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こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
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パラレル警報発令中


そもそもこの話、某素敵サイトさまのお坊ちゃんが3歳児にして時代劇がお好きというところから始まりました。
お坊ちゃんお気に入りの時代劇は何だろうか、と。
そんなワケで、「あのセリフ」を出します。
解った方はコッソリ笑って下さいね。


そして、今回の大ウソは田口先生についてです。


②この時期に藩学があったかはビミョー。
……です。手習い所=寺子屋が急速に増えたのが享保期だそうで。
藩学の設置は幕末になり、この頃に藩学があったのはかなり進歩的な藩といえるらしいです。
桜宮藩は進歩的なんだよ、うん。


コメントを利用して土用丑の日SSSをくっつけています。
……下ネタ、かな。笑って許してくれる方だけどうぞ。

さて所変わりまして、桜宮藩東(あずま)城下から離れたところに、お鷹場が御座いました。
綱吉公が出された生類憐みの令以後、廃れ気味でありました鷹狩りで御座いしたが、吉宗公の御代には復活の兆しが見えておりました。
このお鷹場の近くに、愁訴庵(しゅうそあん)と申します小さな庵が御座いまして、藤原尼(とうげんに)様と仰られる方が庵主を務めておりました。



「大分宜しいようですね、きみ殿。御顔の色が戻ってきましたよ」
「お世話をおかけいたしました」

藤原尼が微笑みかけると、蒲団の上に起き上がった女性・田口きみは軽く頭を下げた。藤原尼は小さく頭を振って礼を受け流す。
そこへ、静かな庵に似つかわしくない、賑やかな足音が響いた。
大人の足音ほど重くないその音に、藤原尼ときみは顔を見合わせる。
藤原尼の顔に浮かぶのは呆れ交じりの微笑、きみの顔に浮かぶのは恐縮交じりの苦笑だ。

「母上、失礼しますっ」

障子の向こうから問いかけた子供は、きみが返事をするより早く障子を開け放った。身体ごと部屋へ飛び込んできて、きみのいる蒲団の傍へ正坐する。

「母上、藤原尼様、おはようございますっ」
「一太郎…………お前という子は、何度言えば解るのです」
「母上、今日の御加減は宜しいのですか?」

正坐して、頭を下げて、再び頭を上げる。
一連の動作を、一太郎と呼ばれた子供は一息でやってのけた。
きみがわざとらしく吐いた溜息を、一太郎はちっとも聞いていない。
蒲団に身を乗り出すようにして、母親の顔色を窺っている。
母を気遣うその様子に、きみもそれ以上のお小言を口にするのを止めにした。

「ええ、大分よくなりました。一太郎にも心配をかけましたね」
「とんでもありませぬ!」

ぶんぶんと頭を振って一太郎は言った。
正坐も止めて更に身を乗り出す。母の寝着の袂を強く握った。

「私が母上を心配するのは当たり前です。私の母上なのですから」
「ええ」
「私が、父上の分まで母上をお守りするのです。必ずや立派な武士となり、母上をお幸せに致します」

きみが柔らかく頷くと、両の拳をぎゅっと握って一太郎は宣言した。
きみはゆっくりと笑って静かに手を上げる。一太郎が結った喝僧の頭を崩さないように、そっと一太郎の頭を抱き込んだ。

「勿論お前は、お父上のように立派な武士になりますよ。お前のお父上は、桜宮一の剣の上手と謳われた方ですもの。それに、お前がいてくれるだけで私は幸せです」
「はいっ」

きみの腕に抱かれて、一太郎は強く頷いた。少し乱れた髪を手で撫でつけてやって、きみは笑った。
そこへ藤原尼が口を挟む。

「さあ、一太郎殿。お母上はもう少し静かにお休みする時間が必要です。外へ出かけていらっしゃいませ」
「はいっ。そうだ母上、昨日、庵の裏で白い子猫を見つけたのです! 可愛らしかったです!」
「まあ。一緒に遊べるとよいですね」

きみの言葉に一太郎はもう一度大きく頷くと、来た時と同じように賑やかな足音と共に部屋を飛び出していった。
一太郎の気配が無くなると、藤原尼はくすくすと笑い始める。

「お元気だこと」
「お騒がせしまして……」
「子供はあれぐらいがよいのです。あの時、貴女のお腹の中にいた子が、あんなに大きくなったのですね。月日が経つのは本当に早いこと」
「ええ…………」

藤原尼の言葉に記憶を刺激され、きみは小さく呟いた。
きみが藤原尼と出会ったのは五年前の七月か八月頃だった。今回と同じく、旅路の途上で具合を悪くしたところを助けて貰ったのが縁だ。
兄を亡くしたのは、五年前の四月。

「…………兄上の仇は掴めそうですか?」
「ええ」

ひっそりと問われ、きみは頷き返す。
藤原尼の表情が何となく曇る。
藤原尼の心中を薄々察することは出来るが、敢えてきみは口にしなかった。

「早まった真似をしてはなりませんよ。貴女には一太郎殿がいるのです」
「ええ」

藤原尼の苦言が温かかった。
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土用丑の日SSS
「あー美味かった」
「そうだな。食べ過ぎたかも」

料亭を出て、速水と田口は満足の吐息を洩らした。
土用の丑の日と言えば、鰻である。
最近では丑の日以外にも手に入るとは言え、やはりこの日は特別だ。
ちょっと値の張る場所で食べようと料亭まで足を運んだワケだった。
食欲が満たされたら、お次は。

「折角付けたスタミナは有効に使わないとな」

意味ありげな速水の言葉に田口は視線を逸らした。
土用の鰻は夏を乗り切ろうという意味であって、その日のうちに消費する為のものではない、と田口は思ったりするのだが。

「な?」

田口が、速水に抗いきれるわけがないのだ。
せめてもの悪足掻きに田口は溜息を一つ吐いた。

「…………食い過ぎたから、少し消化しないと」
「手伝ってやるよ、ベッドで」
霧島 2009/07/19(Sun)20:44:07 編集
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