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こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
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パラレル警報発令中


8月になってしまったが、続きます。
あなた、コレをブチ切って「続きは次回のパラレル月間で」ってやったら恨まれるに決まってるでしょうね。
それでも8月は8月でやりたいことがあるので、さくさくっとこっちを進めたいです。
さて、今回の大ウソは。


⑨移動距離と速度がちーっとも解んねぇっ!


ってことなんですが。
東城下から愁訴庵まで、馬で半日ってどの程度の距離よ? つーか、馬ってどのくらいの速さで動くのよ? それを逆に駕籠で行ったらどんくらいかかるのよ?
ここらがちっともね、解らんちんなのですよ。
ネット検索で引っ掛かったのは、江戸時代の馬はサラブレッドとかではなく、速さもそんなに出なかったという点。武具込みで時速15㎞くらいだったとか。これ、自転車並みだそうです。
まあ軽装でもう少し速かったとしても、東城下から80キロ程度の距離に愁訴庵はあるというイメージなのですが。
ちなみにお城と「お鷹場」の距離感もイメージ掴めてないです。「目黒のサンマ」の目黒って狩猟場だったんだっけ?

速水様の、藩主・高階上総介様へのお目通りは明日ということになりました。
速水様がお連れになった田口母子を、お屋敷の方々は温かく歓迎なさいました。大きいお屋敷を探検したがる一太郎さんと、それをやんわりと窘めるきみ様のお姿には微笑ましいものが御座います。
一太郎さんと速水様を見比べて首を傾げる者が幾らかおりましたが、速水様はそれに気付かず、気付いていらっしゃるきみ様は何も仰いませんでした。



速水の帰参報告は午後になった。
控えの間で、速水はばったり旧知の島津に会った。

「よお」
「おう、お疲れさん。きみ殿にはお会い出来たのか?」
「まあな」
「速水様ぁ、島津様ぁ」

言葉を濁した速水に訝しげな顔を見せた島津だが、問いを重ねる前に高階からお呼びが掛かる。
二人合わせて呼ばれたことに、速水と島津は互いに顔を見合わせた。
だが、田口きみの件を島津にも聞かせようという高階の腹かと思いついて、二人は揃って高階の前に進み出た。

「ご苦労でしたね、速水」
「はっ」

高階の言葉に、平伏した状態から更に額を畳に擦りつけるまでに速水は頭を下げた。島津もやや身を伏している。

「楽になさい」
「「はっ」」

高階の言葉に二人は揃って頭を上げた。
しかし、話の口火を切るのは常に主君である。速水も島津も黙って待った。

「さて、速水。話を聞きましょうか」
「はっ」

高階に促されて、速水は報告を始めた。
きみの五年間については、きみが語った通りのことを語った。二つ三つ、一太郎から聞いたことも付け加える。
語るべきことは大層少なく、喉が渇くほどのこともなく報告は終わった。
速水の告げることに、島津も驚きの表情を交えながら耳を欹てていた。
速水が一通り語り終えると、高階は何やら考え込んだ。

「ふむ……兄の死を不審に思って調べてみたが行き詰った、とねえ…………」
「然様で御座いますが、何か?」

手遊びに扇子を鳴らしながら高階は呟いた。
速水の言葉に疑いを挟むような口調に、速水は当然ながら問い返す。
高階は一つ息を吐いた。

「私は、田口の妹のことは知りませんが、田口のことならよく知っています。あれは、人当たりの良さとは裏腹に執念深い性質をしていてね。その上頑固だから、そう容易く諦めることをしない。時間があれば、沼田屋の裏も暴いていたでしょうね」
「「はあ…………」」

話の筋が見えなくて、速水も島津も曖昧に頷いた。
高階は口元に人の悪い笑みを浮かべ、更に言葉を続けた。

「その田口がね、妹については自分によく似ていると語ったことがありますよ。育て方を間違ったかもしれないと、冗談交じりに言っていました。田口きみは、諦めたとは口にしていないのでしょう?」
「…………きみ殿は田口先生の仇討を諦めていない、と?」
「ちなみに、尤もらしい空言を口にするのも巧かったですよ、田口は」

高階の言葉に速水は眉間に皺を寄せた。
きみが隠し事をしているのは、速水も十分に承知していた。
だがそれは、辛い過去を語りたくないという部類の、感傷からくるものだと思っていた。触れられたくないものに土足で踏み込んでよいものかと、躊躇していた部分がある。
きみと面識があるからこそ、速水は遠慮してしまったのだ。
考え込んだ速水を、島津も高階も暫くそっとしておいてくれた。
だが、近侍役が一段離れた場所から声をかけて、束の間の静寂を打ち破った。

「速水様に申し上げます。ご家中より使いがありまして、至急のお戻りを乞うております」
「何かあったのか?」
「客のご婦人の姿が見えないと……その…………」

速水は座ったまま、身体の向きを変えて近侍役に相対した。
作法に則り頭を下げて報告していた近侍役だったが、何事か言い淀むと、ほんの少しだけ目線を上げて速水の顔を伺った。
実に困惑の表情で近侍役は告げた。

「速水様に至急お会いしたいと、田口一太郎と申す子供が、門の前に座り込んでおります」
「何っ?!」

如何して城に一太郎が。
驚きの余り、速水は腰を浮かせてしまった。
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