忍者ブログ
こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
[55]  [54]  [53]  [52]  [51]  [50]  [49]  [48]  [47]  [46]  [45
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

オリキャラ登場注意報発令中

連載も6回目です。6回だよ。
何処の誰だい、5回くらいとか言ってたヤツは。
ちなみに現時点では9回くらいの予想です。
半端だから10回まで増量してやろうかな(←自棄っぽい)。


ところで先日赤いコミック買いました。
絵的にいろいろ思うところはあるのですが、迦陵頻伽の「きっと大好きなのよ」以下の下りに悦ったりと萌え所はそれなりにあったので、ヨシとしております。
ところであのハヤブサのキャラデザ、どっかで見た気がするなと思っていたら……エヴァンゲリヲンの赤木リツコ博士の母親(名前忘れてマス)を思い出した。さあ知ってる人がいるのかっつーピンポイント指摘。
そう思うと複雑です……だって赤木母って不幸極まりないキャラなんですもの。



「誰か早くっ!」

病院で悲鳴を上げるような看護師はいない。オレンジ新棟にいるのは、一階も二階も鍛え上げられた戦士だ。
子供を抱いてよろめく白衣姿に一瞬戸惑って、次の瞬間、速水はそれが実習生だと気付いた。
一番脳裏にひっかかっていた仁科愛実だ。
愛実が腕に抱えている子供の顔が赤いのを見てとって、すぐに手を当てる。
慌てるほどではないと判断し、寄ってきた看護師に素早く指示を出す。
隣を見下ろせば、愛実が強張った顔で事態を見守っている。
何も出来ない自分を思い知っただろうと、底意地悪い気持ちで速水は思った。
それが個人的な感情に発しているものであることは、薄々解っていた。



「何ですぐ知らせなかったのっ!!」

拓真の主治医に愛実は怒鳴られていた。
愛実も、愛実の背後に立つ二人の実習生も瞬間身体を竦ませる。
どういう状況でこうなったかを問い質された愛実は、看護師に頼まれて拓真を探したこと、見つけたけれど戻りたくなさそうだったので待とうと思ったこと、泣き出した拓真がやがて発作を起こしたことを話したのだ。
予想通り、愛実は叱責された。
速水を含めた周囲が気の毒そうな、それでいてどこか好奇心を隠さずに様子を伺っている。
言い訳は期待されていない。ここで要求されるのは謝罪だけだ。

「申し訳ありませんでした。でも」
「でも?」

問い返す主治医の声が険を含む。だが、愛実は退かなかった。
少し背が低い愛実は、主治医の顔を見上げるようにして口を開く。

「待ちたかったんです。検査が怖くて嫌だと拓真くんは泣いてました。検査をしないワケにはいかないけど、せめて拓真くんが勇気を出せるまで待ちたかったんです」
「そんなことできないわ」
「どうしてですか? 時間が決まっているからですか? それは誰のための時間ですか? 次の人のため? 嫌な検査をそれでも納得するために待つための時間は、ないんですか?」
「ちょっ、仁科」

捲し立てる愛実に、実習仲間の方が焦ったようだった。
背後から身を乗り出して愛実に囁きかけ、白衣を引いている。
だが勢い込んだ愛実は、主治医の顔を見つめて目を逸らそうとしなかった。
押し負けかけた主治医だったが、年季が違うのだろう。
再度口を開き、その言葉は鋭い切れ味となった。

「あなたが今日悠長に待っていて、実際何が起こったの?」
「それは…………っ」

子供が苦しむことになった。
それは愛実自身もよく解っているのだろう、目線が怯む。
嵩にかかった主治医は更に言い募った。

「理想論じゃ世の中回らないわ」
「…………それでも私は」

勝利宣言のように愛実の青さを責める主治医に、愛実は顔を上げた。
表情は強張っている。
速水の耳に届く声は幽かに震えていた。

「それでも私は患者さんが納得できるまで傍で待ちたいです」

震えながらもする主張に、速水は誰かを思い出す。
そうだ、あれは行灯だ。
渡海医師の舌鋒に怯みながら、尚も主張した田口の姿だった。

「だったら一丁前の医者になるんだな」

ボソリと呟いたつもりの一言が、静まり返った小児科医局に木霊した。
愛実が視線を速水の方へ寄越す。
目が合ったのはほんの一瞬だった。
PR
back
COMMENT
name
title
text
color   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
mail
URL
pass
secret
深かったです
こんばんは。
シリーズ新作拝読しました。
愛実ちゃんの主張も主治医の先生の主張も正論だからこそ難しいですね。
ブラックぺアンにてオペ室の悪魔に挑みかかった医師の卵時代の田口先生の姿が浮かびました。
最後のジェネラルの一言がとても印象的で心に残りました。
彼女にはこの苦い経験を乗り越えて立派な医師になってほしいです。
次回作も期待しています。
シラユキ 2009/03/05(Thu)22:19:13 編集
Re:深かったです
ご来場有難う御座います。
よかったぁ~~……少しは黒本イメージしたんですよ、これでも。将軍が悪魔に、オリキャラが行灯先生にリンクしたつもりだったのだ、一応。
もっと将軍とガチンコするイメージだったんですけど(当初の予定じゃ将軍が怒鳴り役だった)、何か上手くカッコいいセリフにならなくて逃げましたです……。
もうちょっとだけ続きそうだったりします。今しばらくお付き合い下さいませ。
S.Kirishima 2009/03/06 21:34
TRACKBACK
TrackbackURL:
PREV ←  HOME  → NEXT
カレンダー
04 2024/05 06
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31
最新コメント
[04/04 トワ]
[04/03 武那しめじ]
[03/12 名無し]
[01/04 みなみ]
[12/16 武那しめじ]
リンク
倉庫サイトと素敵同盟さま
プロフィール
腐れ管理人、霧島です。
趣味は図書館通いと立ち読み。
レンタルで映画DVD視聴。
モットーは「とりあえず」。
ブログ内検索
バーコード
最新トラックバック
Copyright (C) 2024 M-Rainbow All Rights Reserved.

Photo by (c)Tomo.Yun   TemplateDesign by kaie
忍者ブログ [PR]