長くなったので一回切りました。
いや、セリフがどんっどん増えてる気がする……。
「二人シリーズ」でカテゴリを別立てにしようか検討中です。
今の時点でいくつある?
前後編を入れて6つ、更に後3つ……別のが見やすいかな。
サイトのカウンターにくっついていた、キリ番お知らせ機能を使ってみることにしたら覿面です。
そっか、今までヒットしてたのに気付かなかった人が何人もいるのかもしれない……。
いや、セリフがどんっどん増えてる気がする……。
「二人シリーズ」でカテゴリを別立てにしようか検討中です。
今の時点でいくつある?
前後編を入れて6つ、更に後3つ……別のが見やすいかな。
サイトのカウンターにくっついていた、キリ番お知らせ機能を使ってみることにしたら覿面です。
そっか、今までヒットしてたのに気付かなかった人が何人もいるのかもしれない……。
「体臭が解る距離に近付いて、驚きもしなければ逃げもしない。その上、匂いがどうのって話を平然としてるんだから、よっぽど近しいと誰でも思いますよ」
彦根の力説に、速水はうんざりした顔になった。
「だからって付き合ってることにはならないだろ?」
「付き合ってなくたって、そんな仲良い女がいるのはカノジョさんにしてみれば許せるモンじゃないでしょう」
「そーゆうもんかねえ」
「そこが解らない時点でダメダメですよ、速水先輩」
「ダメダメだって、速水」
「…………行灯、お前も同レベルだ」
彦根が速水をけなす。後輩であるにも関わらず、態度はとても大きい。
彦根の尻馬に乗って田口が速水をからかうが、横から島津に長い溜息を吐かれた。
二人の仲の良さは誰もが誤解しかねない、ということを、当の二人がちっとも解っていないのである。
「もういっそ付き合っちゃったらどうですか?」
「速水と? まっさかあ」
「有り得ねえだろ。行灯だぞ」
彦根の提案を、田口はからからと一笑に付した。
速水からしてみれば甚だ失礼な態度であるが、速水の方は速水の方で、田口に大きく頷いている。
お互いに端っから恋愛対象外だと思っているのだ。
「いいこと尽くしだと思うけどなぁ」
「例えば?」
「速水先輩が田口先輩んトコ入り浸っても、誰も文句言いませんよ」
「…………田口んトコで飯食うって言ったら泣かれる、とか」
「なくなりますね」
彦根が上げたメリットが、速水の琴線に触れた。
速水の表情がちょっと真面目になる。
速水が上げた例が具体的だったので、島津は田口に囁いた。
「んなコトあったのか、アイツ」
「あった。私まで巻き込んで修羅場ったんだよ、ったく」
田口は当時を思い出し、実にウンザリした顔で頷いた。
もっともこの一件で一番割を食ったのは、カノジョにフラれ田口の食事も暫くお断りされた、当の速水だったりするのだが。
「田口先輩だって。速水先輩を誘うのにカノジョに遠慮する必要無くなりますよ、先輩がカノジョなんだから」
まったく他人事のように彦根と速水の話を聞いていた田口だったが、彦根が田口の方を見て言ったセリフに、目を瞬かせた。
田口にも心当たりがあった。
「米買うから付き合えって言っても、デートだからって断られたりしない?」
「…………まあ多分」
彦根の返事は速水の時より曖昧だ。
デートの予定が入っていなくても、断りたい用事は世の中にあるだろう。
米。米ねえ。もうちっと色気のあるモン買わないかね。
彦根は心の中でそんなことを考えていた。
「米かよ」
「重いんだぞ、米。大体速水がちょくちょく来るから、ウチは米無くなるの早いのに。手伝うのが当然でしょ? 何で特売日にデートなんか入れるのさ」
「特売日なんか知るかよ」
島津の心の声も似たようなものだ。
呆れ顔の島津に田口は己の正しさを主張し、速水に八つ当たりめいた愚痴を零す。
速水は憮然とした表情で呟いた。
しかしなるほど、互いのメリットは多い。
「ふぅん」
「ん――――………」
麻雀牌を手の中で弄びながら、速水は少し考え込んだ。
田口も、麻雀牌を手元に何となく並べながら考え込む。
それから二人揃って顔を上げ、互いの表情を覗き込んだ。
「悪くない、な」
「…………だね」
速水が一つ頷き、田口が小さく笑って首をちょこんと傾けた。
速水と田口の交際がスタートした瞬間だった。
「おお、これで説明が簡単になるなぁ」
島津が厳つい顔を綻ばせて呟いた。
仲のいい速水と田口を目撃した人間に、「あの二人って付き合ってるの?」と訊かれるのが一番多いのは島津である。
付き合っていないと言うと、誰もが「何で?」「嘘でしょ?」という反応をする。
だが、二人が付き合うとなれば、答えはイエスの一言で済む。
なんて簡単。
「同感です」
島津の苦労が解る彦根はしみじみと頷いた。
二人の視線の先では、速水と田口がスーパーの目玉商品と夕食の話をしている。
「秋刀魚かぁ。暫く食ってねえな」
「ちょっとお前、またウチ来る気?」
「いいだろ、彼氏なんだし、俺」
「彼女はおさんどんじゃないぞ」
田口が声を上げると、速水はからからと笑いだす。
今までの二人の遣り取りと、ちっとも変わる様子はなかった。
彦根の力説に、速水はうんざりした顔になった。
「だからって付き合ってることにはならないだろ?」
「付き合ってなくたって、そんな仲良い女がいるのはカノジョさんにしてみれば許せるモンじゃないでしょう」
「そーゆうもんかねえ」
「そこが解らない時点でダメダメですよ、速水先輩」
「ダメダメだって、速水」
「…………行灯、お前も同レベルだ」
彦根が速水をけなす。後輩であるにも関わらず、態度はとても大きい。
彦根の尻馬に乗って田口が速水をからかうが、横から島津に長い溜息を吐かれた。
二人の仲の良さは誰もが誤解しかねない、ということを、当の二人がちっとも解っていないのである。
「もういっそ付き合っちゃったらどうですか?」
「速水と? まっさかあ」
「有り得ねえだろ。行灯だぞ」
彦根の提案を、田口はからからと一笑に付した。
速水からしてみれば甚だ失礼な態度であるが、速水の方は速水の方で、田口に大きく頷いている。
お互いに端っから恋愛対象外だと思っているのだ。
「いいこと尽くしだと思うけどなぁ」
「例えば?」
「速水先輩が田口先輩んトコ入り浸っても、誰も文句言いませんよ」
「…………田口んトコで飯食うって言ったら泣かれる、とか」
「なくなりますね」
彦根が上げたメリットが、速水の琴線に触れた。
速水の表情がちょっと真面目になる。
速水が上げた例が具体的だったので、島津は田口に囁いた。
「んなコトあったのか、アイツ」
「あった。私まで巻き込んで修羅場ったんだよ、ったく」
田口は当時を思い出し、実にウンザリした顔で頷いた。
もっともこの一件で一番割を食ったのは、カノジョにフラれ田口の食事も暫くお断りされた、当の速水だったりするのだが。
「田口先輩だって。速水先輩を誘うのにカノジョに遠慮する必要無くなりますよ、先輩がカノジョなんだから」
まったく他人事のように彦根と速水の話を聞いていた田口だったが、彦根が田口の方を見て言ったセリフに、目を瞬かせた。
田口にも心当たりがあった。
「米買うから付き合えって言っても、デートだからって断られたりしない?」
「…………まあ多分」
彦根の返事は速水の時より曖昧だ。
デートの予定が入っていなくても、断りたい用事は世の中にあるだろう。
米。米ねえ。もうちっと色気のあるモン買わないかね。
彦根は心の中でそんなことを考えていた。
「米かよ」
「重いんだぞ、米。大体速水がちょくちょく来るから、ウチは米無くなるの早いのに。手伝うのが当然でしょ? 何で特売日にデートなんか入れるのさ」
「特売日なんか知るかよ」
島津の心の声も似たようなものだ。
呆れ顔の島津に田口は己の正しさを主張し、速水に八つ当たりめいた愚痴を零す。
速水は憮然とした表情で呟いた。
しかしなるほど、互いのメリットは多い。
「ふぅん」
「ん――――………」
麻雀牌を手の中で弄びながら、速水は少し考え込んだ。
田口も、麻雀牌を手元に何となく並べながら考え込む。
それから二人揃って顔を上げ、互いの表情を覗き込んだ。
「悪くない、な」
「…………だね」
速水が一つ頷き、田口が小さく笑って首をちょこんと傾けた。
速水と田口の交際がスタートした瞬間だった。
「おお、これで説明が簡単になるなぁ」
島津が厳つい顔を綻ばせて呟いた。
仲のいい速水と田口を目撃した人間に、「あの二人って付き合ってるの?」と訊かれるのが一番多いのは島津である。
付き合っていないと言うと、誰もが「何で?」「嘘でしょ?」という反応をする。
だが、二人が付き合うとなれば、答えはイエスの一言で済む。
なんて簡単。
「同感です」
島津の苦労が解る彦根はしみじみと頷いた。
二人の視線の先では、速水と田口がスーパーの目玉商品と夕食の話をしている。
「秋刀魚かぁ。暫く食ってねえな」
「ちょっとお前、またウチ来る気?」
「いいだろ、彼氏なんだし、俺」
「彼女はおさんどんじゃないぞ」
田口が声を上げると、速水はからからと笑いだす。
今までの二人の遣り取りと、ちっとも変わる様子はなかった。
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