コメント欄に載せるにはえらく長くなったので、別立てにした。
タイトルが粗雑ですみません。
サイト掲載時には改めます。
問題は、ラヴィアンローズシリーズはフランス語って決めてる点なのですが……フランス語にお彼岸なんかねえってなあ?
餃子とおはぎはお手伝いの必須項目だと思うのですが、如何でしょう?
タイトルが粗雑ですみません。
サイト掲載時には改めます。
問題は、ラヴィアンローズシリーズはフランス語って決めてる点なのですが……フランス語にお彼岸なんかねえってなあ?
餃子とおはぎはお手伝いの必須項目だと思うのですが、如何でしょう?
「パパ、お帰りなさいっ」
「あのね、今日おはぎなのっ」
帰宅した速水を出迎えた双子の娘、晃子と公子は速水の左右から口々に訴えた。
速水に話をさせない勢いに苦笑を浮かべながら、速水はまず帰宅の挨拶を口にした。
「ただいま、あき、きみ」
「「お帰りなさいっ!」」
双子らしいピッタリと揃った声で、晃子と公子は速水を出迎えてくれた。
今日も娘たちは愛らしい。この顔を見るだけで、一日の疲れが飛んでいくようだ。
「ほら、あき、きみ。パパは手を洗うのが先。向こうで待ってなさい」
「「はあい」」
速水が悦に入っていると、奥から出てきた田口が苦笑を浮かべながら二人を追いやった。
二人はまたお揃いの返事をして、リビングへ戻る。
「お帰り、速水。お疲れ様」
「ただいま。二人はどうしたんだ?」
ただいまの軽いキスを田口の頬に落とすと、田口はお帰りの小さいキスを口の端にくれる。
それから速水は、田口の言う通り、手を洗うために洗面所へ向かった。
秋物の薄手のコートを速水から受け取りながら、田口は笑いながら言った。
「今日、お彼岸だろ? おはぎを作ったんだ。二人にも手伝ってもらったけど、もう大騒ぎ。あんこは散らかすし、ご飯粒はあちこち引っ付けるしで、掃除が大変だった」
そう言いながら、実に楽しそうである。実際、楽しかったのだろう。
家にいてそれを見ていたかったな、と速水は思った。
「それで、パパに自分で作ったおはぎを食べてもらうんだって、張り切ってるワケ」
「そりゃ光栄だ」
「ビックリするなよ、凄いから」
田口は意味ありげに笑うと、リビングに戻っていった。
手を洗って、速水も食卓に着く。
早速左右の席から双子が身を乗り出してきた。
「あのね、これあきが作ったの」
「きみのはこっち――っ」
大皿に乗ったおはぎを晃子と公子はそれぞれ指差した。
確かに、田口の言うとおり、それは凄かった。
ぎっちり握ったのだろう、指が食い込んだようにくびれていたり。
あんこが山盛りに塗りつけてあったり。
晃子の作ったものも公子が作ったものも、差異は無い。
だが、驚きよりも微笑ましさが先に立った。
速水は晃子と公子に笑いかけた。
「凄いなあ。二人とも、頑張ってママのお手伝いしたんだな」
「うんっ!」
「パパ、食べて食べてっ」
晃子が頷き、公子が急かす。
速水は取り皿に、晃子が作った分と公子が作った分を一つずつ取った。
箸で一口大に切ってから口へ運ぶ。
見てくれはどうであれ、味は田口がいつも作る通りのものだった。
「うん、美味い」
「へへへっ」
「次はぁ? 次はぁ?」
速水が誉めると、公子が照れくさそうに笑い、今度は晃子が速水を急かす。
さて、晃子作と公子作とどちらにするか、と瞬間迷ったが、速水は箸を止めて視線を田口に向けた。
父娘の食事風景を微笑とともに見守っていた田口が、速水の視線に気付いて怪訝そうな表情になる。
速水は悪戯を仕掛ける気分で笑った。
「お前が作ったのは、どれ?」
「へ? 俺?」
「ママのはこれ――っ」
予想外の事を訊かれて瞬きを繰り返す田口に代わり、晃子が大皿の一角を指差した。
薄々予想はしていたが、そこにあるのは綺麗に丸い形をしたおはぎだった。田口の手によるものだ。
「やっぱりママのも食べなきゃな」
「「うんっ」」
左右の娘たちに同意を求めると、娘たちは揃って頷いた。
田口の方はというと、口元を押さえて余所を向いてしまっている。
「お前って…………っ」
耳元が赤かったので、何かツボに入って照れているのがよく解った。
気を良くして、速水は田口作のおはぎを取り皿へ移した。
「……………………という夢を見たんだ」
「…………で?」
「おはぎ食いたい」
「…………買ってくりゃいいだろ」
滔々と夢の話をされた挙句、おはぎを強請りにきた速水に、田口は素っ気無い返事をするしかなかった。
目に見えて落胆し、長い溜息を吐く速水に、まったくコイツは何なんだと、田口の方が溜息を吐きたくなった。
「あのね、今日おはぎなのっ」
帰宅した速水を出迎えた双子の娘、晃子と公子は速水の左右から口々に訴えた。
速水に話をさせない勢いに苦笑を浮かべながら、速水はまず帰宅の挨拶を口にした。
「ただいま、あき、きみ」
「「お帰りなさいっ!」」
双子らしいピッタリと揃った声で、晃子と公子は速水を出迎えてくれた。
今日も娘たちは愛らしい。この顔を見るだけで、一日の疲れが飛んでいくようだ。
「ほら、あき、きみ。パパは手を洗うのが先。向こうで待ってなさい」
「「はあい」」
速水が悦に入っていると、奥から出てきた田口が苦笑を浮かべながら二人を追いやった。
二人はまたお揃いの返事をして、リビングへ戻る。
「お帰り、速水。お疲れ様」
「ただいま。二人はどうしたんだ?」
ただいまの軽いキスを田口の頬に落とすと、田口はお帰りの小さいキスを口の端にくれる。
それから速水は、田口の言う通り、手を洗うために洗面所へ向かった。
秋物の薄手のコートを速水から受け取りながら、田口は笑いながら言った。
「今日、お彼岸だろ? おはぎを作ったんだ。二人にも手伝ってもらったけど、もう大騒ぎ。あんこは散らかすし、ご飯粒はあちこち引っ付けるしで、掃除が大変だった」
そう言いながら、実に楽しそうである。実際、楽しかったのだろう。
家にいてそれを見ていたかったな、と速水は思った。
「それで、パパに自分で作ったおはぎを食べてもらうんだって、張り切ってるワケ」
「そりゃ光栄だ」
「ビックリするなよ、凄いから」
田口は意味ありげに笑うと、リビングに戻っていった。
手を洗って、速水も食卓に着く。
早速左右の席から双子が身を乗り出してきた。
「あのね、これあきが作ったの」
「きみのはこっち――っ」
大皿に乗ったおはぎを晃子と公子はそれぞれ指差した。
確かに、田口の言うとおり、それは凄かった。
ぎっちり握ったのだろう、指が食い込んだようにくびれていたり。
あんこが山盛りに塗りつけてあったり。
晃子の作ったものも公子が作ったものも、差異は無い。
だが、驚きよりも微笑ましさが先に立った。
速水は晃子と公子に笑いかけた。
「凄いなあ。二人とも、頑張ってママのお手伝いしたんだな」
「うんっ!」
「パパ、食べて食べてっ」
晃子が頷き、公子が急かす。
速水は取り皿に、晃子が作った分と公子が作った分を一つずつ取った。
箸で一口大に切ってから口へ運ぶ。
見てくれはどうであれ、味は田口がいつも作る通りのものだった。
「うん、美味い」
「へへへっ」
「次はぁ? 次はぁ?」
速水が誉めると、公子が照れくさそうに笑い、今度は晃子が速水を急かす。
さて、晃子作と公子作とどちらにするか、と瞬間迷ったが、速水は箸を止めて視線を田口に向けた。
父娘の食事風景を微笑とともに見守っていた田口が、速水の視線に気付いて怪訝そうな表情になる。
速水は悪戯を仕掛ける気分で笑った。
「お前が作ったのは、どれ?」
「へ? 俺?」
「ママのはこれ――っ」
予想外の事を訊かれて瞬きを繰り返す田口に代わり、晃子が大皿の一角を指差した。
薄々予想はしていたが、そこにあるのは綺麗に丸い形をしたおはぎだった。田口の手によるものだ。
「やっぱりママのも食べなきゃな」
「「うんっ」」
左右の娘たちに同意を求めると、娘たちは揃って頷いた。
田口の方はというと、口元を押さえて余所を向いてしまっている。
「お前って…………っ」
耳元が赤かったので、何かツボに入って照れているのがよく解った。
気を良くして、速水は田口作のおはぎを取り皿へ移した。
「……………………という夢を見たんだ」
「…………で?」
「おはぎ食いたい」
「…………買ってくりゃいいだろ」
滔々と夢の話をされた挙句、おはぎを強請りにきた速水に、田口は素っ気無い返事をするしかなかった。
目に見えて落胆し、長い溜息を吐く速水に、まったくコイツは何なんだと、田口の方が溜息を吐きたくなった。
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