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こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
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パラレル警報発令中


やっと最後のシーンへ辿り着いたよう。
ここからは展開速い筈。場面ころっころ変わるかもしれない。
始めてみないと解らない部分はありますが。
さて今回の大ウソ。最近は大ウソって言うより、豆知識かも。


⑩速水様のお屋敷ってどのくらい?


1800石の旗本拝領屋敷で敷地617坪、建屋286坪、母屋160坪という資料が手元にあるので、大体これよりちょーっと少ないくらいのイメージです。
ああでも、江戸じゃなくて地方の設定だから、土地余ってたかな?
母屋の他に、雇っている侍が住む長屋があったり土蔵や厩があったりします。それが建屋坪数に含まれてくるのかと。
しっかし、平屋とは言え160坪よ? 羨ましい限りだわ……。

藩主・高階上総介様の御前にいらっしゃる速水様の元へ、一太郎さんが門前に座り込んでいるとの知らせが入ります。
速水様がお留守中のお屋敷で、何が起きたので御座いましょうか。
少しばかり、時を巻き戻してみたいと存じます。



文を書き上げると、きみは丁寧に包んだそれを文机の上に置いた。
それから下女を呼んで、髪を洗いたい旨を告げる。
昼下がりの半端な時間ではあったが、下女は快く応じてくれた。
湯殿に案内された後、きみは振り返った。

「そう言えば、一太郎は如何しておりますか?」
「お坊ちゃまで御座いますか? お庭を見てくると、外の方へ行かれました」

きみの問いに、下女は小さく笑いながら告げる。
案の定、広い屋敷は子供の冒険心を存分に刺激したらしい。午前のうちは屋敷内の探索をし、昼餉を食べてからは庭へと飛び出した。
きみも苦笑を浮かべて答えた。

「まったくあの子は……一太郎に伝えて下さいな。昨夜のお約束を、決して忘れないように、と」
「承知しました」

昨夜の約束、とは何か礼儀作法に関することだと下女は思ったのだろう。
特に疑問を抱かずに笑って頷いた。
手伝いを申し出る下女を断って、きみは湯殿の戸を閉めた。




「ああ、一太郎様」
「はぁい。何でしょうか?」

少しして、一太郎を見つけた下女は笑って声を掛けた。
主の客に気安く声を掛けるのは、本来ならあってはならないことだが、きみも一太郎も嵩高なところが無かった。
今も、下女に呼び止められた一太郎は笑って下女を見上げた。

「お母上が、昨夜のお約束をお忘れになりませんように、と仰っておりましたよ」
「昨夜のお約束…………っ!!」

大きな目で下女を見上げ、二、三度瞬きした後、一太郎は息を呑んだ。
たちまちのうちに幼い表情が険しくなった。
勢いのまま、一太郎は叫ぶ。

「何処だっ?!」
「え、え…………?!」
「母上は何処だと、訊いておるっ!」

子供の剣幕に驚き反応出来ないでいる下女に焦れ、一太郎は草鞋をその場へ脱ぎ散らかして縁へ上がった。更に下女に詰め寄る。
湯殿へ駆けつければ、湯殿は蛻の殻だった。
一太郎はけたたましい足音と共に、昨夜休んだ部屋へ戻る。そこにもきみの姿はない。
文机の上には一通の文がきっちりと置かれていた。宛て名には、子供にも読めるように平仮名で「はやみさま」とある。
その文を両手で大切に取り上げると、一太郎は騒ぎを聞きつけてやってきた家人達に叫んだ。

「速水様に会いに行きますっ! 今直ぐに!!」

そうして、城の場所も解らないままに飛び出そうとした一太郎を、慌てて速水家の家人が追い掛けたのだった。



「解った。殿、失礼仕ります」
「いいえ。その子供を此処へ連れて参れ」

近侍役の報告に、慌てて門まで行こうとした速水だったが、高階に留められた。
瞬間速水は剣呑な目つきになったが、高階の言葉に今度は目を丸くする。島津も同様に驚きの表情を浮かべた。近侍役だけが、高階の命を受けて門へ取って返す。
近侍役が戻るまでの間、再び沈黙が訪れた。
高階の真意を測るように窺う速水と島津に、高階は苦笑を浮かべた。

「田口の妹の子なのでしょう、その子は? ちょっとした数寄心ですよ」
「「はあ…………」」

権力者の好奇心ほど面倒臭いものは無いと、速水も島津も密かに思う。大抵の我儘は通ってしまうから厄介だ。
じりじりしながら待っているうちに、藩主の前に一太郎が案内されてきたた。質素な着物の一太郎は、可哀相なくらいに場違いに見えた。
物珍しそうに周囲を見回していた一太郎が、速水の顔を見つけた途端、泣きそうな顔になった。歯を食い縛って、泣くのを堪える。
一太郎は文を抱き込んだ両手に、ぎゅっと力を込めた。
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