24444ヒットのさけかす様のリクエストです。
さけかす様、ヒットおめでとう御座います&リクエスト有難う御座いました。
リク内容は「学生時代の二人、恋愛未満」でした。
……正直、この曖昧さに悲鳴を上げかけました。
しかし、両想いでなきゃ好き勝手書いていいってコトだよな、という解釈をしまして、結果がこうです。
うん……いろいろとゴメンなさい。
タイトル注を一つ。
ランナーズハイは、マラソンなどで長時間に渡る脳内物質の分泌による興奮状態、という定義ですが、今回は全力疾走した後の高揚とか興奮とか、その程度の意味合いです。
余り気にしないで下さい、以上!
さけかす様、ヒットおめでとう御座います&リクエスト有難う御座いました。
リク内容は「学生時代の二人、恋愛未満」でした。
……正直、この曖昧さに悲鳴を上げかけました。
しかし、両想いでなきゃ好き勝手書いていいってコトだよな、という解釈をしまして、結果がこうです。
うん……いろいろとゴメンなさい。
タイトル注を一つ。
ランナーズハイは、マラソンなどで長時間に渡る脳内物質の分泌による興奮状態、という定義ですが、今回は全力疾走した後の高揚とか興奮とか、その程度の意味合いです。
余り気にしないで下さい、以上!
大学に入ってからの部活動であっても、基礎トレーニングは必須だった。
手っ取り早いのはランニングである。
稽古着に着替える前のジャージ姿で、剣道部は運動グラウンドを走っていた。
速水がちらっと振り向くと、最後尾の清川志郎が実に辛そうな表情で走っている。
さては受験勉強でナマっているな、と速水は密かに思った。
「しんど…………っ」
ランニングが終わって足を止めた途端、清川はグラウンドに座り込んだ。
同じ新入生の長村も似たり寄ったりだ。
年齢よりも慣れの問題なのか、上級生はまだ新入りをからかう余裕があった。
特に生意気が服を着て歩いているような清川は、絶好の的である。
「根性無ぇな、清川。そんなんじゃこれからの合宿を乗り切れねぇぞ」
「そーそー。夏場の道場なんて、居るだけで体力減ってくんだ」
「っさいですよ! 俺は長距離苦手なんです~」
「お、短距離ならマシなのか」
「若いですから」
「何をうっ?!」
掛け合い漫才の筈が、引っ込みがつかなくなったというべきか。
速水が口を挟まずに見ていると、あれよあれよといううちに五十メートル勝負が始まった。
確かに清川は速かった。
先輩をぶっちぎりでゴールし、しかもまだ余裕がある。
「へえ、二馬身差か」
競馬をやりもしないのに、何となく競馬用語で速水は感心した。
先輩の面目が潰れた二年生が速水に泣きついた。
「ぶちょ――っ」
「俺に走れってのか?! 無理に決まってんだろ」
縋る視線を速水は切って捨てた。
短距離走なんて、何年やっていないことか。
走るのは速い方ではあったが、分が悪過ぎると速水は思う。
しかし後輩どもはしつこかった。
「奴はバテバテです、今なら勝てます!」
「あ、ひきょーくせえっ!」
「うっせえよっ!」
先輩の発言を清川が非難し、更に先輩は怒鳴り返し。
お前ら元気じゃねえか、と思うくらいの大声の応酬だった。
速水は空を見上げて溜息を吐いた。
「負けても知らねえぞ」
「うっすっ!」
そうして速水は数年振りに短距離全力疾走することになった。
「よーい……どんっ!」
滅多に使っていなかった筋肉に、力が入るのが解る。
自分の足音だけが意識され、目に映るものが認識から遠い。
見えるのはゴール地点だけで、視界が極度に狭くなっていく。
ゴールラインを超えた次の一歩は、バンっ、と大きな音を立てた。
「っしゃ――っ、部長の勝ちぃっ!」
二年、三年が雄叫びを上げるが、速水はそれどころではなかった。
走っている間は呼吸を忘れていた肺が、それまでの分を取り戻すように忙しく動く。肋が軋むほどだ。
膝の付け根や脹脛など、酷使した筋肉が悲鳴を上げ始めている。
懸命に覚えた筋肉の名前など、酸欠の頭では出てきもしない。
「足にキたぁ…………」
「よぉ」
ゴール地点に中腰で動けないでいると、野太い声がした。
よろよろと顔を上げると、すずめ四天王のうち三人が揃っていた。
速水の全力疾走をばっちり見ていたらしい。
なりふり構わない全力疾走を見られたのは、何となく気恥ずかしかった。
「速水先輩、若いですねえ」
「…………お前が、言うなって」
「よくやるなあ。アキレス腱とかぶっ切れるぞ」
「そこまでは、衰えてねぇ…………」
速水が微妙に目を逸らすにも関わらず、彦根と島津が楽しそうに言う。
息を整えながら速水は反論した。
やっと呼吸が落ち着いてきたようだった。
残り一人のからかいを迎え撃つべく、速水は田口に目をやった。
「…………すごかった。足速いんだな」
「へ」
田口は柔らかな笑みを浮かべて言った。
素直な賞賛の言葉に速水は逆に驚いてしまう。
ついつい田口を凝視すると、田口は照れたように笑って、「筋肉痛になるぞ、きっと」と取り繕うように言った。
「ん、ああ…………」
不出来な受け答えをして、速水は目を逸らした。
真っ直ぐな視線が眩し過ぎる。
再度激しくなった鼓動は、久々にマジで走ったせいだと思うことにした。
「…………なーんかムズ痒いんですけど、ここ」
「慣れろ、新人よ」
やはりゴール地点で引っ繰り返っていた清川が、速水と田口が醸し出す雰囲気に中てられて呟く。
島津が少し気取った口調で言い、彦根が重々しく頷いた。
手っ取り早いのはランニングである。
稽古着に着替える前のジャージ姿で、剣道部は運動グラウンドを走っていた。
速水がちらっと振り向くと、最後尾の清川志郎が実に辛そうな表情で走っている。
さては受験勉強でナマっているな、と速水は密かに思った。
「しんど…………っ」
ランニングが終わって足を止めた途端、清川はグラウンドに座り込んだ。
同じ新入生の長村も似たり寄ったりだ。
年齢よりも慣れの問題なのか、上級生はまだ新入りをからかう余裕があった。
特に生意気が服を着て歩いているような清川は、絶好の的である。
「根性無ぇな、清川。そんなんじゃこれからの合宿を乗り切れねぇぞ」
「そーそー。夏場の道場なんて、居るだけで体力減ってくんだ」
「っさいですよ! 俺は長距離苦手なんです~」
「お、短距離ならマシなのか」
「若いですから」
「何をうっ?!」
掛け合い漫才の筈が、引っ込みがつかなくなったというべきか。
速水が口を挟まずに見ていると、あれよあれよといううちに五十メートル勝負が始まった。
確かに清川は速かった。
先輩をぶっちぎりでゴールし、しかもまだ余裕がある。
「へえ、二馬身差か」
競馬をやりもしないのに、何となく競馬用語で速水は感心した。
先輩の面目が潰れた二年生が速水に泣きついた。
「ぶちょ――っ」
「俺に走れってのか?! 無理に決まってんだろ」
縋る視線を速水は切って捨てた。
短距離走なんて、何年やっていないことか。
走るのは速い方ではあったが、分が悪過ぎると速水は思う。
しかし後輩どもはしつこかった。
「奴はバテバテです、今なら勝てます!」
「あ、ひきょーくせえっ!」
「うっせえよっ!」
先輩の発言を清川が非難し、更に先輩は怒鳴り返し。
お前ら元気じゃねえか、と思うくらいの大声の応酬だった。
速水は空を見上げて溜息を吐いた。
「負けても知らねえぞ」
「うっすっ!」
そうして速水は数年振りに短距離全力疾走することになった。
「よーい……どんっ!」
滅多に使っていなかった筋肉に、力が入るのが解る。
自分の足音だけが意識され、目に映るものが認識から遠い。
見えるのはゴール地点だけで、視界が極度に狭くなっていく。
ゴールラインを超えた次の一歩は、バンっ、と大きな音を立てた。
「っしゃ――っ、部長の勝ちぃっ!」
二年、三年が雄叫びを上げるが、速水はそれどころではなかった。
走っている間は呼吸を忘れていた肺が、それまでの分を取り戻すように忙しく動く。肋が軋むほどだ。
膝の付け根や脹脛など、酷使した筋肉が悲鳴を上げ始めている。
懸命に覚えた筋肉の名前など、酸欠の頭では出てきもしない。
「足にキたぁ…………」
「よぉ」
ゴール地点に中腰で動けないでいると、野太い声がした。
よろよろと顔を上げると、すずめ四天王のうち三人が揃っていた。
速水の全力疾走をばっちり見ていたらしい。
なりふり構わない全力疾走を見られたのは、何となく気恥ずかしかった。
「速水先輩、若いですねえ」
「…………お前が、言うなって」
「よくやるなあ。アキレス腱とかぶっ切れるぞ」
「そこまでは、衰えてねぇ…………」
速水が微妙に目を逸らすにも関わらず、彦根と島津が楽しそうに言う。
息を整えながら速水は反論した。
やっと呼吸が落ち着いてきたようだった。
残り一人のからかいを迎え撃つべく、速水は田口に目をやった。
「…………すごかった。足速いんだな」
「へ」
田口は柔らかな笑みを浮かべて言った。
素直な賞賛の言葉に速水は逆に驚いてしまう。
ついつい田口を凝視すると、田口は照れたように笑って、「筋肉痛になるぞ、きっと」と取り繕うように言った。
「ん、ああ…………」
不出来な受け答えをして、速水は目を逸らした。
真っ直ぐな視線が眩し過ぎる。
再度激しくなった鼓動は、久々にマジで走ったせいだと思うことにした。
「…………なーんかムズ痒いんですけど、ここ」
「慣れろ、新人よ」
やはりゴール地点で引っ繰り返っていた清川が、速水と田口が醸し出す雰囲気に中てられて呟く。
島津が少し気取った口調で言い、彦根が重々しく頷いた。
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COMMENT
ありがとうございます!
ありがとうございます。早速拝見致しました。
二人ともかわいい!!甘酸っぱい学生生活にニヤニヤして読んでしまいました。
具体的なリクエストが、どうもできなくてすみません。
満足しました。ありがとうございます。
二人ともかわいい!!甘酸っぱい学生生活にニヤニヤして読んでしまいました。
具体的なリクエストが、どうもできなくてすみません。
満足しました。ありがとうございます。
Re:ありがとうございます!
いらっしゃいませ。あんなので宜しかったでしょうか?
甘酸っぱいというよりか、熱血青春一歩手前? イヤ、でも、微妙に草臥れてるか、いろいろ……。行灯先生の出番が少なかったのがちょっと失敗でしたねえ。
>具体的なリクエスト
お気になさることありませんよ~。
具体的なリクエストを頂いたところで、「コレ何か違うかも……」ってどうせ謝ってるでしょうから、私。
懲りずにまた遊びに来てやって下さいませ。
甘酸っぱいというよりか、熱血青春一歩手前? イヤ、でも、微妙に草臥れてるか、いろいろ……。行灯先生の出番が少なかったのがちょっと失敗でしたねえ。
>具体的なリクエスト
お気になさることありませんよ~。
具体的なリクエストを頂いたところで、「コレ何か違うかも……」ってどうせ謝ってるでしょうから、私。
懲りずにまた遊びに来てやって下さいませ。

