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こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
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パラレル警報発令中


キリリク待機中だけど、すみません。ちっと詰め詰めで。
15回くらいになりそうだなぁ。ちなみにお坊ちゃん活躍予定が結構多い。
将軍の活躍はラスト寸前になりそうだ……。
さて、今回の大ウソ or 豆知識。


⑪お城の門ってフツー一つじゃないんだけどな。


皇居周辺の地理に詳しい方なら、すぐ解ると思います。
桜田門、坂下門、半蔵門、虎ノ門、赤坂御門、etc.
江戸城にもこういうふうに門がたくさんありました。
身分によって使える門が決まっていましたです。
例えば桜宮藩は譜代12万石の裏設定ですので、大手門を使って江戸城に登城することになります。
江戸城がこうなんだから、当然東城だって門が幾つかあるんだけどそこらへん一切スルー! です。一応、モデルにしたお城では「黒門」って名前付いてたかな。

藩主・高階上総介様の御前に通された一太郎さん。
幼いお顔が強張って、さぞ緊張されていることで御座いましょう。
しかしお母上様のご無事がご自分の両肩にかかっている事を、一太郎さんは十分に承知しておりました。



御前に進み出た一太郎を見て、高階と島津は目を見張った。密かに一太郎と速水を見比べる。
速水はそれに気付かなかった。

「……………………っ」

何をどうすればよいのか一太郎は解らなかった。
速水に話しかけたいが、そういう雰囲気ではない。
何処に座ればいいかも解らず、一人突っ立ってしまった。
一太郎と一緒に来た速水家の家人も同様で、雰囲気に委縮してしまっている。
速水も、この場を己が仕切っていいものやら判断に迷う。
高階が口を開いたのは当然の成り行きであった。

「まずは座りなさい、そう、速水の隣だ」
「は、はいっ」

扇子で示された場所に一太郎は座った。
座ると同時に肝も据わったのか、一太郎はきっちりと両手を突いて深く頭を下げた。よい家の子でもここまで躾られている者はいないと思われるほど、作法に適った礼であった。
高階は感心したように目を細め、鷹揚に促した。

「面を上げなさい。一太郎、と申したな? 母上に何事かあったそうだが、さて如何したのだ?」
「はい」

高階の言葉で顔を上げ、一太郎は前夜のことから語り始めた。

「母上は昨夜、私に、『貴方に文を一つ預けます。母に万が一のことがありましたら、その文を速水様に必ず手渡しなさい』と仰いました。今日になりまして、速水様のお屋敷にいる女の方に、母上が昨夜のお約束を忘れないようにと仰っていたと言われました。それで、母上をお探ししたら、お屋敷の何処にも見当たらず、お部屋には速水様への文がありました」

一太郎の言葉に補うところはないかと、速水は家人を振り返った。
伏し目がちの家人は一つ頷いてから、

「屋敷内は隈なく探しましたが、お客人の姿は見えませんでした。門番が木戸門から尼が出ていくのを見ています。恐らくはお客人ではないかと」
「きみ殿がいなくなったのは間違いない、か…………」

速水は苦虫を噛み潰したような表情になった。
湯殿で人払いをし、尼に化けて出ていくなど、用意が周到である。
高階が語った田口評を今更に思い出した。
一太郎は速水に向って、ずっと大切に抱いていた文を差し出した。

「母上より、直接にお渡しするようにと……お願いします」

この文が状況を変えるものであってほしい。
ずっと泣くのを堪えているような一太郎の表情に、切実な願いが籠っている。
速水はそっとその文を受け取った。
予想外にごつごつした手触りに眉を顰める。何か同封されているようだった。
速水が文を開くと、小さな木の札と焼き鏝が転がり落ちる。

「藍の官札と、焼き鏝? 何でこれが……勘定方が管理している筈だろう?」

転がり落ちたものに手を伸ばして、島津が首を傾げた。矯めつ眇めつしては、また首を傾げる。
その間に速水は文を読み進めた。一太郎はその速水を瞬きをせずに見つめていた。

「あの、莫迦…………っ」

読み終えた速水は、主君の前にも関わらず低い声で唸った。
高階、島津、一太郎、速水家の家人が速水に視線を注ぐ。
速水は顔を上げて、文を高階に差し出した。高階は素早く眼を通す。
読み終えた高階も流石に唖然とした表情になった。

「勘定奉行の曳地が、粗悪な藍を官のお墨付きの一級品と偽って売り裁き、その差額で私腹を肥やしているそうです」
「では、これは…………」

高階の言葉に、島津は打たれたように自分の手の中にある木札を見た。
高階は一つ頷いてから答える。

「ええ、曳地が作った偽の官札です。田口きみは、これを江志久村で手に入れたそうですよ。江志久村は確か、曳地の娘婿の野村の所領だったか……」
「それなら、曳地様と組んでいる藍問屋が沼田屋」
「そうなりますね……これで、五年前からの絡繰りが明らかになった」

男たちは黙り込んでしまう。
勘定奉行という藩の要職を預かる者が絡んでいるという事実に、空気が重くなるのは当然だった。
幼い声が重い空気を打ち破る。

「あのっ! それで母上はどちらに行かれたのですか?!」

一太郎に視線を向けられて速水は答えた。

「お前の母上は、伯父君の仇を討ちに行かれた。死を覚悟の上でな」
「そんなっ!」

一太郎の悲鳴を聞きながら、速水は歯軋りをした。
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