季節ネタのいいところ→そりゃもう溢れる季節感
季節ネタの厄介なとこ→外すとどうにもならない感
そういうワケで、カメ優先と口にしながら季節感のが優先されました。
金木犀のシーズンが終わってしまわないうちに、何とか書き上げねば!
全国基準じゃなくて、霧島的ご近所基準ですけどね~。
季節ネタの厄介なとこ→外すとどうにもならない感
そういうワケで、カメ優先と口にしながら季節感のが優先されました。
金木犀のシーズンが終わってしまわないうちに、何とか書き上げねば!
全国基準じゃなくて、霧島的ご近所基準ですけどね~。
風に乗って届いた香りに田口は足を止めた。
周囲を見回して、香りの正体を知る。
この季節、香るのは金木犀だ。
「そうか…………」
田口は微笑とともに呟いた。
夜の闇でも隠せない梅の香を詠んだのは凡河内躬恒だったか。
姿は見えねど届く香、という床しさが好きだった。
梅、百合、沈丁花、そして金木犀。
香りの強さを苦手とする向きも多かろうが、田口はどれも好きである。
そうやって、田口が季節の風に浸っている時だった。
「よお、何ニヤついてんだ?」
そう言って現れた速水の方が、チュッパチャプスの棒を口の端から覗かせたままニヤついている。
速水の物言いは気に入らないが、季節の発見が嬉しかったので、田口は敢えて文句を言わなかった。
「金木犀の匂いがするんだ」
「匂い? するか?」
「するだろ」
「…………判んねぇ」
田口の言葉に、速水は周囲の匂いを嗅ぐ仕草をした。
しかし首を傾げている。
田口の断言に再度空気を嗅いだが、やはり速水は首を捻るばかりだった。
田口もつい速水を見た。
「お前、鼻悪かったっけ?」
「いや。風邪引いた覚えも無いんだけどな」
不思議そうに呟く速水を見上げていると、ふと、田口の視界の端で白い棒が揺れた。チュッパチャプスの棒。
「あ、もしかして」
衝動的に田口は手を伸ばした。
突然チュッパチャプスの棒を引っ張られた速水は、驚きの表情とともに軽く目を見開く。
速水からチュッパチャプスを奪って、田口はキャンディの丸い頭を自分の鼻先に寄せた。
甘いキャラメルの匂いがした。
「チュッパの匂いで判らないんじゃないか?」
「そんなこと、あるかね?」
速水が名残惜しそうにチュッパチャプスを目で追いながら、三度空気を嗅ぐ。
田口は速水から奪ったチュッパチャプスを自分の口に放り込んだ。
甘いキャラメル味と共に、作られたキャラメルの匂いが鼻腔を満たす。
微かな金木犀の香りは押しやられてしまった。
それが少々残念ではあるが、速水が花の香りに気付いて表情を緩めるので、今日はよしとした。
このキャンディは、このまま没収だ。
周囲を見回して、香りの正体を知る。
この季節、香るのは金木犀だ。
「そうか…………」
田口は微笑とともに呟いた。
夜の闇でも隠せない梅の香を詠んだのは凡河内躬恒だったか。
姿は見えねど届く香、という床しさが好きだった。
梅、百合、沈丁花、そして金木犀。
香りの強さを苦手とする向きも多かろうが、田口はどれも好きである。
そうやって、田口が季節の風に浸っている時だった。
「よお、何ニヤついてんだ?」
そう言って現れた速水の方が、チュッパチャプスの棒を口の端から覗かせたままニヤついている。
速水の物言いは気に入らないが、季節の発見が嬉しかったので、田口は敢えて文句を言わなかった。
「金木犀の匂いがするんだ」
「匂い? するか?」
「するだろ」
「…………判んねぇ」
田口の言葉に、速水は周囲の匂いを嗅ぐ仕草をした。
しかし首を傾げている。
田口の断言に再度空気を嗅いだが、やはり速水は首を捻るばかりだった。
田口もつい速水を見た。
「お前、鼻悪かったっけ?」
「いや。風邪引いた覚えも無いんだけどな」
不思議そうに呟く速水を見上げていると、ふと、田口の視界の端で白い棒が揺れた。チュッパチャプスの棒。
「あ、もしかして」
衝動的に田口は手を伸ばした。
突然チュッパチャプスの棒を引っ張られた速水は、驚きの表情とともに軽く目を見開く。
速水からチュッパチャプスを奪って、田口はキャンディの丸い頭を自分の鼻先に寄せた。
甘いキャラメルの匂いがした。
「チュッパの匂いで判らないんじゃないか?」
「そんなこと、あるかね?」
速水が名残惜しそうにチュッパチャプスを目で追いながら、三度空気を嗅ぐ。
田口は速水から奪ったチュッパチャプスを自分の口に放り込んだ。
甘いキャラメル味と共に、作られたキャラメルの匂いが鼻腔を満たす。
微かな金木犀の香りは押しやられてしまった。
それが少々残念ではあるが、速水が花の香りに気付いて表情を緩めるので、今日はよしとした。
このキャンディは、このまま没収だ。
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