クリスマススペシャル! ヤドリギの下ではキスが許される、は同人界のお約束!
聖書的なエピソードが思い出せないのですが、何かあったっけ?
花言葉は【困難を克服する、忍耐強い、征服】となっています。
今回は「困難を克服する」をチョイス。クリスマスなので将軍と行灯で!
聖書的なエピソードが思い出せないのですが、何かあったっけ?
花言葉は【困難を克服する、忍耐強い、征服】となっています。
今回は「困難を克服する」をチョイス。クリスマスなので将軍と行灯で!
「お、」
「あ、」
久し振りに恋人の顔を見た。
廊下の端と端だったが、同じ空間にいること自体が久し振りだ。
速水が田口に気付いたように、田口も速水に気付いて小さく声を上げた。
そのまま近くに行こうとしたのだ、が。
「速水先生、事務の方でちょっと」
「田口先生、12号室の木藤さんの様子が」
双方が声を掛けられて、踏み出しかけた足は向きを変えざるを得なかった。
速水が最後に少しだけ振り向くと、田口は看護師と話を始めていてこちらを見る素振りも無かった。
その後も、サイレンと内線電話とナースコールに速水は追い立てられた。
田口のことを考える暇もない。
ようやく一段落着いて、気付いたら、既に大多数の者は退勤している時間だった。
そして速水はこのまま居残り夜勤である。
「はぁ…………っ」
人気が無いところで、速水は大きな溜息を吐いた。
仕事中毒の気がある速水だが、それでもこれは堪えた。
恋人と同じ職場にいながら、全く会えていないのはどういうワケだ。
折角のクリスマスだというのに!
「こちとらクリスマスに働いてやってんだから、それっくらい御褒美あってもいいだろうがよ」
クリスマスに休み、または定時退勤出来た面々は、速水に感謝すべきである。
ぶつぶつと愚痴を零しながら、速水はモニタールームの扉を開けた。
速水の椅子は占領されていた。
「お、やっと帰ってきたな。お疲れさん」
会いたくて仕方なかった田口がそこで笑っていた。
速水はぽかんと口を開けてしまう。
速水の間抜けな顔が可笑しかったのか、田口は喉の奥で小さく笑って椅子から立ち上がった。
速水の傍まで近寄ってきて、羽織っていた速水の白衣をそっと掴んだ。
「あんまり会えないから、待ち伏せした方が確実かと思ってさ。正解だったな」
田口が頭を速水の胸に擦りつける。
ここで田口を抱き締めるくらいの甲斐性は、速水も持ち合わせていた。
田口の背中に腕を回し、肉の薄い身体を己の身体で感じ取る。
「メリークリスマス、速水」
「ああ。メリークリスマス」
額をぶつけ合って、瞳を覗き込みながら二人で囁き合った。
勿論、キスも忘れなかった。
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