カメ将軍話三回目。
あ、パラレル注意報って出しといた方がよいのかしら?
個人的にテーマソングはスピッツ「運命の人」……そのまんま。
サイト更新しております。キリリクを幾つか。
あと、本日お彼岸ですので、コメント利用してSSSを掲載中。
後記:別立てになりました。この記事の上に掲載です。
あ、パラレル注意報って出しといた方がよいのかしら?
個人的にテーマソングはスピッツ「運命の人」……そのまんま。
サイト更新しております。キリリクを幾つか。
あと、本日お彼岸ですので、コメント利用してSSSを
後記:別立てになりました。この記事の上に掲載です。
「お前、つくづく妙なモン見つけるな」
「仕方ないだろ、見つけちゃったんだから」
島津が呆れた顔で田口に言い、田口は不貞腐れた表情になる。
速水はばたばたと手足を動かした。
(おい、行灯っ! 島津っ!)
当然ながら二人に解ってもらえるワケもない。
しかし、地獄に仏とはこのことだ。
何とかして、二人に自分を保護して貰わなければならなかった。
田口がちょいちょいと速水の甲羅を指で突つきながら、島津と喋っている。
「大丈夫かな? このまんまじゃコイツ干乾びないか?」
「この辺に池なんかねえしな。どっかで飼ってたのが逃げ出したんじゃねえか?」
「あ――――…………」
田口の表情に影が差す。
きっと、飼い主が心配しているかもしれない、とか考えているのだろう。
これは好都合な展開になりそうだった。
「でも俺、カメ飼ったことないしなぁ」
田口が躊躇って呟く。
ここで田口に通り過ぎられるワケにはいかなかった。
速水は首を伸ばして、田口の靴の紐に噛みついた。
「うわっ」
「ははっ。お前、年寄りと子供だけじゃなくて、小動物にまで好かれるか」
田口が驚いた声を上げ、反射的に足を引こうとし、咄嗟に思い止まった。
思い止まってくれて、速水も助かった。
下手したら蹴り飛ばされていたところである。
島津が、第三者らしい無責任な笑い声を上げる。
「勝手なこと言うなよ…………」
田口は眉を下げて情けない顔になったが、島津は笑うばかりだった。
暫く速水を凝視していたが、ふと目元を緩めて柔らかく笑う。
「お前、ウチ来るか?」
(おう、頼む!)
話しかけられた速水は、何度も首を大きく動かして頷いた。
言葉が通じない分、ちゃんと伝わって欲しいと願って大きく動いた。
自分の言葉に正しく反応した速水を見て、田口はちょっと驚いたように目を見開いたが、小さく笑ってぎこちない手で速水を持ち上げる。
何だか取り落とされそうで、速水はなるべくじっと動かないことを心がけた。
「おい、カメってひっかくぞ。爪があるんだ。甲羅を上から持て」
田口のぎこちない手つきが気になったのだろう、島津が口を出した。
島津の言うとおりに持ち替えながら、田口は首を傾げた。
「何で知ってんの?」
「小学校の時、クラスで飼ってた」
「じゃあお前が面倒見ろよ」
「懐かれたのはお前だろ」
田口が言い出すのも当然だろう。
仏頂面になった田口に取り合わず、島津はからから笑う。
田口より島津を選ぶべきだったかと速水もちらっと思ったが、田口のお人好しでなかったら、拾ってもらえなかっただろう。
ぐいっと首を伸ばして背後を見たら、田口と眼が合った。
田口は苦笑を浮かべて速水に話しかけた。
「大丈夫、今更捨てないって」
(悪いな)
大きく頷くと、田口はまた眼を細めて笑った。
こんなに笑うヤツだったかと速水は少々意外に思う。
ぼんやりしている顔ばかり見ている気がするのだが。
「やっぱりコイツ、こっちの言ってること解るみたいだなぁ」
「まぐれだろ」
「そんなことないって、なあ?」
田口が問いかけるので、速水は首を動かして頷いた。
実際、今の速水には、それしか意思表示の手段が無い。
速水の頷きを、田口はちゃんと受け取ってくれたようだった。
「ほら、やっぱり」
柔らかく笑い、楽しそうな口調で田口は言った。
カメになってしまって以来の速水の苛立ちが、ほんの少しだけ和いだ。
「仕方ないだろ、見つけちゃったんだから」
島津が呆れた顔で田口に言い、田口は不貞腐れた表情になる。
速水はばたばたと手足を動かした。
(おい、行灯っ! 島津っ!)
当然ながら二人に解ってもらえるワケもない。
しかし、地獄に仏とはこのことだ。
何とかして、二人に自分を保護して貰わなければならなかった。
田口がちょいちょいと速水の甲羅を指で突つきながら、島津と喋っている。
「大丈夫かな? このまんまじゃコイツ干乾びないか?」
「この辺に池なんかねえしな。どっかで飼ってたのが逃げ出したんじゃねえか?」
「あ――――…………」
田口の表情に影が差す。
きっと、飼い主が心配しているかもしれない、とか考えているのだろう。
これは好都合な展開になりそうだった。
「でも俺、カメ飼ったことないしなぁ」
田口が躊躇って呟く。
ここで田口に通り過ぎられるワケにはいかなかった。
速水は首を伸ばして、田口の靴の紐に噛みついた。
「うわっ」
「ははっ。お前、年寄りと子供だけじゃなくて、小動物にまで好かれるか」
田口が驚いた声を上げ、反射的に足を引こうとし、咄嗟に思い止まった。
思い止まってくれて、速水も助かった。
下手したら蹴り飛ばされていたところである。
島津が、第三者らしい無責任な笑い声を上げる。
「勝手なこと言うなよ…………」
田口は眉を下げて情けない顔になったが、島津は笑うばかりだった。
暫く速水を凝視していたが、ふと目元を緩めて柔らかく笑う。
「お前、ウチ来るか?」
(おう、頼む!)
話しかけられた速水は、何度も首を大きく動かして頷いた。
言葉が通じない分、ちゃんと伝わって欲しいと願って大きく動いた。
自分の言葉に正しく反応した速水を見て、田口はちょっと驚いたように目を見開いたが、小さく笑ってぎこちない手で速水を持ち上げる。
何だか取り落とされそうで、速水はなるべくじっと動かないことを心がけた。
「おい、カメってひっかくぞ。爪があるんだ。甲羅を上から持て」
田口のぎこちない手つきが気になったのだろう、島津が口を出した。
島津の言うとおりに持ち替えながら、田口は首を傾げた。
「何で知ってんの?」
「小学校の時、クラスで飼ってた」
「じゃあお前が面倒見ろよ」
「懐かれたのはお前だろ」
田口が言い出すのも当然だろう。
仏頂面になった田口に取り合わず、島津はからから笑う。
田口より島津を選ぶべきだったかと速水もちらっと思ったが、田口のお人好しでなかったら、拾ってもらえなかっただろう。
ぐいっと首を伸ばして背後を見たら、田口と眼が合った。
田口は苦笑を浮かべて速水に話しかけた。
「大丈夫、今更捨てないって」
(悪いな)
大きく頷くと、田口はまた眼を細めて笑った。
こんなに笑うヤツだったかと速水は少々意外に思う。
ぼんやりしている顔ばかり見ている気がするのだが。
「やっぱりコイツ、こっちの言ってること解るみたいだなぁ」
「まぐれだろ」
「そんなことないって、なあ?」
田口が問いかけるので、速水は首を動かして頷いた。
実際、今の速水には、それしか意思表示の手段が無い。
速水の頷きを、田口はちゃんと受け取ってくれたようだった。
「ほら、やっぱり」
柔らかく笑い、楽しそうな口調で田口は言った。
カメになってしまって以来の速水の苛立ちが、ほんの少しだけ和いだ。
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COMMENT
無題
こんにちは。またお邪魔しています。
可愛いじゃないですかぁ!亀将軍☆必死で頷いているとことか。亀なのが全然違和感ないです…
続き楽しみにしています。
このお話を読んでいたら、急に実家にいる亀くんが懐かしくなり、会いに行ってきました(笑)亀って甲羅の割れ目をなぞると気持ちいいって本当ですかね(^^)
可愛いじゃないですかぁ!亀将軍☆必死で頷いているとことか。亀なのが全然違和感ないです…
続き楽しみにしています。
このお話を読んでいたら、急に実家にいる亀くんが懐かしくなり、会いに行ってきました(笑)亀って甲羅の割れ目をなぞると気持ちいいって本当ですかね(^^)
Re:無題
いらっしゃいませ。どうぞどうぞ、もう何度でも遊びにいらして下さいな。
カメ将軍が可愛いと仰って頂けると有難い限り。ギャップ萌え! ……とは違うかもしれないなあ。
カメ飼ってるんですかっ?! ちょっ、参考にさせて下さいっ。
カメってバケツに入れておいたら、バケツ引っ繰り返す根性ってあります?
いや、無くても何かしら暴れさせるつもりですが。
亀って甲羅の割れ目をなぞると気持ちいいかはちょっと解らないなぁ……甲羅って皮膚が角質化したものだっていうから、人間で言うと爪のヘリを辿る感覚なんじゃないでしょうか?
人間の側から想像すると、多分甲羅の割れ目をなぞるのは楽しい。溝を指で辿るっていう行為がね……。
カメ将軍が可愛いと仰って頂けると有難い限り。ギャップ萌え! ……とは違うかもしれないなあ。
カメ飼ってるんですかっ?! ちょっ、参考にさせて下さいっ。
カメってバケツに入れておいたら、バケツ引っ繰り返す根性ってあります?
いや、無くても何かしら暴れさせるつもりですが。
亀って甲羅の割れ目をなぞると気持ちいいかはちょっと解らないなぁ……甲羅って皮膚が角質化したものだっていうから、人間で言うと爪のヘリを辿る感覚なんじゃないでしょうか?
人間の側から想像すると、多分甲羅の割れ目をなぞるのは楽しい。溝を指で辿るっていう行為がね……。