パラレル警報発令中
パラレル第2弾です。
注意報じゃなくて警報です。パラレル度は上です。
タイトルからお察しの通り時代劇パラレルです。
しかもカテゴリを別立てした通り、長くなりそうな予感がプンプンとします。つーか、何回ぐらいになるか見当もついていません。たぶん7月中には終わらない……。
その上、行灯先生女の子バージョンで進みます。男行灯は故人設定。
んでもって、名前をちょっと弄ります。
ハヤミコウイチじゃ時代劇っぽくないので、晃一と書いてアキタダと読んでたりします。
上記を読んだだけで、いろいろ痛そうなのが丸解り。
お付き合い頂けると有難いです……。
パラレル第2弾です。
注意報じゃなくて警報です。パラレル度は上です。
タイトルからお察しの通り時代劇パラレルです。
しかもカテゴリを別立てした通り、長くなりそうな予感がプンプンとします。つーか、何回ぐらいになるか見当もついていません。たぶん7月中には終わらない……。
その上、行灯先生女の子バージョンで進みます。男行灯は故人設定。
んでもって、名前をちょっと弄ります。
ハヤミコウイチじゃ時代劇っぽくないので、晃一と書いてアキタダと読んでたりします。
上記を読んだだけで、いろいろ痛そうなのが丸解り。
お付き合い頂けると有難いです……。
時は享保と申しますから、お江戸では暴れん坊の上様が市中を歩き回り、お奉行様が子供を奪い合う母二人に名裁きを下していた頃のことで御座います。
ここ豆州桜宮藩では、藩主・高階上総介権太(のりひろ)様がこの年の江戸勤めを終え、参勤交代で国元にお戻りになっておりました。
「お戻りなさいませ」
「ご無事のお戻り、何よりで御座います」
速水と島津は揃って頭を下げた。
高階は鷹揚に頷いてから、二人に頭を上げるよう申しつける。
「二人とも息災でなにより」
「「恐れ入ります」」
儀礼的な挨拶が済むと、そこで会話が途切れてしまった。
元々、上からのお言葉があるまで下の者は口をきかないものだ。
速水と島津は、互いに横目で様子を伺っていた。
「今日、特にその方ら二人に限って召し出したのには理由がありましてね」
「「はっ」」
居心地の悪い二人の様子を解っているのだろう、高階は早速に要件に入るようだった。藩主でありながら丁寧な口調を使うのは、高階の習いだ。
何を言われるかと、畳に手を付いて二人は畏まった。
そんな二人に高階は少しだけ笑う。
「楽にしていなさい。話は長い」
「「はっ」」
そう言われても返事が硬くなるのは、武家としては仕方のないことだった。畳に付いた手を膝へ戻すのが精一杯の「楽な姿勢」だ。
「君たちは、碧翠館の田口を知っていますね?」
「はい」
「田口先生には、よくご指導頂きました」
高階の問いに速水と島津は揃って頷いた。
その表情が何となく暗くなる。
田口公平(まさなり)は藩学・碧翠館で論語や孟子、和歌などの講師を勤めていた。また、城では奥祐筆として機密文書を扱い、藩主の懐刀とも囁かれていたのである。
そして五年前、届けの無い鉄砲の所持の咎で縄を打たれ、腹を切って果てていた。
田口の人となりを知っていただけに、速水も島津も到底信じられなかった。
届けのない鉄砲の所持は、謀反を疑われるのだ。
「田口に妹がいたことも?」
「きみ殿ですね?」
「はい、存じております」
重ねて問われ、速水と島津は順に頷いた。
頷きながら、速水も島津も藩主の意図を量りかねていた。
田口に妹がいた事実を知っている者なら、速水や島津以外にもいる。
その中で特に二人に限った理由は、おそらく高階は二人が田口きみ本人とも親しかったことを知っているからだろう。
失礼にならない程度に高階の顔を窺う速水と島津に対し、高階は憂鬱そうな表情のまま口を開いた。
「五年前の一件の後、田口家は断絶となり、きみ殿は縁者を頼ると言って城下を離れ、行方が知れなくなった……それも知っていますね?」
「はい」
速水の背中に緊張が走る。
島津が気遣わしげに速水を見たが、その視線に構っていられなかった。
身を乗り出すようにして高階の言葉を待つ。
切迫した速水の表情を解っているのだろうか、解っていて速水を宥めようというのか、高階は落ち着いた口調で言った。
「きみ殿が戻ってきたそうです」
ここ豆州桜宮藩では、藩主・高階上総介権太(のりひろ)様がこの年の江戸勤めを終え、参勤交代で国元にお戻りになっておりました。
「お戻りなさいませ」
「ご無事のお戻り、何よりで御座います」
速水と島津は揃って頭を下げた。
高階は鷹揚に頷いてから、二人に頭を上げるよう申しつける。
「二人とも息災でなにより」
「「恐れ入ります」」
儀礼的な挨拶が済むと、そこで会話が途切れてしまった。
元々、上からのお言葉があるまで下の者は口をきかないものだ。
速水と島津は、互いに横目で様子を伺っていた。
「今日、特にその方ら二人に限って召し出したのには理由がありましてね」
「「はっ」」
居心地の悪い二人の様子を解っているのだろう、高階は早速に要件に入るようだった。藩主でありながら丁寧な口調を使うのは、高階の習いだ。
何を言われるかと、畳に手を付いて二人は畏まった。
そんな二人に高階は少しだけ笑う。
「楽にしていなさい。話は長い」
「「はっ」」
そう言われても返事が硬くなるのは、武家としては仕方のないことだった。畳に付いた手を膝へ戻すのが精一杯の「楽な姿勢」だ。
「君たちは、碧翠館の田口を知っていますね?」
「はい」
「田口先生には、よくご指導頂きました」
高階の問いに速水と島津は揃って頷いた。
その表情が何となく暗くなる。
田口公平(まさなり)は藩学・碧翠館で論語や孟子、和歌などの講師を勤めていた。また、城では奥祐筆として機密文書を扱い、藩主の懐刀とも囁かれていたのである。
そして五年前、届けの無い鉄砲の所持の咎で縄を打たれ、腹を切って果てていた。
田口の人となりを知っていただけに、速水も島津も到底信じられなかった。
届けのない鉄砲の所持は、謀反を疑われるのだ。
「田口に妹がいたことも?」
「きみ殿ですね?」
「はい、存じております」
重ねて問われ、速水と島津は順に頷いた。
頷きながら、速水も島津も藩主の意図を量りかねていた。
田口に妹がいた事実を知っている者なら、速水や島津以外にもいる。
その中で特に二人に限った理由は、おそらく高階は二人が田口きみ本人とも親しかったことを知っているからだろう。
失礼にならない程度に高階の顔を窺う速水と島津に対し、高階は憂鬱そうな表情のまま口を開いた。
「五年前の一件の後、田口家は断絶となり、きみ殿は縁者を頼ると言って城下を離れ、行方が知れなくなった……それも知っていますね?」
「はい」
速水の背中に緊張が走る。
島津が気遣わしげに速水を見たが、その視線に構っていられなかった。
身を乗り出すようにして高階の言葉を待つ。
切迫した速水の表情を解っているのだろうか、解っていて速水を宥めようというのか、高階は落ち着いた口調で言った。
「きみ殿が戻ってきたそうです」
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