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こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
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パラレル警報発令中


現時点の予測で12回程度。7月中に終わらないこと決定。
連載を放置して8月の企画に入るのは変だから、8月もこの続き書くでしょうね。
8月企画はやるけど。季節ネタだから、次……。


さて、時代劇といえば髷。
皆さんの脳内ビジュアルで、彼は月代入ってますか? 頭剃ってます?
霧島の答えはNOです。本文中も、そこのところには敢えて触れていません。
というワケで、今日の大ウソ。

③月代入ってる筈!

……なんだけど。なんだけどおぉ。
ビジュアル的に許せるモンと許せないモンがあるでしょう?
大雑把に言って、中期に本多髷、後期に銀杏髷、というのが男性の髪型の流行りだったようだ。本多髷はバリエーションが山と出るほど流行ったらしい。
大体、月代は戦国時代、兜の中で頭が蒸れるから、というのが発生源らしい。現在の大きい河ドラマのなおえなんかモロその時代なんだから、ヤツは剃ってない方が間違ってる、んだけど。
ビジュアルには敵わないよなぁってことで。

東城下を出て馬を走らせること半日ばかり。
昼を過ぎた頃に、速水様は愁訴庵の近くまで辿り着きました。
五年前に別れたきみ殿との、再会の時が近付いてきているのでありました。



お鷹場までは知った道中だったので、難無く辿り着いた。
しかしそこから、藩主高階上総介に教えられた愁訴庵とやらが解らない。
地元の者に尋ねればいいと思ったが、お鷹場の付近には人が少なかった。藩主のお鷹場の近くに住まいする百姓が少ないのは、考えてみれば道理である。
勘を頼りに細い道を進んでいるが、このまま行っていいものやら、流石に剛毅な速水も心許ないところであった。
すると、ぴょこっと茂みから白い猫が飛び出した。
速水が驚いたのが伝わったのか、馬も一瞬身を強張らせる。
猫は跳ねるように馬の前を突っ切って、次の茂みに飛び込んだ。
速水は馬の首筋を軽く叩いて宥めた。
すると。

「ねーこー。ねこねこ――っ」

子供の声が一つしたと思ったら、脇の茂みがまた揺れた。ぴょこんと子供が顔を出す。
きょろきょろと左右を見回すが、馬の脚に気付いて顔を上げた。
子供特有の黒が多い目が、速水をまじまじと見上げている。

「…………白い猫なら、向こうへ行ったぞ」
「はい、有難う御座いますっ」

速水が指差した方向へ走り出そうとして、子供は足を止めた。
馬の前を横切るのも後ろを横切るのも危険だと、ちゃんと教わっているようだ。
子供を通すためには速水が進むべきである。

「子供」
「はい」

速水は馬上から尋ねた。
この場合、速水の口調が尊大になるのも致し方無いだろう。速水は武家の、それもかなり頂点に近い位置にいるのであり、相手は田舎の子供なのだ。
子供は歯切れのよい返事をして、速水の言葉を待っていた。

「この辺りに愁訴庵という尼寺があるそうなのだが、知らないか?」
「しゅうそあん? え?」

速水の質問に首を傾げた子供は、次の瞬間にっこりと笑った。



「母上――っ! 藤原尼さま――っ! お客様で――すっ!」


元気のよい声が庭からして、田口きみと藤原尼は苦笑と共に顔を見合わせた。お客と一緒だというのに、一太郎は表からではなく裏木戸から入ってきたのだ。

「まったくあの子は……」

吐息交じりに言いながら、藤原尼の手を煩わせる前に、きみは襖障子を開け放った。
藤原尼の方が先に立って縁に出る。

「一太郎殿、お客人はどちら?」
「こちらですっ!」

藤原尼の穏やかな問いかけに、一太郎は大きな声で言って後ろを振り返った。
一太郎の一歩後ろに、馬を引いた若い侍が立っている。
侍の視線は、藤原尼よりも遠くを見ていた。
藤原尼の後から、目立たないようにそっと表を伺ったきみは、客人の顔を見て細く息を呑んだ。

「一太郎、さま…………っ」

咄嗟に零れたのが速水の幼名だったことに、後からきみ自身が自分を笑いたくなった。




子供は楽しそうに速水を庵まで案内していった。ちらちらと馬を気にしているのが解って、速水は楽しくなる。
田口きみがいるかと思うとすれ違う女が皆気になったが、どれも下働きの女たちだった。
庵の、何故か裏木戸へ回って、子供は大きな声を上げた。
襖障子がするりと開かれる。
まず現れたのが尼であったことには、さして驚きはしなかった。
後ろからひっそりと姿を見せた、尼ではない女の方に目が行った。
立ち姿に覚えがあるような気がする。

「一太郎さま…………」

震える声が速水の幼名を呟いた。
懐かしく、愛しい姿がそこにあった。
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