カテゴリをどこにしようか、ちょっと迷いましたが、主人公が魔人なのでとりあえずその他で続きもの。多分3回。
片想い企画第2弾です。図式は
(将軍×)行灯←魔人
のようなカンジ。
元ネタは工/藤静/香の「慟哭」です。
古い歌なんで知らない人もいるかもしれないけど、作詞作曲が中/島みゆ/きでしてね。
一晩中泣いて 泣いて 泣いて
解ったのに
お前も早く誰かを探せよ、と
からかわないで 偉そうに
これ、すげーくよくない?
ほんっとに相手から見たら自分は友達でしかなくて、その友達の幸せを願ってくれるほどには自分を好きでいてくれてるワケで。
気のおけない友達で彼の前でも笑ってるけど、ああでもそんな風に言われたくなかったなぁと。
まあこれをこのまま当てはめるのはちょっと無理があるから、多少はいじりますが、つまりこんな話。出たとこ勝負で。
片想い企画第2弾です。図式は
(将軍×)行灯←魔人
のようなカンジ。
元ネタは工/藤静/香の「慟哭」です。
古い歌なんで知らない人もいるかもしれないけど、作詞作曲が中/島みゆ/きでしてね。
一晩中泣いて 泣いて 泣いて
解ったのに
お前も早く誰かを探せよ、と
からかわないで 偉そうに
これ、すげーくよくない?
ほんっとに相手から見たら自分は友達でしかなくて、その友達の幸せを願ってくれるほどには自分を好きでいてくれてるワケで。
気のおけない友達で彼の前でも笑ってるけど、ああでもそんな風に言われたくなかったなぁと。
まあこれをこのまま当てはめるのはちょっと無理があるから、多少はいじりますが、つまりこんな話。出たとこ勝負で。
その恋は、失恋とともに訪れた。
「行灯」
「えっ、あ、何…………?」
島津が声をかけると、田口は驚いたように背中を震わせた。
島津を見る視線は定まらず、ややもすると左右に流れる。
全身で気配を探るような、警戒しているような。
島津は眉を顰めた。
「お前、最近俺たちを避けてないか?」
「そんなことないよ」
田口の返答は早い。
だが、それが却って不審だと島津は思う。
答えを準備していたようだ……訊かれることを予想していて。
島津は溜息を吐いた。
「彦根が言うんだ、間違いない」
「アイツ…………」
ゴーイングマイウェイ気質の島津や速水と違い、人の動向を把握する、という点において彦根は飛び抜けて巧かった。
田口もそれを知っている。
島津の言葉に、田口は苦虫を噛み潰したような顔になった。
「避けてるワケじゃ、ない……今ちょっと、考えたいことがあるだけで…………」
「そう、か」
伏し目がちな声が、どうかそっとしておいてくれ、と頼んでいる。
島津は少し反応に迷った。瞬きと曖昧な頷きで時間を稼ぐ。
田口がそう言うなら、そっとしておいてやるのが友情だろうか。それとも、相談に乗るのも友情のうちか。
だが、田口が自分たちを避けて回っていることから考えると、田口には誰かに相談するつもりはないらしい。それなら訊かない方が親切というものだろう。
空気を変えるように、島津は明るい口調で言った。
「早く解決するといいな。速水が煩くてかなわん」
「えっ、速水?」
「遊び相手がいないんで、退屈してるらしい、ぞ…………?」
速水の名前に田口の背中が跳ねた。
抑え気味の表情に一瞬朱が差して、それからまた瞳が暗くなる。
その反応に、再度島津は眉を顰めた。
速水の名前に対する過剰な反応から導き出される結論は、一つだ。
「お前、速水と何かあったのか?」
そうは言いながらも、速水と田口のトラブルなど島津には想像も出来なかった。速水は周囲と衝突することがままある男だが、田口の方は衝突をスルリと回避する技を心得ている。
「違う、何かなんて、何も…………っ」
顔を上げて田口は否定する。首を左右に振るとバサバサの髪が流れた。
そしてすぐ、田口は顔を伏せてしまう。
沈黙が漂った。
島津の前に立つ田口はイヤに小さく見えた。
こんなに弱々しい、頼りなげな田口を見たことはなかった。
会話の継ぎ目を、でなければ終着点を心の中で探していた島津に先んじて、田口が言葉を繋いだ。
表情の一つも取り零さないように、島津は田口を凝視する。
「どうしよう、島津…………」
「…………どうしようって、何が?」
田口の伏せた眼が、涙で潤んでいる。
男が簡単に泣くなんて、とは島津は思わなかった。
その瞳が怖い。島津を惹き寄せる。
田口の涙を拭ってやろうと、腕が勝手に持ち上がる。重力は無かった。
田口はそんな島津の動きに気付かないまま、吐息と一緒にそっと囁いた。
「…………速水が好きなんだ」
島津の腕は重力に引かれて、田口の瞳には届かなかった。
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