さあ、ここからはお正月スペシャルです。解りやすいです。
つまるところ、誕生日花なんてチョイスした人の都合次第なんだろうなーと思ったりするワケさ。
花言葉は【可憐、恵まれた才能、富貴】、今回は「恵まれた才能」をチョイスしました。
桜宮サーガの人々は、それぞれ才能があると思います。
将軍や小夜ちゃんみたいな解りやすい才能もですけど、行灯先生みたいに一発どんでん返し出来るのも才能だと思うー。
つまるところ、誕生日花なんてチョイスした人の都合次第なんだろうなーと思ったりするワケさ。
花言葉は【可憐、恵まれた才能、富貴】、今回は「恵まれた才能」をチョイスしました。
桜宮サーガの人々は、それぞれ才能があると思います。
将軍や小夜ちゃんみたいな解りやすい才能もですけど、行灯先生みたいに一発どんでん返し出来るのも才能だと思うー。
「ぷはっ!」
授業をサボって惰眠を貪っていた田口の鼻を摘まんで、待つこと暫し。
田口が息苦しさに飛び起きた。
その様子を、速水はにやにや笑いと共に観察する。
「おはよーさん」
「何だよ、邪魔すんなよ……」
「起こしてやったんだぞ、有難く思え」
「優しく起こしてくれたんだったら、有難く思えたのに」
田口から恨めしそうな眼を向けられたが、速水は軽い調子で挨拶した。
昼寝の邪魔をされた田口は、やはり不平を漏らす。
だが速水も、申し訳なく思うつもりなど全くなかった。
尚も愚痴を零しながら、田口はのっそりと身体を起こして髪を掻き回した。
くしゃくしゃの髪が更にくしゃくしゃになった。
「それで、何の用だよ?」
「精神のレポート。お前まだ出してないだろ?」
「そういやそうだったな。でも、何で?」
他人の未提出のレポートを、どうしてわざわざ気にかけるのか。
そういう意図で尋ねた田口に、速水はこの上なく渋い顔を見せた。
「マッキーが強権発動させやがった。連帯責任だとよ」
「うぇ…………」
「そんなワケで、とっとと提出しろと島津がオカンムリだ。出来上がるまで見張ってやるとさ」
「う――…………」
教授のアダ名を口にして、速水は忌々しい思いで言った。
田口は面倒くさそうな表情になったが、速水も同感である。
勉強するもしないも、自己責任でいいではないか。
速水以上に怒り狂っていた島津の事を告げれば、ますます田口は唸った。
怒りの島津は迫力が並みでない。
「仕方ない、戻るか……」
「ま、せいぜい頑張れ」
不承不承、田口は動き始めた。
田口を発見した空き教室を出れば、たちまち人の気配がする。
先程の教室はまるで隔離されていたようだ。
「お前、よくあんなトコ見つけたな」
「まぁな」
空き教室や人の来ない場所を見つけるのが得意だとは知っていたが、改めて速水は田口に感心の目を向けた。
レポートの事が頭にあるのか、田口は渋い表情のままだ。
かくれんぼの才能があっても、レポートの役には立たない。
そこでふと、田口は速水を見た。
「そういう速水こそ、よく見つけたな」
「ん――……何となく?」
言われてみれば、それ程時間もかからず田口を見つけたものだった。
人のいない所にいるだろうとは思っていたが、それこそ広い大学構内だ、隠れ場所など幾らでもあるだろう。
それでも敢えて答えを探そうとすれば、やはり「何となく」としか言いようがなかった。
「野生のカンか」
「まるで俺が動物みたいじゃないか」
速水の答えに田口はからかうように笑う。
今度は速水が渋い顔をして、田口の頭を引っ叩いたのだった。
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