忍者ブログ
こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
[171]  [170]  [169]  [168]  [167]  [166]  [165]  [164]  [163]  [162]  [161
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

パラレル警報発令中


サイトの更新をしています。4月分の収録終了です。


終わる! 終わりにしました。えらく長いけど。
途中にやたら短かった回もあったことを思うとバランス悪いよなぁ。
やろうと思ったのは少女漫画的娯楽時代劇でした。
それでも調べるものはちゃんと調べてあるものが書いてみたかったのですが、大ウソと言い訳を連発したようにまだまだ足りない部分があったのが隠しようのない事実です。精進します。
腐女子の学習意欲ってバカに出来ないと思うよ~~。
各種小説サイト様なんか見ると、勉強してんだなぁって思います。
今までお付き合い下さった皆様、本当に有難う御座いました。


コメントを利用して、ワンシーン付け加えています。
エンドロールが終わった後にちょっとした後日談的映像が出てくると、得した気分になりませんか?

一太郎さんの声が緊張を破りましす。
きみ様と"ねこ"を取り囲む一同に動揺が走った瞬間に、一太郎さんと速水様は飛び込みました。
活劇が始まろうとしておりました。



「母上っ!」
「きみ、無事かっ?!」
「一太郎?! 速水様っ?!」

庭の木立の下に居るきみを遠目で見つけて速水は叫んだ。
返ってくる声は驚きに満ちているが弱ってはいない。一安心だ。
速水は素早く視線を動かして曳地を探した。
侍たちの向こう、人垣に隠れるように曳地がいる。
震える唇と血の気の引いた顔が、状況の不利を悟っていた。
速水は張りのある声で告げた。

「曳地殿。勘定奉行という要職にありながら、江志久村での藍の密造、官札を偽造、沼田屋と結託し、藍を不当に高値で売り裁いて私腹を肥やした罪、既に殿の知るところである! 大人しく縛につけばよし、手向かいあれば容赦なく斬り捨てる!!」
「速水の小僧っ子が…………っ。ええい、一人も二人も同じこと! 斬り捨てじゃっ!!」

憎々しげに吐き捨てると、曳地は扇子を振り回して喚き立てた。
数を頼みにしようと、じりじりと侍たちが速水を取り囲む。

「一太郎、母上の傍におれ。母上を守れよ」
「はいっ」

一太郎に囁くと、一太郎は一つ頷いて飛び出した。
侍の足元に思い切って飛び込んでぶつかっていき、相手が引っ繰り返った隙に包囲の中から抜け出してきみの傍へ駆けつける。
見事な手並みに速水は知らず笑っていた。

「さあかかって来い。それともこっちから行くか?」

高揚のままに速水は挑発する。
襲いかかる刃を、速水は余裕たっぷりに受け止めた。



「すごい…………っ」

きみの前に立つ一太郎は、目を見開いて眼前の光景を見つめていた。
輪の中心にいるのは速水だ。
一対多数の状況で、しかし速水の方がずっと優勢だった。
一撃で手の筋を断ち、刀を折り、楽々と敵を戦えない状態にしていく。
速水自身の姿勢は全く崩れない。
細やかな体裁きと、狙いの鋭さに一太郎はすっかり見惚れていた。

「母上、速水様は凄いですっ!」
「ええ、勿論です。あの方は、桜宮一の剣の上手ですもの……」

一太郎を背後から抱き締めながら、きみは呟いた。
きみの言葉にふと一太郎は首を傾げたが、懸命に速水を見つめていたきみは一太郎の視線に気付かなかった。



「終わりだな」

動くのは曳地一人になっていた。
"ねこ"と"はやぶさ"が次々と侍たちに縄をかけている。
速水が庭から睨み上げると、曳地は恐れ慄いて二、三歩下がった。襖にぶつかって勢いで襖ごと転がる。
助け起こす義理もない速水は、刀を納めてきみの方を振り返った。
墨染の衣に、下ろし髪のきみが木立の下に立っている。髪を結ったままでは頭巾が盛り上がり、尼僧に見えないから下ろしたのだろう。
頬が浅く切られていた。そっと触れる。

「速水様…………」

きみが囁く声に、心は通じ合ったと思った。
奉行所の者たちの足音が、だんだんと近寄ってきていた。



数日後の東城内。
曳地には死罪の沙汰が下りていた。
また、田口公平の謀反の疑いは晴れ、速水にも報奨金が与えられた。
しかし速水は鬱々と日々を過ごしていた。
きみはまた速水の家を出ていった。愁訴庵に挨拶をし、田口の墓前に全てが終わったことを報告する為だ。
それが終わってからの約束を、きみは口にしなかった。

「そのうちに、一太郎に剣の手解きをして頂けますか?」

笑ってそう言っただけだった。
そんな不確かなものを待たずに、強引にでも留め置けばよかったかと速水は思う。
考え込むことの増えている速水に、高階はわざとらしい口調で声をかけた。

「気分が優れないようですねえ」
「いいえ、そのようなことは」
「そんな速水の気分が浮き立つ話をしましょうか」

否定したにも拘わらず、高階は勝手に話を進める。
扇子で口元を隠しているが、その下は絶対に性質の悪い笑みを浮かべていると速水は確信した。

「妻を娶りなさい、速水」
「えっ?!」
「命令です」

咄嗟に嫌そうな顔になった速水を、高階は即座に黙らせた。
主命とあらば、速水に逆らうことは出来ない。逆らうなら、閉門蟄居切腹を覚悟しなければならなかった。
眉間に皺を寄せて険悪な顔をする速水に、高階は笑ってみせた。

「何れの家中の娘か訊かないのですか?」
「……何れのご家中の御令嬢ですか?」

不機嫌を隠そうともせず、速水は鸚鵡返しに尋ねた。
高階が喉の奥で笑った。

「私の懐刀と呼ばれた男の妹でしてね。五年程前に、兄が不幸な亡くなり方をしましたが、此の度、女子の身で見事兄の汚名を雪ぎました。武家の妻女には相応しいでしょう?」
「まさか…………」

速水はぽかんと口を開けてしまった。それに該当する娘は一人しかいない。
高階がふと真面目な顔になった。

「口さがない者がやいのやいの言うかもしれないが、私の計らいであること、それに自信を持ちなさい」
「…………有難き幸せに存じます」

きみの家が断絶していることが、速水の元にきみが嫁ぐには最大の難点だった。身寄りのない者を、速水家ほどの上級藩士が正妻に迎えることはまず有り得ない。
だがそれを、高階が主命という形で解決しようと言ってくれているのだ。
速水は畳に手を突いて、深く礼をした。

「今日は退出を許します。また、明日から三日、出仕には及びません。嫁御はもう到着しているでしょう、早く戻ってやりなさい」
「はっ!」
「もう一つ。よい跡取り息子が出来ましたね。一太郎はそなたに実によく似ている……そちらも誠に目出度いことです」

礼を失しないでいるのが精いっぱいだった。
盛大に衣擦れをさせながら退出する速水を見送って、島津は苦笑を浮かべる。

「速水家程の家に、前代未聞で御座いますな。無茶を仰る」
「おや、誰か困ることがありますか? 速水は嫁と跡取り息子を、田口きみは夫と子供の父親を、一太郎は両親を手に入れるのです。三方丸く収まるではないか。藤原尼からの頼みもありますしね」
「はあ…………?」

島津は少しばかり首を傾げた。この場に愁訴庵の庵主の名前が出てくる理由が解らなかったのだ。
高階は意味ありげに笑うだけだった。



足音も慌ただしく屋敷に戻った速水を、家人が満面の笑みで出迎えた。
既に城からの使者が出ていて、家中に話が通っているらしい。
きみの人柄や一太郎の愛らしさも、歓迎される理由に違いなかった。

「応接の間にてお待ちで御座います」
「ああ」

刀を放り出すように預けながら速水は襖を開いた。
中にいた女が振り返り、座ったまま速水に向き直る。
夏らしい白い色の小袖は明るい花模様、髪は既婚者が結う丸髷。控えめな化粧の中で赤い唇が目を惹いた。
きみはきっちりと頭を下げる。

「きみと申します。今日より誠心誠意お仕え致しますれば、末永くお傍に置いて下さいませ」
「ああ。二度と離さんぞ」

嫁の口上を述べて顔を上げたきみを、速水は抱き寄せた。きみが焦った顔になるが、速水は肩を抱く手に力を込める。そのうちに、きみはゆったりと速水の胸に身体を預けた。
戻ってきた一太郎が二人の姿を見て眼を丸くしたが、それからにっこりと笑った。
PR
back
COMMENT
name
title
text
color   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
mail
URL
pass
secret
桜宮藩の一年後
「う~~……っ」

一太郎は室内を行ったり来たりしていた。
襖の前に近付き、そーっと襖を開けようとするが、唸り声と共に手を引っ込める、というようなことを繰り返している。

「落ち着け、一太郎」
「だって父上……」

一太郎を窘める速水だったが、そういう速水自身、気付けば脇息を指で忙しなく叩いていた。
じりじりと二人が煩悶する中、襖の向こうから産声が響く。

「産まれた!」

一太郎が襖の前に飛びついた。
速水も脇息を蹴倒して襖の前に陣取った。
息も殺して待っていると、襖が開き、墨染の衣を襷掛けした藤原尼が現れる。
余りに近くで待ち構えていた速水と一太郎に藤原尼は驚き、それから鬱陶しそうに手を振って二人を下がらせた。
一歩下がりながらも、速水と一太郎は藤原尼を凝視している。
そんな二人に藤原尼はにっこり笑った。

「元気な女のお子様です。きみ殿もお健やかでいらっしゃいますよ」
「女……娘か……」

速水が感慨深げに呟き、一太郎は笑みと共に拳を握り締める。
己の腰辺りにある一太郎の頭を、速水はがしがしと撫でた。一太郎の髪がぐしゃぐしゃになる。

「娘か。お前の妹だぞ、一太郎!」
「はいっ! 嬉しいですっ」
「俺もだ」

喜び合う父と子の姿に、藤原尼はそっと笑みを浮かべたのだった。
霧島 2009/08/07(Fri)09:50:28 編集
お疲れさまでした!
堪能いたしました! 面白かったぁ\(≧∇≦)/

なんと言っても看護衆(笑) ネーミングと配役が絶妙でした。
時代劇じゃなくても、モノ書くのってほんと準備が必要だよね。
あたしも精進しなけりゃな。腐女子魂に懸けて(笑)

とにもかくにもお疲れ様でございました。
もう、すぐに8月の企画に入られるのでしょうか。
すっごい精力的ですよね。霧島さんの爪の垢をいただきたいなあ(^^;
なゆた 2009/08/07(Fri)22:39:36 編集
Re:お疲れさまでした!
コメント有難う御座います。長々とお付き合い、こちらこそ有難う御座いましたデス。
看護衆はね、自分でも「おおっ」と思った。ただ、他のメンバーが思い浮かばないんだよなぁ……コードネームが似合わないという点で。"きさらぎ"はセーフな気がするけど、"さよ"、"はまだ"は何か違う気がする。

8月企画は是非8月にやらないとな企画なので、間に合ってよかったです。間に合わなかったら真冬にテキトーなタイトル決めてやったけど。季節物はそーゆうところが苦しい……。承り中のキリリクやっつけてからですけどね。

ところで最後のシーン、そちら様のお坊ちゃまに「妹が欲しい!」と我儘言わせて母を困らせるべく書いたのですが……書いてみません?
S.Kirishima 2009/08/08 10:08
お疲れさまでした!
はじめまして。こんにちは。
いつもこっそり来ていた者です。
連載お疲れさまでした!とても楽しく読ませて頂きました。これからも素敵なお話楽しみにしています。
頑張って下さい。
トワ 2009/08/07(Fri)23:59:48 編集
Re:お疲れさまでした!
いらっしゃいませ、初めまして。コメント有難う御座います。
何か、ロム専の方に「コメントしよう」って思わせるほどの何かをした気がして、すっごい嬉しいなぁ。
長くて説明くさい話でしたがお付き合い頂けて、こちらこそ有難う御座いました。好意的なお声に調子に乗らせて頂きましたデス。
今後も本能の赴くままにやっていく予定ですが、どうぞよろしくお付き合い下さいませ。
S.Kirishima 2009/08/08 10:12
こんばんわ!
はじめまして、麻美と申します。
こっそり日参させていただいてます(^^)♪

というか、まさかの16666ヒット、踏ませていただいちゃいました!!
ほんとにびっくりです~!
ずうずうしくもリクエストお願いしてよろしいでしょうか・・・?

余裕な将軍と負けないように頑張る田口センセ。
で、セクシー路線(笑)

なんだか変なリクエストですが・・・・
お願いします☆
これからも楽しみに通わせていただきます!
頑張ってください♪
NONAME 2009/08/10(Mon)01:32:15 編集
Re:こんばんわ!
いらっしゃいませ、初めまして! コメント有難う御座います。
そんでもって、16666番ヒットおめでとうです。

セクシー路線ですか。コ、コスプレでもする?
霧島は「セクシー」を何か履き違えてるかもしれない。
どんなのが出来上がるか解りませんが、気長にお待ち下さいませ。
今後ともどうぞ宜しくご贔屓に。またのご来場をお待ちしておりま~す。
S.Kirishima 2009/08/10 12:30
TRACKBACK
TrackbackURL:
PREV ←  HOME  → NEXT
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
最新コメント
[04/04 トワ]
[04/03 武那しめじ]
[03/12 名無し]
[01/04 みなみ]
[12/16 武那しめじ]
リンク
倉庫サイトと素敵同盟さま
プロフィール
腐れ管理人、霧島です。
趣味は図書館通いと立ち読み。
レンタルで映画DVD視聴。
モットーは「とりあえず」。
ブログ内検索
バーコード
最新トラックバック
Copyright (C) 2024 M-Rainbow All Rights Reserved.

Photo by (c)Tomo.Yun   TemplateDesign by kaie
忍者ブログ [PR]