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こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
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パラレル警報発令中

そろそろ先行きが苦しくなってきたぞ?
コレを書くために、6月は図書館から江戸時代風俗関係のビジュアル本を借りまくっていたのですが、書いてるうちにどうなんだろ?と思うことが山ほどです。
勉強はしといた方がいいと常々思うな。
ところで今日の大ウソは、女性風俗編。

④既婚女性はお歯黒なんだけど。

やっぱりビジュアルエフェクトの観点から却下。
つーか、今の時代劇にお歯黒入れてる女の人なんかてんで出てきやしませんね。
お歯黒してれば既婚者、眉がなければ子持ち、と当時は一目で解ったそうです。女子の元服に当たるのがお歯黒なので、そこそこの年になったら(未婚でも)黒くする説もあるのですが……。
この点からいくと、きみさんも眉なし、お歯黒の筈。
ついでにいうと、髪型も未婚と既婚、武家と市民では違います。更に中期と後期では同じ未婚女性の「島田髷」でも違うらしい。
そういう意味では、今の時代劇はかなりいい加減だということです。


関係ないけど、高村薫の新刊出てたんだ。知らんかった。
図書館待ちですけど、義兄出てるかな? 合田と喋るかな?

遂に再会された速水様ときみ様。
お二人の間に一体何がありましたのか、きみ様は沈黙するばかりで御座います。
そんなお母上を、一太郎さんが不思議そうな顔で見守るのでありました。




「お客様を裏へご案内するなど失礼ですよ、一太郎殿」
「はあい。ご免なさい」

藤原尼にやんわりと窘められて、一太郎は可愛らしく謝った。
速水の表情を窺うので、気にしていないことを示すように笑ってみせる。
速水の笑顔を見て一太郎も更に笑った。
よく笑う、元気のよい子供に速水は好感を覚える。
一方で、硬直して立ち尽くしたままのきみのことも気になった。
速水が投げた視線がきみと合い、きみはそっと目を伏せる。

「これ。嘉助」

藤原尼も密かにきみの様子を窺っていたが、きみには何も言わず、下男へ速水の馬を預かるように指図した。必要以上に頭をぺこぺこと下げながら、初老の下男が速水の馬を引いていった。
下男の姿が完全に消えるのを待ってから、藤原尼は速水に対してにっこりと笑った。

「はるばるおいでなさいました。まずはお上がり下さいませ」

藤原尼の言葉に速水は一つ頷いて、改めて入口へ回ることになった。



「お預かりいたしますっ」

中へ入る際に、一太郎が布を持った手を差し出した。刀を預かろうというのだ。他家を訪れる際には、玄関口で刀を預けるのが礼儀である。
一太郎は速水の刀の重さに少し驚いたようだったが、取り落とすようなこともなく、速水の後ろに付いて応接の間までやってきた。礼節に従って刀を置く。
そこまでは立派にこなしたのに、次の間に引いた途端、襖障子の向こうから、

「母上、出来ましたっ!」

と報告する元気のいい声がそっくり聞こえてしまった。
可笑しくなって速水が苦笑を零すと、速水の様子を窺っていた藤原尼と視線が合う。
その目が意味ありげに見えて、速水は居心地の悪い思いをした。
そんな速水に気付いているにも関わらず、藤原尼は表情を動かさないまま速水の前で指を突いて頭を下げた。

「当庵を預かります、藤原尼と申します」
「近侍御用掛、速水晃一だ。本日は主命により参った」

ここまでは常の挨拶口上だが、そこから先の言葉に速水は詰まった。
ことがきみに関わるので、きみがこの場にいた方がいいのだが、さて何と言って呼んで貰えばいいのやらである。
当のきみは一向に出てくる気配がない。
気を利かせてはくれないかと藤原尼に視線をやると、呆れたような顔をした上に、堂々と溜息を吐かれてしまった。
先ほどから薄々感じていたが、この尼君は態度が嫌に大きい。城の奥仕えの、年季の入った老女がこういう雰囲気の持ち主だ。
しかし藤原尼も、そこは気を遣ってくれた。

「きみ殿、いらっしゃいませ。速水様はきみ殿にお話があるようですよ」
「…………はい」

躊躇いがちの幽かな返事の後、すっと襖が開いてきみが姿を現した。
藤原尼から少し離れた末席に座って指を付いて頭を下げる。

「お久しゅう御座います、速水様」
「…………ああ」

頭は上げたものの目線は伏せたままのきみを、速水はじっと見つめた。
記憶にあるのは彼女が十七の、本当に娘だった時の姿だ。五年前に比べ、少し痩せたかもしれなかった。
夏に相応しい、瓶覗きの地に黒い縦の細縞が入った麻の小袖は質素だが清潔感があった。帯の黒が全体を引き締めている。
髪は寡婦が結う切り髪に結っていて、前髪に櫛を一つ差しただけ。
何時の間に結婚をし、そして死別したのか。一太郎というのはきみの子供なのか。
どうして五年前、速水にさえ何も言わずに姿を消したのか。
きみに尋ねたいことは山のようにある。
だが、藤原尼の存在と、何より頑なに伏せた瞳に阻まれていた。
近寄って、速水を見ようとしないきみの顔を、強引に此方へ向けたいと思った。
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お歯黒は…
こんばんは。いつこです。
お歯黒はないですよねー。しかもあれクサいっていうし。
そして眉なしもこわい。
私歌舞伎が好きでよく観に行くのですが、美女の設定でも眉ないと「????」となりますもん。
ちなみに先日おっしゃってた月代は、私はアリだと思います(^^ゞ
映画版将軍の髷姿が目に馴染んでるせいかな?

連載の続き楽しみにしております♪
いつこ 2009/07/24(Fri)23:58:32 編集
Re:お歯黒は…
いらっしゃいませ、コメント有難う御座います。

ええ、お歯黒はねえ。眉なしも。
ビジュアルは娯楽時代劇を想像して下さいデス。
将軍の髷姿って、アレ? 去年の大きい河ドラマ? そうか、あのビジュアルか。
未亡人の「切り髪」は天障院を想像してもらえばよろしいかと存じます。日本髪にポニーテール乗っけてるようなヤツね。
S.Kirishima 2009/07/25 07:29
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