パラレル警報発令中
サイトの更新をしています。
過去ログは「Three Moons' Accel」の6~10。カラーリングをちょっと変更。
やっとラブシーンぽいものが登場します。
脳内構想じゃこの話、キスの一つもしなさそうでちょっと吃驚。
思えば時代劇のラブシーンって抱擁止まりだよねぇ。
お断りしますが、入浴シーンはありません。
そんで、本日の大ウソ。というか言い訳。
⑦子供に木刀持たせるのって、どうよ?
と思ったのですが、これは仕方なかったのです。
剣術の稽古といえば竹刀ですが、竹刀の登場はもう少し後の時代になるっぽくて。享保ぐらいだと、竹刀が登場し始めるかな、ぐらいの年代らしいのです。
登場して暫くは形も長さも流派によってまちまちで、今現在目にする竹刀はもっと江戸後期になってからのこと。開国攘夷とかで世情が落ち着かなくなり、武芸に熱が入るようになってから広まるとか。
嘘吐いて竹刀持たせてもよかったんだけど、初期の「袋撓」って記述から想像しただけですがあんまりカッコ良くなかったんで却下しました。
元禄期を経たこの時代のお侍さんは、実はヘタレてたっぽいです。
吉宗公が「武芸奨励」を唱えていますが、裏を返せばその前はちっとも奨励されてなかったってコトで。
しかし藩主が狸ですから、桜宮藩は武芸が盛んだったことでしょう。多分。
サイトの更新をしています。
過去ログは「Three Moons' Accel」の6~10。カラーリングをちょっと変更。
やっとラブシーンぽいものが登場します。
脳内構想じゃこの話、キスの一つもしなさそうでちょっと吃驚。
思えば時代劇のラブシーンって抱擁止まりだよねぇ。
お断りしますが、入浴シーンはありません。
そんで、本日の大ウソ。というか言い訳。
⑦子供に木刀持たせるのって、どうよ?
と思ったのですが、これは仕方なかったのです。
剣術の稽古といえば竹刀ですが、竹刀の登場はもう少し後の時代になるっぽくて。享保ぐらいだと、竹刀が登場し始めるかな、ぐらいの年代らしいのです。
登場して暫くは形も長さも流派によってまちまちで、今現在目にする竹刀はもっと江戸後期になってからのこと。開国攘夷とかで世情が落ち着かなくなり、武芸に熱が入るようになってから広まるとか。
嘘吐いて竹刀持たせてもよかったんだけど、初期の「袋撓」って記述から想像しただけですがあんまりカッコ良くなかったんで却下しました。
元禄期を経たこの時代のお侍さんは、実はヘタレてたっぽいです。
吉宗公が「武芸奨励」を唱えていますが、裏を返せばその前はちっとも奨励されてなかったってコトで。
しかし藩主が狸ですから、桜宮藩は武芸が盛んだったことでしょう。多分。
出立は明くる日ということになりまして、速水様はその日、愁訴庵にお泊りになりました。
尼寺に殿方をお泊めすることに抵抗は御座いますが、近くに宿もないため致し方ない事であったのでしょう。
襖を隔てた次の間にいらっしゃるきみ様の気配に、速水様は気も漫ろでいらっしゃいました。
小さな話し声に速水はゆっくりと起き上った。
子供が厠に起きたらしい。きちんと手を洗ったかを尋ねる声がした。
速水は襖を開けて、濡縁へ出た。
厠から戻る母子の夜着が白く闇に浮かぶ。
近くの水辺から飛んできている蛍が、庭の灯籠を瞬間浮かび上がらせた。
「きみ」
「…………先に休んでいなさい」
速水が声を掛けると、きみは一瞬身を強張らせて、それから子供を寝間へ押し遣った。寝惚け眼の子供は、抗いもせずに寝間へ戻って襖を閉めた。
濡縁で、速水ときみは向き合った。
二人きりで対峙するのは五年ぶりだった。
庭に飛ぶ蛍を眼で追うことで、きみは速水の視線から逃げる。
その横顔を見つめながら速水は口を開いた。
「どうして、俺を待っていなかった?」
五年前の七月だ。
四月に田口の一件があり、田口家は断絶となった。
そして速水は七月に藩主・高階上総介の参勤交代に随行して江戸へ上った。主命ならば仕方のないことではある。
だが。
「待っていろと言ったよな? 江戸より戻った暁には、そなたを妻にすると、俺は言った筈だ」
「御無理を仰らないで下さいな」
「何が無理なものか」
きみは速水の言葉に苦笑を浮かべた。
呆れているような笑みであったし、我儘を窘める母親のような笑みでもあった。
「二親は亡く、兄は汚名を着せられ、家もお取り潰しになり……そんな私が、速水様のお嫁にはなれません。お父君もお許しにならないでしょう」
「父は昨年亡くなっている」
「それは…………」
速水が咄嗟に口にした一言は、的外れもいいところであった。
きみは少し頭を下げて追悼の意に代えた。
気を取り直して、今度はきみの方から口を開く。
柔らかなきみの笑顔は優しかったが、速水は何故か痛々しいものを覚えた。
「私、速水様をお慕いしておりました。本当に、速水様のお嫁になりたかった……」
「だったら!」
「先ほど申し上げましたでしょう、お嫁にはなれません。速水家に私は相応しくない。でしたら、側女にでもなさいますか? それは嫌です。私にも矜持というものが御座います」
きみの言葉に速水は息を呑む。
確かに、傍に置くだけなら側女でも囲い者でも、どうとも出来る。
だが、速水にもそんなつもりは毛頭なかった。
自分の妻はきみだと元服する頃から薄々と思っていたし、今も速水の気持は変わっていなかった。
「私のことはどうぞご放念下さいませ」
「忘れられるものか」
「速水様……」
きみの言葉に吐き捨てるように速水は返した。きみが困惑したような顔になったが、構いはしなかった。
きみの気が変わるなら、幾らだって速水は駄々を捏ねるだろう。
「忘れられる訳がないだろう。初めて会った時の事も、男女の別なく遊んだことも、田口先生の事も…………あの夜の事も」
たった一夜のことだ。
謀反の疑いの上に獄中で切腹という、不名誉な死に方をした田口との関わりを避けたい田口家の縁者はきみの力になろうとしなかった。仕える者もどんどん減り、或いはきみが暇を出して、田口家には人も無かった。
不用心に過ぎるので、速水は暫く田口家に泊まり込んでいた。
表向き、きみはしっかりと家を采配しているように見受けられた。
使用人の身の振り方を決め、財産の処分をし、潰れる家の後を濁さないようにしていた。
だが、それはあくまで表向きのことだった。
ある夜、きみの悲鳴を聞き付けて、速水は無礼を承知で寝間へ踏み込んだ。
「いやあぁああっ! 兄上、兄上、あにうえ…………っ」
兄を呼びながら、きみは泣きじゃくっていた。
よほど恐ろしい夢を見たのか顔は夜目にも蒼白で、寝汗で髪がべったりと額に張り付いていた。
泣きじゃくり過ぎて息を詰めるきみを、何とか落ち着かせたくて、速水はきみに触れた。
抱き締めて、子供にするように背中を叩きながら、唇で涙を吸い取った。
瞼を辿っていた唇がきみの唇に触れた。
縋る誰かを探していたきみの腕が、速水を引き留めた。
そのまま身体を重ねたのだ。
破瓜の痛みに新たな涙を流すきみの頬を拭いながら、ただ速水はきみが安らかに眠れる事を願った。
その為なら、幾らでも傍にいようと思った。
「私は忘れます」
二人の脳裏に、同じ夜が浮かんでいた筈だった。
だが、きみの声がその回想を打ち破る。
きみの顔は強張っていた。表情を作り損ね、無理にその顔を選んだようにも見えた。
きみの頑なさが、速水の言葉を奪う。
「お休みなさいませ」
きみの細い指が襖の取っ手に触れる。
襖が動く寸前に、速水はもう一つ言葉を絞り出した。
「どうして」
きみが手を止めて肩越しに振り返る。
その白い顔を見据えて尋ねた。
「どうして子供に俺の名を付けた?」
一太郎、は速水自身の幼名でもあった。
きみが子供を呼ぶ度、優しく笑う度、速水の心は漣立つ。
きみの思いがまだ残っていると期待するのは、未練だろうか。
「……初めての子ですから、一の字を付けようと思いまして、速水様のお名前を思い出しました。それ以上の他意は御座いません」
きみは小さな声でそう答え、今度こそ襖を開けて速水の前から姿を消した。
速水は暫くそのまま、きみを飲み込んだ襖を睨みつけていた。
尼寺に殿方をお泊めすることに抵抗は御座いますが、近くに宿もないため致し方ない事であったのでしょう。
襖を隔てた次の間にいらっしゃるきみ様の気配に、速水様は気も漫ろでいらっしゃいました。
小さな話し声に速水はゆっくりと起き上った。
子供が厠に起きたらしい。きちんと手を洗ったかを尋ねる声がした。
速水は襖を開けて、濡縁へ出た。
厠から戻る母子の夜着が白く闇に浮かぶ。
近くの水辺から飛んできている蛍が、庭の灯籠を瞬間浮かび上がらせた。
「きみ」
「…………先に休んでいなさい」
速水が声を掛けると、きみは一瞬身を強張らせて、それから子供を寝間へ押し遣った。寝惚け眼の子供は、抗いもせずに寝間へ戻って襖を閉めた。
濡縁で、速水ときみは向き合った。
二人きりで対峙するのは五年ぶりだった。
庭に飛ぶ蛍を眼で追うことで、きみは速水の視線から逃げる。
その横顔を見つめながら速水は口を開いた。
「どうして、俺を待っていなかった?」
五年前の七月だ。
四月に田口の一件があり、田口家は断絶となった。
そして速水は七月に藩主・高階上総介の参勤交代に随行して江戸へ上った。主命ならば仕方のないことではある。
だが。
「待っていろと言ったよな? 江戸より戻った暁には、そなたを妻にすると、俺は言った筈だ」
「御無理を仰らないで下さいな」
「何が無理なものか」
きみは速水の言葉に苦笑を浮かべた。
呆れているような笑みであったし、我儘を窘める母親のような笑みでもあった。
「二親は亡く、兄は汚名を着せられ、家もお取り潰しになり……そんな私が、速水様のお嫁にはなれません。お父君もお許しにならないでしょう」
「父は昨年亡くなっている」
「それは…………」
速水が咄嗟に口にした一言は、的外れもいいところであった。
きみは少し頭を下げて追悼の意に代えた。
気を取り直して、今度はきみの方から口を開く。
柔らかなきみの笑顔は優しかったが、速水は何故か痛々しいものを覚えた。
「私、速水様をお慕いしておりました。本当に、速水様のお嫁になりたかった……」
「だったら!」
「先ほど申し上げましたでしょう、お嫁にはなれません。速水家に私は相応しくない。でしたら、側女にでもなさいますか? それは嫌です。私にも矜持というものが御座います」
きみの言葉に速水は息を呑む。
確かに、傍に置くだけなら側女でも囲い者でも、どうとも出来る。
だが、速水にもそんなつもりは毛頭なかった。
自分の妻はきみだと元服する頃から薄々と思っていたし、今も速水の気持は変わっていなかった。
「私のことはどうぞご放念下さいませ」
「忘れられるものか」
「速水様……」
きみの言葉に吐き捨てるように速水は返した。きみが困惑したような顔になったが、構いはしなかった。
きみの気が変わるなら、幾らだって速水は駄々を捏ねるだろう。
「忘れられる訳がないだろう。初めて会った時の事も、男女の別なく遊んだことも、田口先生の事も…………あの夜の事も」
たった一夜のことだ。
謀反の疑いの上に獄中で切腹という、不名誉な死に方をした田口との関わりを避けたい田口家の縁者はきみの力になろうとしなかった。仕える者もどんどん減り、或いはきみが暇を出して、田口家には人も無かった。
不用心に過ぎるので、速水は暫く田口家に泊まり込んでいた。
表向き、きみはしっかりと家を采配しているように見受けられた。
使用人の身の振り方を決め、財産の処分をし、潰れる家の後を濁さないようにしていた。
だが、それはあくまで表向きのことだった。
ある夜、きみの悲鳴を聞き付けて、速水は無礼を承知で寝間へ踏み込んだ。
「いやあぁああっ! 兄上、兄上、あにうえ…………っ」
兄を呼びながら、きみは泣きじゃくっていた。
よほど恐ろしい夢を見たのか顔は夜目にも蒼白で、寝汗で髪がべったりと額に張り付いていた。
泣きじゃくり過ぎて息を詰めるきみを、何とか落ち着かせたくて、速水はきみに触れた。
抱き締めて、子供にするように背中を叩きながら、唇で涙を吸い取った。
瞼を辿っていた唇がきみの唇に触れた。
縋る誰かを探していたきみの腕が、速水を引き留めた。
そのまま身体を重ねたのだ。
破瓜の痛みに新たな涙を流すきみの頬を拭いながら、ただ速水はきみが安らかに眠れる事を願った。
その為なら、幾らでも傍にいようと思った。
「私は忘れます」
二人の脳裏に、同じ夜が浮かんでいた筈だった。
だが、きみの声がその回想を打ち破る。
きみの顔は強張っていた。表情を作り損ね、無理にその顔を選んだようにも見えた。
きみの頑なさが、速水の言葉を奪う。
「お休みなさいませ」
きみの細い指が襖の取っ手に触れる。
襖が動く寸前に、速水はもう一つ言葉を絞り出した。
「どうして」
きみが手を止めて肩越しに振り返る。
その白い顔を見据えて尋ねた。
「どうして子供に俺の名を付けた?」
一太郎、は速水自身の幼名でもあった。
きみが子供を呼ぶ度、優しく笑う度、速水の心は漣立つ。
きみの思いがまだ残っていると期待するのは、未練だろうか。
「……初めての子ですから、一の字を付けようと思いまして、速水様のお名前を思い出しました。それ以上の他意は御座いません」
きみは小さな声でそう答え、今度こそ襖を開けて速水の前から姿を消した。
速水は暫くそのまま、きみを飲み込んだ襖を睨みつけていた。
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COMMENT
15555踏みました!
はじめまして、たすくと申します。いつも楽しく拝見させていただいております。
光栄にもキリ番15555を踏ませていただいたので、ご報告に伺いました。
……今、かなり舞い上がっています(笑)
まさか私がキリ番リクエストさせていただける機会が来るなんて……! 幸運すぎて怖いです。
ええと、リクエスト内容なのですが。
「カップリングなりきり100の質問 4」の、「将軍が危うく強姦しかけて未遂で終わった」ときのお話をお願いします!
いきなり無抵抗になった行灯先生にびびる将軍が読んでみたいです(笑)
最後になりましたが、改めまして15555ヒットおめでとうございます!
これからも楽しみに通わせていただきます。
連載中の桜宮藩物語も大好きです。
光栄にもキリ番15555を踏ませていただいたので、ご報告に伺いました。
……今、かなり舞い上がっています(笑)
まさか私がキリ番リクエストさせていただける機会が来るなんて……! 幸運すぎて怖いです。
ええと、リクエスト内容なのですが。
「カップリングなりきり100の質問 4」の、「将軍が危うく強姦しかけて未遂で終わった」ときのお話をお願いします!
いきなり無抵抗になった行灯先生にびびる将軍が読んでみたいです(笑)
最後になりましたが、改めまして15555ヒットおめでとうございます!
これからも楽しみに通わせていただきます。
連載中の桜宮藩物語も大好きです。
Re:15555踏みました!
いらっしゃいませ。毎度ご贔屓に。
15555ヒットおめでとう御座います&リクエスト有難う御座います。
……来ちゃったなぁ、というカンジなのですが。可能性は高いと思ってたのですよ、あのリクエスト。
正直、細かいことは全っ然考えずにアップした100質なので、これから悪戦苦闘するのが目に見えておりますが気長にお待ち頂けると有難い限りです。
今後ともどうぞ宜しくお付き合いのほどを……。
15555ヒットおめでとう御座います&リクエスト有難う御座います。
……来ちゃったなぁ、というカンジなのですが。可能性は高いと思ってたのですよ、あのリクエスト。
正直、細かいことは全っ然考えずにアップした100質なので、これから悪戦苦闘するのが目に見えておりますが気長にお待ち頂けると有難い限りです。
今後ともどうぞ宜しくお付き合いのほどを……。

