに違いない。
今だって、どんなに心が揺らいでも、それでも速水が大切なのだから。
「随分と気の長い話だな」
田口は溜息交じりに呟いた。
それだけで、田口のイエスも速水には通じる。
速水はやっと声を上げて笑った。
ずっと重苦しかった車内の空気が完全に払拭された。
「楽しみに待ってろよ」
確かめるように力強く握られた手を、想いを返すように、田口も強く握ったのだった。
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