12000ヒットのいつこ様からのリクエストです。
ヒットおめでとう御座いました&リクエスト有難うです。
リクは「すみれ→行灯←将軍」ということでした。
複数頂いたリクエストの中から、一番先に出来そうだと思ったものをピックアップした次第です。
コメントに、「詰めが甘いすみれ先生と肝心なところで勝負弱い将軍は似たもの同士では」というのがあって、酷く納得しました。
で、その二人が敵わないのは誰かと言ったら……そう、あの御方。
大方の予想通りの展開かとは思いますが、お楽しみ頂ければ幸いです。
それではどうぞ。
後記:これ、ネタ被ってないよね、いつこ様?
ヒットおめでとう御座いました&リクエスト有難うです。
リクは「すみれ→行灯←将軍」ということでした。
複数頂いたリクエストの中から、一番先に出来そうだと思ったものをピックアップした次第です。
コメントに、「詰めが甘いすみれ先生と肝心なところで勝負弱い将軍は似たもの同士では」というのがあって、酷く納得しました。
で、その二人が敵わないのは誰かと言ったら……そう、あの御方。
大方の予想通りの展開かとは思いますが、お楽しみ頂ければ幸いです。
それではどうぞ。
後記:これ、ネタ被ってないよね、いつこ様?
「どうぞ、すみれ先生」
「有り難う御座います」
「ほい、速水も」
「サンキュ」
ソファに対面に座った二人に対し、田口は順番にコーヒーの入ったカップを差し出した。
見目麗しい男女が向き合って座っている図はともすれば見合いのようだが、場所が不定愁訴外来の奥の院である以上、それは有り得なかった。
コーヒーを一口啜って速水は眉を顰めた。
「お前さあ、俺とすみれ先生じゃ随分態度違うのな」
「当たり前だろ? お前相手に今更」
「少しはお疲れの俺にも優しさを分けろって」
「自分で言うあたりが信用ならないよ」
長年の友人たちが会話を交わす様子を向かいで見ていて、今度はすみれの方が眉を顰めた。
両手でマグカップを抱き締めて、田口との会話を取り戻すべく声を上げる。
「コーヒー、とても美味しいです。田口先生の自腹ってホントですか?」
「どこでそんな話を?」
「兵藤先生。あんまり人が来るんで、ブツブツ文句言ってらっしゃるって」
「アイツめ……兵藤先生の言うことは信じないで下さいね」
「ええ」
冗談めかして言う田口に、すみれはクスクスと鈴を転がすように笑う。
それを見ている速水が憮然とした表情になる。
向かいの速水の面白くなさそうな顔に気付いて、すみれは自慢げに眉を上げた。速水がますます渋い顔をする。
二人の間に散る火花に気付かず、田口は後ろを振り返った。
「コーヒー、美味しいですって。流石不定愁訴外来のバリスタ」
「あら、褒めても何も出ませんよ」
ひっそりと控えていた藤原看護師が、田口の言葉に悪戯っぽく笑う。
田口は眉を下げて情けない顔になった。
「え――、出しましょうよ。せっかく頂いたんですから」
「あら、勿体ない。少しずつ食べるから、有難みがあるんです」
「悪くなっちゃいますよ。二人からも言ってくれ、美味いチョコがあるのに藤原さんってば出し惜しみするんだから……ほら、お客さんもいることだし、ね?」
「おねだりしたってダメですよ。それに、そのお二人はお客様とは違うでしょう?」
速水とすみれは田口と藤原看護師を見、それから互いの顔を見る。
互いの思惑が透けて見えた。
二人揃って再度田口と藤原看護師の方を見たら、藤原看護師が二人に向けてほんの僅か笑った。
「…………ズルイ」
「同感だ」
不定愁訴外来から出て、しばらくしてからすみれがポツリと呟いた。
誰がずるいとか何がずるいとか、すみれは一言も口にしていない。
だが、速水は低い声で同意を示した。
そうして二人は声を揃えた。
「「田口(先生)におねだりされるなんて!」」
ちなみに、先生、が付く方がすみれだ。
お互いに顔は余所を向いているのに会話が成立しているのが、第三者から
は奇妙に映ることだろう。
「ただでさえいつもいつも一緒」
「客がいなけりゃ二人っきり」
「田口先生のオフショットも独占状態だし」
「田口も、藤原さんを頼りにしてるし」
田口に好意を寄せる人間から見ると、藤原看護師は物凄く「オイシイ」立場にいる。
先刻の、田口の甘えた口調を思い出して、すみれと速水は揃って溜息を吐いた。藤原看護師の意味ありげな微笑も。
「田口先生ってどうしてああ可愛いの?」
「まったく、藤原さんが羨ましいぜ」
「でも、あの人ってホント隙がないのよね……」
「地雷原とはよく言ったモンだよなぁ」
そこで二人は顔を見合わせた。
その時になって初めて、相槌を打つ人間が隣にいることに気付いたような顔をしていた。
「…………手を」
「組む、か?」
藤原看護師に一人では敵わないことは既に明白だ。だが二人なら。
幸いにも、互い以外にめぼしい競争相手はいない。最大にして最強のライバルが藤原看護師だ。
まずは藤原看護師をどうにかする。その後、この相手を蹴落とす。
すみれと速水の脳裏にそこまで過ったのかどうかは、誰にも解らない。
だが、
「ふふっ」
「ははっ」
小さな声で笑うすみれと、喉の奥で笑う速水の姿がそこにはあった。
ほぼ同時刻の不定愁訴外来。
口内のチョコレートが溶けるのを、田口は満ち足りた気持ちで楽しんでいた。田口のおねだりが功を奏したのだ。
コーヒーとチョコレートとは、何て贅沢な組み合わせであることか。
そんな田口に藤原看護師はゆるりと笑う。
「すみれ先生と速水先生って、仲良しなのかしら? この前も、二人揃っていらっしゃいませんでした?」
「そういえば…………そう、なのかもしれないですね」
田口は記憶を探るような顔をし、それから曖昧に頷く。
藤原看護師は、おばちゃんらしい好奇心を装って疑問を口にしただけである。
だが、田口の脳裏にしっかり疑惑は根付いた。
「まだまだ甘いわ」
この場にいない二人に向かって、藤原看護師は密かにほくそ笑んだのだった。
「有り難う御座います」
「ほい、速水も」
「サンキュ」
ソファに対面に座った二人に対し、田口は順番にコーヒーの入ったカップを差し出した。
見目麗しい男女が向き合って座っている図はともすれば見合いのようだが、場所が不定愁訴外来の奥の院である以上、それは有り得なかった。
コーヒーを一口啜って速水は眉を顰めた。
「お前さあ、俺とすみれ先生じゃ随分態度違うのな」
「当たり前だろ? お前相手に今更」
「少しはお疲れの俺にも優しさを分けろって」
「自分で言うあたりが信用ならないよ」
長年の友人たちが会話を交わす様子を向かいで見ていて、今度はすみれの方が眉を顰めた。
両手でマグカップを抱き締めて、田口との会話を取り戻すべく声を上げる。
「コーヒー、とても美味しいです。田口先生の自腹ってホントですか?」
「どこでそんな話を?」
「兵藤先生。あんまり人が来るんで、ブツブツ文句言ってらっしゃるって」
「アイツめ……兵藤先生の言うことは信じないで下さいね」
「ええ」
冗談めかして言う田口に、すみれはクスクスと鈴を転がすように笑う。
それを見ている速水が憮然とした表情になる。
向かいの速水の面白くなさそうな顔に気付いて、すみれは自慢げに眉を上げた。速水がますます渋い顔をする。
二人の間に散る火花に気付かず、田口は後ろを振り返った。
「コーヒー、美味しいですって。流石不定愁訴外来のバリスタ」
「あら、褒めても何も出ませんよ」
ひっそりと控えていた藤原看護師が、田口の言葉に悪戯っぽく笑う。
田口は眉を下げて情けない顔になった。
「え――、出しましょうよ。せっかく頂いたんですから」
「あら、勿体ない。少しずつ食べるから、有難みがあるんです」
「悪くなっちゃいますよ。二人からも言ってくれ、美味いチョコがあるのに藤原さんってば出し惜しみするんだから……ほら、お客さんもいることだし、ね?」
「おねだりしたってダメですよ。それに、そのお二人はお客様とは違うでしょう?」
速水とすみれは田口と藤原看護師を見、それから互いの顔を見る。
互いの思惑が透けて見えた。
二人揃って再度田口と藤原看護師の方を見たら、藤原看護師が二人に向けてほんの僅か笑った。
「…………ズルイ」
「同感だ」
不定愁訴外来から出て、しばらくしてからすみれがポツリと呟いた。
誰がずるいとか何がずるいとか、すみれは一言も口にしていない。
だが、速水は低い声で同意を示した。
そうして二人は声を揃えた。
「「田口(先生)におねだりされるなんて!」」
ちなみに、先生、が付く方がすみれだ。
お互いに顔は余所を向いているのに会話が成立しているのが、第三者から
は奇妙に映ることだろう。
「ただでさえいつもいつも一緒」
「客がいなけりゃ二人っきり」
「田口先生のオフショットも独占状態だし」
「田口も、藤原さんを頼りにしてるし」
田口に好意を寄せる人間から見ると、藤原看護師は物凄く「オイシイ」立場にいる。
先刻の、田口の甘えた口調を思い出して、すみれと速水は揃って溜息を吐いた。藤原看護師の意味ありげな微笑も。
「田口先生ってどうしてああ可愛いの?」
「まったく、藤原さんが羨ましいぜ」
「でも、あの人ってホント隙がないのよね……」
「地雷原とはよく言ったモンだよなぁ」
そこで二人は顔を見合わせた。
その時になって初めて、相槌を打つ人間が隣にいることに気付いたような顔をしていた。
「…………手を」
「組む、か?」
藤原看護師に一人では敵わないことは既に明白だ。だが二人なら。
幸いにも、互い以外にめぼしい競争相手はいない。最大にして最強のライバルが藤原看護師だ。
まずは藤原看護師をどうにかする。その後、この相手を蹴落とす。
すみれと速水の脳裏にそこまで過ったのかどうかは、誰にも解らない。
だが、
「ふふっ」
「ははっ」
小さな声で笑うすみれと、喉の奥で笑う速水の姿がそこにはあった。
ほぼ同時刻の不定愁訴外来。
口内のチョコレートが溶けるのを、田口は満ち足りた気持ちで楽しんでいた。田口のおねだりが功を奏したのだ。
コーヒーとチョコレートとは、何て贅沢な組み合わせであることか。
そんな田口に藤原看護師はゆるりと笑う。
「すみれ先生と速水先生って、仲良しなのかしら? この前も、二人揃っていらっしゃいませんでした?」
「そういえば…………そう、なのかもしれないですね」
田口は記憶を探るような顔をし、それから曖昧に頷く。
藤原看護師は、おばちゃんらしい好奇心を装って疑問を口にしただけである。
だが、田口の脳裏にしっかり疑惑は根付いた。
「まだまだ甘いわ」
この場にいない二人に向かって、藤原看護師は密かにほくそ笑んだのだった。
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COMMENT
ありがとうございます(^^)
こんばんは。リクエスト応えていただいてありがとうございます。
てか、ホントに仲良しだ。笑。
実はちょっと被ったネタがあったのですが…この後日談的な話になるのかも、と思い勝手に霧島様に捧げさせていただきました。
よろしければお立ち寄りください。
しかし…かの御仁に敵うことなんてできるのでしょうか?
将軍もすみれ先生もがんばれ!!
てか、ホントに仲良しだ。笑。
実はちょっと被ったネタがあったのですが…この後日談的な話になるのかも、と思い勝手に霧島様に捧げさせていただきました。
よろしければお立ち寄りください。
しかし…かの御仁に敵うことなんてできるのでしょうか?
将軍もすみれ先生もがんばれ!!
Re:ありがとうございます(^^)
いらっしゃいませ。
あんなんで宜しかったでしょうか?
手を組んだはいいけど、具体的な作戦が思い浮かびませんでした。その時点で、この二人に勝ち目は薄い気がします。
てか、地雷原に辛うじて互角なのって狸院長だけじゃないのかな? 88年時点じゃ、オペ室の悪魔がちょっと優勢気味だったけど。可能性ありそうなのはネコさんくらい?
後で遊びに行きますね――。貰いものって初めてかもしれないなぁ。
あんなんで宜しかったでしょうか?
手を組んだはいいけど、具体的な作戦が思い浮かびませんでした。その時点で、この二人に勝ち目は薄い気がします。
てか、地雷原に辛うじて互角なのって狸院長だけじゃないのかな? 88年時点じゃ、オペ室の悪魔がちょっと優勢気味だったけど。可能性ありそうなのはネコさんくらい?
後で遊びに行きますね――。貰いものって初めてかもしれないなぁ。
いそいそと
持ってきましたリクエストv
半パラレルな感じになってしまいますが・・。
『学生時代の速水青年が現在の落ち着いた(?)大人の行灯センセに会っちゃった。惚れちゃった』
みたいな話を・・・。色々むちゃ振りでしょうか。
でも、霧島さんのパラレル大好きなのです。
設定など全てお任せなので、よろしくお願いします(ペコ)
ああ~。それにしても、一文字ネタ爆笑でした。
『ジェネラル・ルージュの伝言』(笑)
バスルームの鏡に書いちゃいますか?
『田口へ。好きだ』とかv
半パラレルな感じになってしまいますが・・。
『学生時代の速水青年が現在の落ち着いた(?)大人の行灯センセに会っちゃった。惚れちゃった』
みたいな話を・・・。色々むちゃ振りでしょうか。
でも、霧島さんのパラレル大好きなのです。
設定など全てお任せなので、よろしくお願いします(ペコ)
ああ~。それにしても、一文字ネタ爆笑でした。
『ジェネラル・ルージュの伝言』(笑)
バスルームの鏡に書いちゃいますか?
『田口へ。好きだ』とかv
Re:いそいそと
いらっしゃいませ。リクエスト了解です。
……これって、以前モトコ様が日記で仰ってた年の差パラレルの変形版? そうか、私のトコへ来たのね……。
一番最初に思ったことが「やっぱり階段から落ちるのか?」なあたり、霧島は苛めっ子決定な気がします。
一文字違い。
「ルージュの伝言」は、確か別のサイト様がちらっとそんなコト言ってたんですけどね。あの歌、家出宣言する歌だから、どっちかというと行灯先生向きかもしれません。
将軍の伝言なら……『PM8:00 病院正門前』とか。で、これから告白イベントが発生するとか。
ルージュで字書いたらルージュがぐちゃぐちゃに潰れるだろうなぁと思った霧島に、ロマンの欠片もありゃしません。
……これって、以前モトコ様が日記で仰ってた年の差パラレルの変形版? そうか、私のトコへ来たのね……。
一番最初に思ったことが「やっぱり階段から落ちるのか?」なあたり、霧島は苛めっ子決定な気がします。
一文字違い。
「ルージュの伝言」は、確か別のサイト様がちらっとそんなコト言ってたんですけどね。あの歌、家出宣言する歌だから、どっちかというと行灯先生向きかもしれません。
将軍の伝言なら……『PM8:00 病院正門前』とか。で、これから告白イベントが発生するとか。
ルージュで字書いたらルージュがぐちゃぐちゃに潰れるだろうなぁと思った霧島に、ロマンの欠片もありゃしません。