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こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
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ハロウィーン企画です。間に合った間に合った!
例によって将軍受難。タイトル通りお子様向けで、腐れ的にはちっとも正しくありません。
……しかし。しかしですよ。
コメントおまけでSSSを付けております。こちらは桃色注意報付き、腐れ的にも正しいハロウィーンです。


サイト更新しております。キリリクばかりを3本。
将軍行灯に2本、その他の面々に1本という内訳になりました。
ログのエキスポート機能って、役に立たねぇ……。
全部まとめてダウンロードされるんじゃ、手間は結局同じだよ!

「オレンジの赤字を、少しでも解消する策を思いつきましてね。ですがこれには、速水先生の協力が不可欠です。ご協力頂けますか?」
「勿論ですよ」

こう言われて、速水が首を横に振る筈がなかった。
病院長室で即答したことを、今、速水は思いっきり後悔していた。



「これなに――? ドラキュラ?」
「ちげーよ、牙ないじゃん」
「じゃあなに――?」

オレンジ二階、小児科病棟にはプレイホールが設置してある。
その一角で、椅子に座って長い脚を組んでいる速水の周囲には、わらわらと子供たちが寄ってきていた。
皆、速水の扮装に興味津津なのだ。
長くたっぷりした黒マントと礼装はドラキュラだが、顔半分を隠す仮面が解らないらしい。

「これはね――、オペラ座の怪人よ――。ゴメンね、ちょっと空けてね――」

如月翔子がやってきて、速水の周辺の子供たちを散らした。
答えを知って満足した子供たちが散らばっていく。
速水は如月の顔を見て溜息を吐いた。

「何で俺がこんなカッコしなきゃなんないんだ?」
「え、速水部長が院長に協力するって仰ったんですよね?」

当たり前のような顔で言われると、それ以上何も言えなくなる速水だった。
確かに協力するとは言った、言ったが。

「はいはい、並んで下さぁいっ! 一人一回、五百円!」
「きゃあぁっ!」

料金箱を持った如月が声を張り上げると、周囲から黄色い声が上がる。
常日頃人手不足に悩まされるオレンジ二階に、今は倍以上の女性看護師が詰めかけている。
彼女たちが構えているのはカメラ付き携帯、もしくはデジタルカメラだ。
題して、コスプレ速水の写真撮影会、といったところだった。

「…………こんなんで、赤字解消なんかなるワケねえだろ」
「ええ。ですが、夜勤の時の、ナースステーションのお茶代くらいにはなりますでしょう?」
「花房師長まで…………」

いつの間にか速水の傍にいた花房がにっこりと笑って言う。
間違いなく美人なのに、速水にとっては寒気のする笑みだった。
その笑顔のまま花房は続けた。

「実は私、この二カ月で三回、お茶代に自腹切ってるんです」

つまり速水を助ける気はまーったく無い、と。

「一階は佐藤先生もいらっしゃいますし、私も手伝いますので、どうぞお気になさらずに。如月、ここは頼むわ」
「はいっ!」

そう言い残して花房は去って行った。
常日頃の反目が嘘のように、如月は従順な返事をした。
速水は騒動の渦中に置き去りだ。

「そこぉっ! 写メ転送は無しよっ!」

如月の威勢のいい声が、小児科プレイホールに木霊した。



田口が小児科に顔を出したのは、撮影会が大いに盛り上がっている頃だった。
田口の方は、純粋に、小児科のハロウィーンイベントに招待されたのだ。
速水の扮装に目を止めた田口は、ちょっと目を見開いた後、楽しそうに笑った。

「へえ、オペラ座の怪人……似合うじゃないか」
「行灯か」
「歌は歌わないのか、速水?」
「他人事だと思いやがってえぇ…………っ」

速水がうんざりしているのが解っていて、田口は笑いながらそんな事を言う。
しかし田口は田口で、また不思議な格好をしていた。

「お前こそ、どうしたんだ、それ?」

田口の頭上の黒いとんがり帽子と、田口が手に提げているバスケットを交互に見遣って速水は尋ねた。
田口は何とも言い難い笑みを浮かべた。

「藤原さんが用意してくれたんだ」

黒いとんがり帽子は購入したものだろうが、バスケットがまた凝っている。
見舞いのフルーツバスケットを流用し、縁をハロウィーンディスプレイ用のモールで飾っているのだ。中には大袋の菓子を片っ端から開け、ハロウィーン用にジャック・オ・ランタンが付いたピックを差している。

「何つーか…………」
「言うな!」

幼稚園のイベントに張り切る保護者と送り出された子供、という図式が速水の脳裏に浮かんだ。
田口も同じことを思ったのだろう、速水が何か言い出す前に声を上げてシャットアウトした。
藤原看護師はしっかり請求書を提出したので、そこは保護者ほど優しくなかったのだが。

「何でこんなの入ってんだ?」
「ここに来る前に神経内科病棟に寄ったんだ。今日は子供たちにとってはお菓子を貰える日だけど、じいちゃんばあちゃんにはお菓子を配る日だと認識されてるらしくて、いつもよりお裾分けが多かったんだよ」

バスケットの中はクッキーやチョコ菓子、スナック菓子系などよりどりみどりだったが、ポツポツと単体でどら焼きや最中や栗饅頭が混ざっているのが奇妙だった。
そこを速水が尋ねると、田口は苦笑交じりに答えを寄越す。
なるほど、チョイスが渋いワケだ。
一つしかないどら焼きや栗饅頭や煎餅を、速水は次々と拾い上げた。
田口が目を見開いて驚く。

「あっ!」
「昼飯食ってねえんだよ」

しかも、今後も食べられそうにない。
速水が言うと、田口は溜息を一つ吐いて速水の所業を黙認した。

「あーグッチー先生だぁ!」
「こーへーせんせー、お菓子ちょうだーい!」

田口の姿を目敏く見つけた子供たちが、我先にと田口へ群がる。
田口が手にしているバスケットは、子供たちの期待をそそるには十分過ぎる程だ。

「おいおい、『お菓子ちょうだい』じゃないだろ――」
「トリックオアトリート!」

田口が苦笑と共に言えば、子供たちは声を揃えてお決まりのセリフを口にした。
田口は笑顔で菓子を配り、子供たちが歓声を上げる。

「正しいハロウィーンって、ああなんじゃねえの?」
「あれは子供向けです。私たちは大人だから、これでいいんです」

田口と子供たちの遣り取りを横目で見ながら速水が呟けば、如月はしたり顔でそう返した。
ぐうの音も出ない速水は、栗饅頭と一緒に溜息を飲み下したのだった。
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正しい大人のHalloween
「Trick or Treat?」

速水の囁きに、うっとりとキスに酔っていた田口は目を開けて驚きの表情になった。
速水は笑ってみせた。
場所は寝室、布団の中。
既に二人の間を遮る物は何一つ無かった。
絡まり合った足の間では、互いの欲望が擦れ合っている。
その状況でこのセリフだ。

「もうハロウィーンは終わりだろ?」
「いや、まだだ」

速水が顎で指した時計は確かに23時台だ。
辛うじて今日のうちである。
田口は小さく笑った。

「お菓子なら昼間やったのに。こんなトコにあるワケないじゃないか」

要は「悪戯」と称して戯れたいだけ。
田口は仕方ないなぁという顔をしている。
が、怒り出したりしないのは、これだけ盛り上がっているムードを楽しむつもりがあるからだ。
それは速水も同様である。

「ホントに無いか?」

速水の次のセリフは田口の予想外だったらしく、田口は速水をまじまじと見つめながら考え始めた。
この場にある「お菓子」は何なのか。
速水はにやりと笑うと、甘く田口の耳を噛んだ。

「ここ、とか」
「んっ」
「これ、とかも」
「んあっ」

耳だけではなく、首筋に軽く歯を立てたり、乳首を舌で転がしたり。
速水に触れられる度に、田口は甘い声を上げる。
あちこちに甘噛みした後、速水は再び田口の顔を覗き込んだ。
喘がされて涙目になった田口は、そこにいるだけで速水の欲を刺激する。

「お前は美味しいお菓子だよ、どこもかしこもな」

喰ってもいいか?
速水が囁くと、田口は一つ息を整えてから速水に腕を伸ばした。

「…………残すなよ」
「勿論」

挑発するセリフに応えて、速水は田口を味わい始めた。
まずは、甘い甘い唇から。
霧島 2009/10/29(Thu)18:17:45 編集
ハッピーハロウィン♪
ハロウィン話、やっぱ将軍の仮装はいいですね!
想像するだけでヨダレが(笑)
行灯先生は、昼も夜もかわいらしくてよいことです。えへへ。
お疲れ様でした。

さて、もう11月企画ですかあ。
それも、すんごい ハードな企画で。
わたし、静かに端っこで見守ってますね。
がんばってくださいまし(^^)
なゆた 2009/11/01(Sun)20:46:21 編集
Re:ハッピーハロウィン♪
いらっしゃいませ、コメント有難う御座います。

>将軍の仮装
ファントムって、ハロウィン仮装リストから少し外れてる気がしないでもないんですけどね……ほら、「お化け」じゃないし。
500円って安かったですかね?
「夜」ネタはありきたりですが、外しちゃならんでしょう。腐れ的に。

>11月ハード企画
多少勝算あるつもりだったんですが、既に自信無くなってきましたねえ。
が、ガンバろう、うん。
最終的に一か月全部埋まればいいや、くらいのモチベーションの低さですので、一日二日飛ばしても大目に見て下さいね。
S.Kirishima 2009/11/02 10:52
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