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こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
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パラレル警報発令中


数え直したら14回ぐらいになりそうだ。
8月のお盆前には終わればよいのだけれど。
「桜宮藩物語・8」にちょっと手直ししています。
考えていた遣り取りを一つ、スコーっンと忘れていたのです。
そのままスルーするにはちょっとドラマ的に捨てがたかったので、追加してます。ちょっと長くなってるよ。
どうして書いてる時には気付かないのだかねえ。
そんでもって本日の大ウソ。


⑧参勤交代って7月?


ウソです。
正確に言うと、8月と2月の二交代制です。8月に江戸へ行くお大名と、2月に江戸へ行くお大名の二通りあったそうです。別の資料では3~4月と9~10月になってますが、恐らく旧暦と新暦の違いかと。
桜宮藩は8月の設定で、道中の長さを考え、出発するのが7月……ということです。ちょうど連載の時期が7月ということもありましたしね。
ところがここで、も一つ問題発生。
伊豆ぐらいじゃせいぜい5日、10日もしないうちに江戸まで到着しそうなのですよ。安政期の鳥取藩で、22日の行程なのですから。
安政というとまあ幕末期、各藩経費削減のため行程は詰め詰めだったと考えても、伊豆と江戸の距離が変わるワケじゃないし。
8月出発でも間に合ったかなぁと後になって思ったのですが、ま、今更だ。

明くる日、速水様と田口母子は藤原尼様に暇を告げて、愁訴庵を出立なさいました。
速水様お一人が馬で進みますと半日という道程で御座いますが、女人のきみ様がご一緒ではそうは参りません。
駕籠かき達の掛声と共に、一行はのんびりと道中を進めて参りました。



「うわぁっ」

馬の揺れに一太郎は歓声を上げる。
最初のうちは初めて乗る馬に落ち着かなかったらしいが、今はもう楽しくて仕方がないようだった。
速水は馬の轡を押さえて歩きながら小さく笑っていた。
子供にしては筋がいい。剣術といい、身体がよく動く子供なのだろう。
少し後ろから、きみを乗せた駕籠が掛声と共に付いてくる。
速水に馬の口取り役をやらせることに、きみはかなり恐縮していたが、速水は一向に気にしなかった。
思えば不思議なものである。
きみと他の男の間に出来た子である一太郎が、疎ましいと思えなかった。無邪気に慕われれば可愛くもあるし、きみとの遣り取りは微笑ましくもある。
一太郎の、人に好かれる性質はきみや、きみの兄である田口によく似ていると思われた。



「うわあ…………」

東城下の町並みに、一太郎はぽかんと口を開けていた。
馬の上から右に左に忙しなく顔を動かすので、身体まで落ちそうになる。
その頃には一緒に馬に乗っていた速水は、子供の腰を支えてやらねばならなかった。
夕の鐘が鳴る前に、東城下に入った。速水家の屋敷は二の郭にある。
町屋や下級藩士の住む三の郭を抜ける間も、上級藩士の住む大きな屋敷が並ぶ二の郭を進む間も、一太郎は驚嘆し通しだったのだ。

「そんなに驚かなくても…………」
「ですが、速水様! 私はこんなにたくさんの、大きい家を見たのは初めてですっ」
「そうか……今まではどんなところにいたんだ?」

興奮気味の一太郎に速水は問いかける。
話のついでというところだが、詮索しているような気になったのは仕方のないことだった。
何せきみは口が堅い。子供の方から探りを入れようと思ったのは下心である。

「江志久(えしく)村という村です。そこの黒戸(くろと)寺というところでお世話になっておりました!」
「そうか。どんなことをしていたんだ?」
「えっと、剣術の稽古をしたり、手習いをしたりしました」
「もう手習いをしていたのか、早いな。母上が教えて下さったのか?」
「はいっ! 母上は、私の他にも寺に来る子たちに、字を教えたり行儀を教えたりしていらっしゃいました」

江志久村、というのに心当たりはなかった。よほど小さい村なのだろう。
その村で、田口母子がまずは恙無く暮らせていたらしいことに、速水は密かに安堵した。
その後も子供は、大きな門に驚嘆の声を上げ、鬼瓦をまじまじと見つめ、お仕着せの下女の姿に首を傾げる。
ずっと東城下に暮らしていた速水にはさほど驚くべきものでもなかったが、一太郎にとっては全てが初めてであり、新鮮であるようだった。



速水家の前に到着すると、やはり一太郎はぽかんと口を開けた。
門の脇にある詰所ですらが、村の建物一つに比肩する。

「口に虫が飛びこむぞ」

そんな一太郎の姿に、速水は笑って一太郎の頭をぐいと動かし、口を閉じさせる真似をした。一太郎はそれを面白がって笑った。
少し遅れて到着した駕籠から、きみが下りてくる。駕籠かきの男たちに二言三言話しをし、何かを渡していた。
速水が近寄るより先に、駕籠かき達は空の駕籠と共に去っていく。

「何を渡したんだ?」
「ちょっとした文遣いを頼みました。心付けも十分に」

きみはさらりと言って、それからさりげなく駕籠の中で強張った背筋を伸ばした。
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