5回オーバーならカテゴリ別立て、が基本なのですが。
6回で別立てって微妙な気がする……。
取り敢えずこのままやってみて、増えそうだったら考えよう。
25555ヒットのmaru様。
メッセージ受信しました!
ヒットおめでとう御座います。お久しぶりですねぇ。
今リクエスト溜め込んでいる状態ですので、ゆっくりで結構ですよ。
のーんびり考えて下さいませ。
6回で別立てって微妙な気がする……。
取り敢えずこのままやってみて、増えそうだったら考えよう。
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のーんびり考えて下さいませ。
電話では、田口がどんな顔をしているのか解らない。
だが電話の方が速水にとっては有難かった。
声を繕うことが出来る。
「正式に離婚した。報告しとく」
『そう、か』
速水が告げた言葉に、田口はそう一言返しただけだった。
暫くの沈黙があり、電話の向こうから遠慮がちな声が聞こえた。
『……………………大丈夫か?』
「ああ、そうだな」
大丈夫かと問われれば、大丈夫だとしか答えようがなかった。
実際のところ、少しだけ気持ちが軽くなった気もしていた。
弱りきっていた速水に遭遇したものだから、田口も気遣ってくれているのだろう。
小さく笑って、速水は軽い口調を作った。
「こないだは悪かった」
それ以上を言うと、どうしても話が具体的になりそうだ。
それはどうにも気まずくて、速水は曖昧な詫びで済ませようとした。
電話の向こうで田口が一瞬息を飲む。
だがほんの一瞬で、次に聞こえた田口の声音も平静ではあった。
『気にしてないから』
「そうか…………」
気にしていない、と言われた瞬間の気持ちを速水は把握し損ねた。
何故その一言がこんなに引っかかるのか、そこも疑問だ。
だが、何ともなしに速水は考え込んでしまった。
沈黙を怪訝に思ったのか、電話の向こうから田口の声が問うてくる。
『速水?』
「…………お前、同情だった?」
田口の声に、速水は低い声で問い返していた。
口にして初めて、何に引っかかっていたのか、速水は気付く。
田口にとってあの夜は、気にしていない、と言える程度の出来事なのだろうか。
伸ばされた腕も差し出された優しさも、速水があの夜に求めた全てが、ただの同情だったという事か。
それは酷く腹立たしく思えた。
速水の声が孕む怒気に気付いたのだろう、田口は電話の向こうで溜息を一つ吐いた。
『それなら俺も訊くけど』
電話越しでは表情は解らない。
平静さを取り繕われては、怒っているのか呆れているのかも判断出来ない。
そしてまた、田口はそういう風に表情を隠すのが巧いのだ。
感情を悟らせないまま、電話の向こうの声は囁いた。
『お前こそ、誰でもよかったのか?』
そう言うと、速水の返事を待たずに電話は切れた。
速水が離婚したことは、たちまちに知れ渡ったようだった。
特に人に話した覚えもないのに不思議なことである。
速水の携帯電話には、女性のアドレスが妙に増えた。
付き合ってもいいかと思えるような女性がいないこともなかったが、別れた直後でもあったし、多忙を理由に表面的な付き合いのみに留まっていた。
田口が最後に残した問いには、まだ答えが出ていなかった。
「はぁ…………っ」
溜息と共に玄関に座り込む。
コンクリートが尻を冷やすが、家に辿り着くまでに気力は使い果たしてしまい、動こうという気が起きなかった。
救えなかった。
最初から手の施しようが無かったのではない。
足掻いて足掻いて、それでも救えなかった命があった。
救命救急センターでは気丈に振舞ってきたが、自分の巣に戻ってきたところで速水の緊張の糸が切れた。
打ちのめされた気分で、自然と手は携帯電話を探していた。
玄関に座り込んだまま、見つけた名前で発信ボタンを押す。
たっぷりコール十回は待っただろうか。
相変わらず彼は電話に出るのが遅い。
『…………速水?』
柔らかく鼓膜を打つ声に、速水は正気に戻った。
我に返って、それから思い切り焦って。
結果、速水は電話をブチっと切ってしまった。
待ち受け表示に変わった携帯電話を手に、速水は項垂れた。
「誰でもよくなんかねえじゃん…………」
打ち拉がれて、真っ先に思ったのは田口だ。
速水が求めればすぐに来てくれるだろう、近くにいる優しい女性ではなく。
あの夜もきっとそうだった。
それが何よりの答えだと悟った。
だが電話の方が速水にとっては有難かった。
声を繕うことが出来る。
「正式に離婚した。報告しとく」
『そう、か』
速水が告げた言葉に、田口はそう一言返しただけだった。
暫くの沈黙があり、電話の向こうから遠慮がちな声が聞こえた。
『……………………大丈夫か?』
「ああ、そうだな」
大丈夫かと問われれば、大丈夫だとしか答えようがなかった。
実際のところ、少しだけ気持ちが軽くなった気もしていた。
弱りきっていた速水に遭遇したものだから、田口も気遣ってくれているのだろう。
小さく笑って、速水は軽い口調を作った。
「こないだは悪かった」
それ以上を言うと、どうしても話が具体的になりそうだ。
それはどうにも気まずくて、速水は曖昧な詫びで済ませようとした。
電話の向こうで田口が一瞬息を飲む。
だがほんの一瞬で、次に聞こえた田口の声音も平静ではあった。
『気にしてないから』
「そうか…………」
気にしていない、と言われた瞬間の気持ちを速水は把握し損ねた。
何故その一言がこんなに引っかかるのか、そこも疑問だ。
だが、何ともなしに速水は考え込んでしまった。
沈黙を怪訝に思ったのか、電話の向こうから田口の声が問うてくる。
『速水?』
「…………お前、同情だった?」
田口の声に、速水は低い声で問い返していた。
口にして初めて、何に引っかかっていたのか、速水は気付く。
田口にとってあの夜は、気にしていない、と言える程度の出来事なのだろうか。
伸ばされた腕も差し出された優しさも、速水があの夜に求めた全てが、ただの同情だったという事か。
それは酷く腹立たしく思えた。
速水の声が孕む怒気に気付いたのだろう、田口は電話の向こうで溜息を一つ吐いた。
『それなら俺も訊くけど』
電話越しでは表情は解らない。
平静さを取り繕われては、怒っているのか呆れているのかも判断出来ない。
そしてまた、田口はそういう風に表情を隠すのが巧いのだ。
感情を悟らせないまま、電話の向こうの声は囁いた。
『お前こそ、誰でもよかったのか?』
そう言うと、速水の返事を待たずに電話は切れた。
速水が離婚したことは、たちまちに知れ渡ったようだった。
特に人に話した覚えもないのに不思議なことである。
速水の携帯電話には、女性のアドレスが妙に増えた。
付き合ってもいいかと思えるような女性がいないこともなかったが、別れた直後でもあったし、多忙を理由に表面的な付き合いのみに留まっていた。
田口が最後に残した問いには、まだ答えが出ていなかった。
「はぁ…………っ」
溜息と共に玄関に座り込む。
コンクリートが尻を冷やすが、家に辿り着くまでに気力は使い果たしてしまい、動こうという気が起きなかった。
救えなかった。
最初から手の施しようが無かったのではない。
足掻いて足掻いて、それでも救えなかった命があった。
救命救急センターでは気丈に振舞ってきたが、自分の巣に戻ってきたところで速水の緊張の糸が切れた。
打ちのめされた気分で、自然と手は携帯電話を探していた。
玄関に座り込んだまま、見つけた名前で発信ボタンを押す。
たっぷりコール十回は待っただろうか。
相変わらず彼は電話に出るのが遅い。
『…………速水?』
柔らかく鼓膜を打つ声に、速水は正気に戻った。
我に返って、それから思い切り焦って。
結果、速水は電話をブチっと切ってしまった。
待ち受け表示に変わった携帯電話を手に、速水は項垂れた。
「誰でもよくなんかねえじゃん…………」
打ち拉がれて、真っ先に思ったのは田口だ。
速水が求めればすぐに来てくれるだろう、近くにいる優しい女性ではなく。
あの夜もきっとそうだった。
それが何よりの答えだと悟った。
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