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こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
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3回目です。予定の範囲内で終わったようだ。


サイトの方も更新しています。
「インビジブル彼女」の続編「リアライジブル彼氏」と、コメントおまけで書いたSSSが五つたまったのでまとめてアップです。
桜宮藩とか、本編がアップになってないのにどうかと思ったのですが、このまま放っておくと忘れそうなので……。
これからも、コメントおまけSSSは五つごとのアップでいきたいと思います。


笑って祝福する以外に、何が出来ただろう。



「嫌だ」
「え、ちょっと!」

話がある、と切り出した田口の言葉を島津は叩き落とした。
そのままくるりと踵を返した島津に、田口は慌てて取り縋った。
袖を捕まえられて、島津は渋面で振り返った。

「惚気なんぞ聞きたくねえよ」
「っっ! 何で…………っ」
「そのツラ見りゃ解る」

島津の先制パンチに田口は息を呑んだ。
島津は不機嫌な声音を作って種明かしをする。
そう、田口の顔を見れば解る。
照れて恥じらいながら、それでも幸せそうな顔。
その表情で報告する話が、成就した恋以外にあるものか。

「上手くいったのか」

半ば確信はしているものの、何処となく信じられない気持ちで島津は尋ねた。
田口ははにかみながら頷いた。

「速水にそっちの気があったとは思えないけどな」
「それは、まあ……そうなんだけど……」

島津も田口も、速水の過去の交際相手は凡そ知っている。その中に同性がいたことは一度もなかった。
島津の独り言めいた呟きに、田口も表情を曇らせる。
田口にも不安が全く無いわけではないのだ。

「…………大丈夫なのか?」

思わず尋ねると、田口は苦笑を浮かべた。

「解らないよ、そんなの。ひょっとしたら、すぐダメになるかもしれないし……」
「馬鹿。最初っから暗いこと考えてどうするんだ」
「ああ、そうだな」

島津が言うと、田口は再び幸せそうに笑った。
その笑顔に腹の中が温かくなる気がした。
バカなことを言った自覚はあった、恋敵と上手くいくように励ましてどうするのだ。破綻してくれた方が有難い筈なのに。
それでも、田口が泣くよりはいいと思いたい。
島津の矛盾も知らず、田口は穏やかな口調で続けた。

「島津には、一番先に知らせたかったんだ。あの時、何も言わないでいてくれたことも、あの後、話聞いてくれたことも、本当に有難かったから……」
「そう、か」

何も言わなかったのではなく、言えなかっただけなのに。
止めろとも言えず、頑張れとも言えず、聞いているしかなかっただけなのに。
皮肉な結末に島津は一人笑う。

「島津も、好きなコ出来たら教えてくれよ。応援するからっ」

島津の心中には気付かないくせに、離れたところから呼ぶ速水の声には気付いた田口は、早口で言うと踵を返した。
小走りで寄ってきた田口を、速水は頭ごと抱え込んで抱き寄せる。
二人の表情は見えない。
だがきっと田口は笑っている。速水も多分、笑っているだろう。

「あ――――あ」

一人残された島津は長い溜息を吐いた。
最初から望みの薄い恋だった。今更、嘆き悲しむこともない。
そして、泣けないなら、笑うしかない。
道化のように終わった恋には相応しい結末だと思った。
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