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キリリクが二つ、異種CP一つ、「I love youバトン」が一つ。
トップをちょっとだけハロウィン仕様に変更しました。
写真のサイズ変えたので、ちょっと見難くなったかもしれない。
キリ番は相変わらず踏み逃げされ中……いいさ、私はめげん。
ブックオフで、2008年度の「このミス」を買いました。100円で。
「~内外」が載っているヤツです。牡丹燈籠……。
カイドー先生の短編って、いつかちゃんと本になるんでしょうか?
キリリクが二つ、異種CP一つ、「I love youバトン」が一つ。
トップをちょっとだけハロウィン仕様に変更しました。
写真のサイズ変えたので、ちょっと見難くなったかもしれない。
キリ番は相変わらず踏み逃げされ中……いいさ、私はめげん。
ブックオフで、2008年度の「このミス」を買いました。100円で。
「~内外」が載っているヤツです。牡丹燈籠……。
カイドー先生の短編って、いつかちゃんと本になるんでしょうか?
「彦根か」
「はよーございます、先輩。あ、それですか、先輩が拾ったってカメ。見てもいいですか?」
「あ、おいっ」
先輩同士の会話に割り込んだ挙句、彦根は早口で喋り出した。
田口の手元を覗き込み、バケツの中から速水を持ち上げてしげしげと眺めている。
急に持ち上げられた速水は当然ながら手足をばたつかせた。
「先輩、コイツ名前は?」
「え、付けてない」
「付けてやらないんですか?」
「だって俺のじゃないし」
村上を無視する形で彦根は田口に話し続ける。
田口もまた律儀に、彦根の言葉に答えを返していた。
空気の読める彦根にしては珍しいと速水は思う。
相変わらず彦根の手の中にいたから、いささかマヌケな状態ではあるが。
「いいじゃないですか、カッコ仮で。どうします?」
「…………カメ吉、とか?」
「うっわ、ありきたり!」
「じゃあお前は何て付けるんだよ」
「そうですねえ……ガラパゴス」
「ガラパゴスって、ガラパゴス諸島? ゾウガメじゃないぞ、こいつ」
「ガラパゴスゾウガメが東城大にいたら、大問題ですよ」
田口と彦根の二人なら当たり前の会話のノリだ。
彦根の回転の速さに、田口まで村上の存在を忘れかけているようだった。
彦根に持ち上げられている速水からは、困惑気味の村上の表情がよく見えた。
「あ、じゃあ、俺はこれで」
「ああ、うん、じゃあな」
潮時だと村上は判断したらしかった。
村上の挨拶に、田口は慌てて別れの言葉を投げる。
彦根が鋭く村上の気配を探っているのが、彦根の手の中にいる速水にはよく解った。
「行ったか」
「…………彦根?」
彦根が低く呟く。
何処となく剣呑な彦根の気に、田口は首を傾げた。
速水も首を傾げたが、やはり田口や彦根には伝わらない。
「先輩、アイツ何言ってました?」
「村上のことか? 別に……カメが自分のかもしれないから見せてくれって言われて……ああ、速水が何処にいるか知らないかって」
「ふぅん…………カメは口実か」
彦根の言葉で、速水は少し前に感じた違和感が間違いではなかったと知る。
村上がカメを大して観察しなかったのは、カメはどうでもよかったかららしい。
しかし今度は、カメを口実にわざわざ田口に接近した理由が解らなくなってくる。
田口も同じ疑問を抱いたらしく、彦根をじっと見て続きを促した。
「彦根。村上を知ってるのか?」
「噂だけですけど。速水先輩がこないだ別れたカノジョいるでしょ、あのカノジョを高校時代から追っかけてるんですって。振り向いて貰えなかったもんだから、速水先輩を目の敵にしてたらしいですよ。今回二人が別れたことに一言物申したいんでしょ」
「まったく、速水のヤツ……何だってそんなおかしな恨みを買うんだ?」
(ちょっと待て、行灯、俺のせいじゃねえだろっ!)
彦根の説明に、田口は草臥れた声で呟いた。
だが、速水には大いに不満な呟きである。
抗議すべく首を捻ってバタバタ暴れると、彦根が面白そうに速水を見た。
「あ、ガラパゴス暴れてる」
「戻りたいのかな? ほら」
田口がバケツを少し持ち上げ、彦根はその中に速水を放り込んだ。
水の浮力で、外にいるよりも身体の自由が多少は利く。
しかし世界が狭いので、速水としてはどっちもどっちだ。
温い水の中にプカプカ漂っていると、二人の会話は速水自身に及んだ。
「ここ二、三日、速水見てないけど、お前知らないか?」
「それが僕も見てないんですよね。剣道部遠征中ってワケでもないし。ま、あの人がカノジョと別れたくらいで失恋旅行とかは有り得ないですけど」
(ひーこーねーっ)
速水がすぐそこで聞いているとも知らず、彦根はからから笑って言う。
バケツの底から睨んでも、そもそも速水の視界が彦根に届かない。
彦根の軽口に田口がくすっと笑うのが解った。
「別れた、ってどうせまたフラレたんだろ?」
「あたしのこと考えてくれない、っていういつものセリフらしいですよ」
「速水もなぁ、モテるくせにフラレるばっかなんだから」
「ま、あの人、中身お子ちゃまですから。付き合ってるうちに女性の方も気付くんでしょ」
「お前、速水が聞いたら怒るぞぉ」
「先輩がチクんなきゃ大丈夫ですって」
(聞いてんだよ、このやろ……)
二人は言いたい放題である。
元に戻ったら絶対彦根に蹴りを入れてやろうと、速水はバケツの底で決意を固めたのだった。
「はよーございます、先輩。あ、それですか、先輩が拾ったってカメ。見てもいいですか?」
「あ、おいっ」
先輩同士の会話に割り込んだ挙句、彦根は早口で喋り出した。
田口の手元を覗き込み、バケツの中から速水を持ち上げてしげしげと眺めている。
急に持ち上げられた速水は当然ながら手足をばたつかせた。
「先輩、コイツ名前は?」
「え、付けてない」
「付けてやらないんですか?」
「だって俺のじゃないし」
村上を無視する形で彦根は田口に話し続ける。
田口もまた律儀に、彦根の言葉に答えを返していた。
空気の読める彦根にしては珍しいと速水は思う。
相変わらず彦根の手の中にいたから、いささかマヌケな状態ではあるが。
「いいじゃないですか、カッコ仮で。どうします?」
「…………カメ吉、とか?」
「うっわ、ありきたり!」
「じゃあお前は何て付けるんだよ」
「そうですねえ……ガラパゴス」
「ガラパゴスって、ガラパゴス諸島? ゾウガメじゃないぞ、こいつ」
「ガラパゴスゾウガメが東城大にいたら、大問題ですよ」
田口と彦根の二人なら当たり前の会話のノリだ。
彦根の回転の速さに、田口まで村上の存在を忘れかけているようだった。
彦根に持ち上げられている速水からは、困惑気味の村上の表情がよく見えた。
「あ、じゃあ、俺はこれで」
「ああ、うん、じゃあな」
潮時だと村上は判断したらしかった。
村上の挨拶に、田口は慌てて別れの言葉を投げる。
彦根が鋭く村上の気配を探っているのが、彦根の手の中にいる速水にはよく解った。
「行ったか」
「…………彦根?」
彦根が低く呟く。
何処となく剣呑な彦根の気に、田口は首を傾げた。
速水も首を傾げたが、やはり田口や彦根には伝わらない。
「先輩、アイツ何言ってました?」
「村上のことか? 別に……カメが自分のかもしれないから見せてくれって言われて……ああ、速水が何処にいるか知らないかって」
「ふぅん…………カメは口実か」
彦根の言葉で、速水は少し前に感じた違和感が間違いではなかったと知る。
村上がカメを大して観察しなかったのは、カメはどうでもよかったかららしい。
しかし今度は、カメを口実にわざわざ田口に接近した理由が解らなくなってくる。
田口も同じ疑問を抱いたらしく、彦根をじっと見て続きを促した。
「彦根。村上を知ってるのか?」
「噂だけですけど。速水先輩がこないだ別れたカノジョいるでしょ、あのカノジョを高校時代から追っかけてるんですって。振り向いて貰えなかったもんだから、速水先輩を目の敵にしてたらしいですよ。今回二人が別れたことに一言物申したいんでしょ」
「まったく、速水のヤツ……何だってそんなおかしな恨みを買うんだ?」
(ちょっと待て、行灯、俺のせいじゃねえだろっ!)
彦根の説明に、田口は草臥れた声で呟いた。
だが、速水には大いに不満な呟きである。
抗議すべく首を捻ってバタバタ暴れると、彦根が面白そうに速水を見た。
「あ、ガラパゴス暴れてる」
「戻りたいのかな? ほら」
田口がバケツを少し持ち上げ、彦根はその中に速水を放り込んだ。
水の浮力で、外にいるよりも身体の自由が多少は利く。
しかし世界が狭いので、速水としてはどっちもどっちだ。
温い水の中にプカプカ漂っていると、二人の会話は速水自身に及んだ。
「ここ二、三日、速水見てないけど、お前知らないか?」
「それが僕も見てないんですよね。剣道部遠征中ってワケでもないし。ま、あの人がカノジョと別れたくらいで失恋旅行とかは有り得ないですけど」
(ひーこーねーっ)
速水がすぐそこで聞いているとも知らず、彦根はからから笑って言う。
バケツの底から睨んでも、そもそも速水の視界が彦根に届かない。
彦根の軽口に田口がくすっと笑うのが解った。
「別れた、ってどうせまたフラレたんだろ?」
「あたしのこと考えてくれない、っていういつものセリフらしいですよ」
「速水もなぁ、モテるくせにフラレるばっかなんだから」
「ま、あの人、中身お子ちゃまですから。付き合ってるうちに女性の方も気付くんでしょ」
「お前、速水が聞いたら怒るぞぉ」
「先輩がチクんなきゃ大丈夫ですって」
(聞いてんだよ、このやろ……)
二人は言いたい放題である。
元に戻ったら絶対彦根に蹴りを入れてやろうと、速水はバケツの底で決意を固めたのだった。
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