本日、10月3日は満月です。十五夜です。
カメが優先なのでスルーしようと思っていたのだけど、余所様で十五夜関係のお月さまSS読んだら参加したくなりました。
折角ウチには「かぐや姫」がいることだし(←さぶっ!)。
そんなワケで、「Man in the moon」の後日談的です。
行灯先生は元月世界の住人という設定……ですが、単なるイチャイチャ話です。
現時点で、今日の満月が拝めるかどうか謎ですが……見られるといいですね。
カメが優先なのでスルーしようと思っていたのだけど、余所様で十五夜関係のお月さまSS読んだら参加したくなりました。
折角ウチには「かぐや姫」がいることだし(←さぶっ!)。
そんなワケで、「Man in the moon」の後日談的です。
行灯先生は元月世界の住人という設定……ですが、単なるイチャイチャ話です。
現時点で、今日の満月が拝めるかどうか謎ですが……見られるといいですね。
外来受付ホールや小児科病棟に飾ってあったススキを見て、速水は今日が十五夜だと気付いた。
そうしたら不意に田口のことが心配になった。
確かかぐや姫は、十五夜の日に月に戻るのではなかっただろうか?
月には還らないと田口は言っていたけれど、月の方から田口に還って来いと言ってくる可能性は皆無ではない。
手早く帰り支度をすると、速水はオレンジ新棟を飛び出したのだった。
「ああ、お帰り」
開け放した窓から冷えた風が流れてくる。
そんな窓際に立っていた田口は、帰宅した速水に言うと、再度窓の外へ視線を投げた。
完全なる円を描く月を見ながら田口は歌を口ずさむ。
「……今日は何だ?」
「"Fly me to the moon"」
速水が尋ねると、田口は歌を中断して答えてくれた。
しかし、そのタイトルに速水は更に苦しくなる。
私を月まで連れていって。星たちの間で遊ばせて。
田口が月を見ながら歌う姿も好きなので、普段は邪魔したりはしないのだが、今日は大人しく見ていられなかった。
明るく光る月が悪い。
大股で部屋を突っ切ると、窓際の田口を強引に抱き締めた。
「えっ?! 速水?」
戸惑った田口が身動きする。
速水の表情を窺う為か、それとも腕の中から抜け出す為か、どちらかは解らないが、速水はどちらも許さなかった。
腕に力を込めて強く抱き竦める。
そのうち田口の方が動くのを諦めて、速水の腰にゆるりと腕を回した。
「行くなよ……何処にも、月にも行くな」
「速水…………」
田口を抱き締めたまま、速水は田口の耳元に囁いた。
田口は困ったような、それでいて何処となく嬉しそうな表情で笑った。
速水の腰に回っていた手を背中へ伸ばして、子供を宥めるようにポンポンと軽く叩く。
「もしかして不安になった? 十五夜だから?」
「…………それもある。お前、ヘンな歌歌ってるし」
「ヘンって」
名曲をヘンな歌呼ばわりされて、田口は苦笑を浮かべた。
田口は笑っている。速水の心配は杞憂であるらしいが、それでも速水は安心など出来なかった。
尚も強く抱き締め続けていると、田口が再度身動ぎした。
田口は顔を上げて少しだけ背伸びをし、速水の顎の辺りに小さくキスをした。
速水が田口の顔を覗き込むと、田口は優しい顔で笑っている。
「何処にも行かないよ。速水の傍にいる」
囁いた声は確信に満ちている。
月の光が速水の中に浮かび上がらせた不安を、全て振り払ってくれる。
もう一度小さなキスをくれた田口の後頭部を捕まえて、速水は深く唇を重ねた。
「あの歌は、続きが肝心なんだ」
「続き? どんな?」
情事の後の微睡みの中で、田口は囁いた。
触れ合わせたままの素肌はうっすらと汗に濡れている。
田口の頬にキスを一つした後、速水は続きを促した。
布団の中、速水の腕に抱かれて、田口は小さな声で口ずさむ。
私の手を取って。ねえ、キスをして。忠実でいて。
「in other words, I love you.」
歌詞に重ねた甘い囁きに誘われて、速水は田口にたくさんのキスを落とした。
そうしたら不意に田口のことが心配になった。
確かかぐや姫は、十五夜の日に月に戻るのではなかっただろうか?
月には還らないと田口は言っていたけれど、月の方から田口に還って来いと言ってくる可能性は皆無ではない。
手早く帰り支度をすると、速水はオレンジ新棟を飛び出したのだった。
「ああ、お帰り」
開け放した窓から冷えた風が流れてくる。
そんな窓際に立っていた田口は、帰宅した速水に言うと、再度窓の外へ視線を投げた。
完全なる円を描く月を見ながら田口は歌を口ずさむ。
「……今日は何だ?」
「"Fly me to the moon"」
速水が尋ねると、田口は歌を中断して答えてくれた。
しかし、そのタイトルに速水は更に苦しくなる。
私を月まで連れていって。星たちの間で遊ばせて。
田口が月を見ながら歌う姿も好きなので、普段は邪魔したりはしないのだが、今日は大人しく見ていられなかった。
明るく光る月が悪い。
大股で部屋を突っ切ると、窓際の田口を強引に抱き締めた。
「えっ?! 速水?」
戸惑った田口が身動きする。
速水の表情を窺う為か、それとも腕の中から抜け出す為か、どちらかは解らないが、速水はどちらも許さなかった。
腕に力を込めて強く抱き竦める。
そのうち田口の方が動くのを諦めて、速水の腰にゆるりと腕を回した。
「行くなよ……何処にも、月にも行くな」
「速水…………」
田口を抱き締めたまま、速水は田口の耳元に囁いた。
田口は困ったような、それでいて何処となく嬉しそうな表情で笑った。
速水の腰に回っていた手を背中へ伸ばして、子供を宥めるようにポンポンと軽く叩く。
「もしかして不安になった? 十五夜だから?」
「…………それもある。お前、ヘンな歌歌ってるし」
「ヘンって」
名曲をヘンな歌呼ばわりされて、田口は苦笑を浮かべた。
田口は笑っている。速水の心配は杞憂であるらしいが、それでも速水は安心など出来なかった。
尚も強く抱き締め続けていると、田口が再度身動ぎした。
田口は顔を上げて少しだけ背伸びをし、速水の顎の辺りに小さくキスをした。
速水が田口の顔を覗き込むと、田口は優しい顔で笑っている。
「何処にも行かないよ。速水の傍にいる」
囁いた声は確信に満ちている。
月の光が速水の中に浮かび上がらせた不安を、全て振り払ってくれる。
もう一度小さなキスをくれた田口の後頭部を捕まえて、速水は深く唇を重ねた。
「あの歌は、続きが肝心なんだ」
「続き? どんな?」
情事の後の微睡みの中で、田口は囁いた。
触れ合わせたままの素肌はうっすらと汗に濡れている。
田口の頬にキスを一つした後、速水は続きを促した。
布団の中、速水の腕に抱かれて、田口は小さな声で口ずさむ。
私の手を取って。ねえ、キスをして。忠実でいて。
「in other words, I love you.」
歌詞に重ねた甘い囁きに誘われて、速水は田口にたくさんのキスを落とした。
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