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こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
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14444番ヒットのナル様からのリクエストです。
ナル様、ヒットおめでとう&リクエスト有難う御座います。

さて、リク内容は「東城大病院関係者以外の第三者の行灯先生評」ということですが。
関係者以外を誰にしようか迷いました。


病院外で一番行灯先生と親しいのは、行灯先生の意見はともかく火喰い鳥ですよね。
火喰い鳥の行灯先生評って、無茶苦茶。氷姫には褒めてるっぽいけど(from極北)、Mr.厚労省に対しては半分以上が悪口(from緑本)。
相手側が火喰い鳥をどう思ってるかで、言うこと変えてるのかなぁとちょっと思います。戦略的……。


余談はさておき、誰をチョイスしたかは読んでのお楽しみ。
哲学的なタイトルとは裏腹に、コメディというか漫才調です。
それではどうぞ。



「はぁあ…………」

不定愁訴外来の奥の院で、桜宮署の玉村警部補はすっかり寛いでいた。
病院にありがちな消毒薬の、不安をそそる匂いがここではしない。
代わりに、広くはない空間を満たすのはコーヒーの香りだ。
草臥れ具合が程よく馴染むソファと、曇りガラスで和らげられた光。
玉村が知る限り、最上級のまったり空間がここだった。

「何度来ても寛げますねぇ、ここ。やっぱり、田口先生のお人柄でしょうか」
「はあっ?」

独り言めいた玉村の声に、盛大に眉を顰めたのは加納警視正だった。
田口に所用があって加納と玉村の二人は不定愁訴外来を訪れていた。
だが、肝心の田口が席を外している。
藤原看護師の勧めもあって、田口が戻るまで不定愁訴外来で待たせてもらっているのだ。
玉村の言葉に声を上げた加納は、玉村を呆れた眼で見た。

「部屋と人柄に何の関係があるんだ?」
「え、全くないとは言えないでしょう?」

言いながら、玉村は田口のことを脳裏に思い浮かべた。
玉村の零す(主に加納に対する)愚痴をゆっくりと聞いてくれる。しみじみした口調で、玉村と同じように加納や白鳥に関する愚痴を零す。小さな笑みと共に「お互い頑張りましょう」と労わってくれる。
そういう人に、この空間は似合いだと玉村は思う。

「大体、警視正と白鳥さんと、田口先生って年はそう離れていないのに……警視正が子供なんですかね?」
「失礼なことぬかすな」
「って!」

玉村が呟くと、空かさず加納は玉村の頭を叩いた。
だからそういうところが子供なんだ、と今度は口に出さずに玉村は思う。
心の中までは読まれずに済んだようで、玉村には構わず加納は眉間に皺を寄せながらコーヒーを啜った。

「お前は田口先生を穏当で善良な人だと思ってるかもしれないがな、タマ。甘いぞ。あの先生は根性悪い」
「警視正、それって誹謗中傷ですよ」
「事実を言っても誹謗中傷にはならん」

玉村の非難を聞き流して、加納は田口の「根性悪い」姿を思い浮かべた。
加納に呼び出しをかけた際の、「貸しがあったのを思い出しまして」のセリフと笑顔は善良とは言い難い。毎度の「不倫外来」「不定愁訴外来です」の遣り取りにも、田口の我の強さが現れている。
田口は腹黒さも辛辣さも持ち合わせているのだ。なまじ雰囲気がのんびりしているから、気付かれ難いだけである。却ってタチの悪いタイプだ。

「あれは腹黒だよ」
「そんな、田口先生はいい人ですよ」
「……だってさ、田口センセ」

二人の主張は真っ向から対立する。
そこへ第三者の声。
玉村には咄嗟に声の主が思い出せなかったが、加納はたちまち眉間の皺を更に深くした。
ニヤニヤと厭らしい笑みを浮かべて、パーテーションの近くに立っていたのは厚労省の火喰い鳥・白鳥である。
白鳥がちらっと視線を投げた先には、田口が表情の選択に困った顔で立っていた。
話を聞かれていたことに玉村は焦った。
よくよく考えれば決して田口の悪口を言ったわけではない……言ったのは加納だ……ので、何も玉村が焦ることはない。だが、その人がいないところで人柄を評していたという状況自体が、申し訳ない気持ちにさせる。
だが、田口はそれについては何も言わず、ゆるりと笑った。

「お待たせして申し訳ありません」

田口は聞かなかったことにしてくれるようだ。
その「大人の対応」に玉村は一安心したが、加納の方は、

「そこで笑う辺りが、やっぱりタチ悪ぃ」

と失礼なことをブツブツ呟くのだった。
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COMMENT
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有難うございます。
早々とリクエストの作品有難うございます。
猟犬さまの行灯先生評はまんま私と同じでございました。そうですよねぇ!こういう方ですよね♪
一般の世間様評は玉村警部補のおっしゃる通りなのでしょうが、よく考えるとけっこうな性格なのですよね〜
やはりラストの「ここで笑う辺りが、やっぱりタチ悪ぃ」に要約されていると思います。
思い切ってリクエストしてよかったです。
ナル 2009/07/22(Wed)21:10:40 編集
Re:有難うございます。
いらっしゃいませ。コメント有難う御座います。
気に入っていただけたようで、一安心しました。
行灯先生は割かし性格悪い部分ありますよねぇ。将軍なんかは実体験している筈だ。
まあ、ね。ラストは猟犬が穿ち過ぎという説も無きにしも非ずなのですが。行灯先生はフツーにしているつもりなのよ、きっと。
S.Kirishima 2009/07/23 12:49
ご無沙汰です
こんばんは。
随分ご無沙汰してしまいました;;
相変わらず素敵な小説に癒されました^^
私は田口先生は基本穏やかで優しい人だと思ってますが、猟犬の言うことも確かに一理あるかも…とも思いました。
そういえば猟犬は警察署での瑞人の措置に対するやり取りも目撃していましたしそういった考えも持つかもしれませんね。
読んでいてとても楽しかったです。
シラユキ 2009/07/22(Wed)21:17:02 編集
Re:ご無沙汰です
いらっしゃいませ。コメント有難う御座いますです。
行灯先生は女性に優しいのは確実ですね。尤も、その女性キャラの登場頻度が少ないけど。
優しい人には優しく、強気な人には強気に、と鏡みたいな人なのかもしれないとチラっと思いました。
だからきっと、行灯先生は根性悪いと思う、その猟犬の根性が曲がっているのかもよ?
S.Kirishima 2009/07/23 12:56
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