8月31日は野菜の日です。解り易いですねぇ、語呂合わせ。
折角だから将軍に野菜を食わせる話を書こうと思いました。
ところで、霧島日参の素敵サイト様で、焼肉の日に合わせてSSをアップしていらっしゃるところがありまして。
……そこで妙な化学反応を起こした結果がコレです。ゴメンなさい。
今更ですが、ウチのサイトの行灯先生はそこそこ家事をこなす設定です。将軍と行灯先生では、お料理するのは行灯先生になります。
折角だから将軍に野菜を食わせる話を書こうと思いました。
ところで、霧島日参の素敵サイト様で、焼肉の日に合わせてSSをアップしていらっしゃるところがありまして。
……そこで妙な化学反応を起こした結果がコレです。ゴメンなさい。
今更ですが、ウチのサイトの行灯先生はそこそこ家事をこなす設定です。将軍と行灯先生では、お料理するのは行灯先生になります。
「……何だよ、これは?」
ホットプレートの傍に用意された食材を見て、速水は眉間に皺を寄せた。
肉、はいい。
本日のメニューは焼き肉で、肉が無ければ話にならない。
だが、ピーマン、人参、玉ねぎ、茄子、とうもろこし、キャベツ、などなど。こんもりとバットに積み上がった野菜たち。
はっきり言って肉より野菜の方が圧倒的に多い。
「肉野菜炒めでも作るのか?」
「いいや」
本日の料理人に不満を訴えれば、田口は何でもない顔で言った。寧ろ、何言ってんだお前、という表情だ。
「焼き肉だよな?」
「だからって肉だけってワケにもいかないだろ。ただでさえ、お前の食生活は不健全なんだ。食える時にはちゃんと食っとけ」
「ちぇ――っ」
こと、食生活に関しては田口は強気だった。速水に反論は許されていない。
速水は渋々と席に着いた。
肉は美味かった。高価なブランド肉でなくても満足できるのは庶民の心得であり強みである。幸せはささやかでよいのだ。
「肉ばっかりじゃなくて野菜食え、野菜」
速水が野菜を避けているのをちゃんと見ていた田口から指摘が飛んだ。
速水がじろっと睨むと、田口も睨み返す。
肉を奪い合っているワケでもないのに、ホットプレートの上で火花が飛んだ。
ふと思い立って、速水はにやっと笑った。
「『はいあーん』って食わせてくれたら、食ってやるよ」
「なっ」
速水の提案に田口は目を見開いた。ぱくぱくと口を開けたり閉じたりして、反論を探す。
その間、口元に笑みを浮かべたまま速水は田口を凝視し続けた。
耐えきれなくなった田口は視線を逸らして目を伏せる。頬がうっすらと赤くなり始めていた。
にやにや笑いながらも、速水は心の中で慎重に間合いを量った。
余り突き過ぎると、逆に食事を没収されかねない。
速水が大人しく待っていると、田口の手が動いてホットプレートの上の野菜をかき集めた。
柔らかくなったキャベツとピーマンを纏めて挟み、慎重に箸を持ち上げて速水に向ける。
「え、と」
赤くなった表情で、上目遣いで、田口は速水を見た。
口ごもりながら目線で速水を促す。
同い年の男相手にどうかとは思うが、実に可愛らしい様子だった。
心臓を直撃する光景だ。
「『あーん』は?」
「調子に乗んなっ! 落ちるからとっとと食え!」
ついセリフを催促したら、逆ギレされた。
速水は一つ笑って、少し身体を乗り出して口を開く。
田口の箸を深く咥えると、田口が箸を引こうとした。前歯と箸が音を立てた。
箸の味はしなかったが、野菜は野菜の味がした。キャベツとピーマンをまとめて咀嚼する。
「うん、焼けてる」
何も言わないのも奇妙な気がして、気付いたら速水はそんな感想を口にしていた。
田口が肩を竦めて苦笑を浮かべた。
先ほどまでの恥じらいはもう残っていないらしい。ちょっと残念だった。
「野菜なんだから、生でも食えるけどな」
「いや、茄子は無理だろ。ほれ」
「それ生だろ。こっちの玉ねぎ、いけるんじゃないのか?」
「ん」
速水が取り上げて田口に差し出した茄子の一切れは、田口に綺麗に無視される。
火が通っていないのは明らかな一切れだったので、速水も素直にホットプレート上に戻した。田口が示した玉ねぎを皿に取る。タレを絡めれば、火の通った玉ねぎ特有の甘みと、まだ焼けていない部分の辛さと、タレの味わいが混ざりあって実に美味だった。
「美味いわ」
「だろ」
速水が呟くと、田口は満足そうに笑って肉を一枚取り上げたのだった。
ホットプレートの傍に用意された食材を見て、速水は眉間に皺を寄せた。
肉、はいい。
本日のメニューは焼き肉で、肉が無ければ話にならない。
だが、ピーマン、人参、玉ねぎ、茄子、とうもろこし、キャベツ、などなど。こんもりとバットに積み上がった野菜たち。
はっきり言って肉より野菜の方が圧倒的に多い。
「肉野菜炒めでも作るのか?」
「いいや」
本日の料理人に不満を訴えれば、田口は何でもない顔で言った。寧ろ、何言ってんだお前、という表情だ。
「焼き肉だよな?」
「だからって肉だけってワケにもいかないだろ。ただでさえ、お前の食生活は不健全なんだ。食える時にはちゃんと食っとけ」
「ちぇ――っ」
こと、食生活に関しては田口は強気だった。速水に反論は許されていない。
速水は渋々と席に着いた。
肉は美味かった。高価なブランド肉でなくても満足できるのは庶民の心得であり強みである。幸せはささやかでよいのだ。
「肉ばっかりじゃなくて野菜食え、野菜」
速水が野菜を避けているのをちゃんと見ていた田口から指摘が飛んだ。
速水がじろっと睨むと、田口も睨み返す。
肉を奪い合っているワケでもないのに、ホットプレートの上で火花が飛んだ。
ふと思い立って、速水はにやっと笑った。
「『はいあーん』って食わせてくれたら、食ってやるよ」
「なっ」
速水の提案に田口は目を見開いた。ぱくぱくと口を開けたり閉じたりして、反論を探す。
その間、口元に笑みを浮かべたまま速水は田口を凝視し続けた。
耐えきれなくなった田口は視線を逸らして目を伏せる。頬がうっすらと赤くなり始めていた。
にやにや笑いながらも、速水は心の中で慎重に間合いを量った。
余り突き過ぎると、逆に食事を没収されかねない。
速水が大人しく待っていると、田口の手が動いてホットプレートの上の野菜をかき集めた。
柔らかくなったキャベツとピーマンを纏めて挟み、慎重に箸を持ち上げて速水に向ける。
「え、と」
赤くなった表情で、上目遣いで、田口は速水を見た。
口ごもりながら目線で速水を促す。
同い年の男相手にどうかとは思うが、実に可愛らしい様子だった。
心臓を直撃する光景だ。
「『あーん』は?」
「調子に乗んなっ! 落ちるからとっとと食え!」
ついセリフを催促したら、逆ギレされた。
速水は一つ笑って、少し身体を乗り出して口を開く。
田口の箸を深く咥えると、田口が箸を引こうとした。前歯と箸が音を立てた。
箸の味はしなかったが、野菜は野菜の味がした。キャベツとピーマンをまとめて咀嚼する。
「うん、焼けてる」
何も言わないのも奇妙な気がして、気付いたら速水はそんな感想を口にしていた。
田口が肩を竦めて苦笑を浮かべた。
先ほどまでの恥じらいはもう残っていないらしい。ちょっと残念だった。
「野菜なんだから、生でも食えるけどな」
「いや、茄子は無理だろ。ほれ」
「それ生だろ。こっちの玉ねぎ、いけるんじゃないのか?」
「ん」
速水が取り上げて田口に差し出した茄子の一切れは、田口に綺麗に無視される。
火が通っていないのは明らかな一切れだったので、速水も素直にホットプレート上に戻した。田口が示した玉ねぎを皿に取る。タレを絡めれば、火の通った玉ねぎ特有の甘みと、まだ焼けていない部分の辛さと、タレの味わいが混ざりあって実に美味だった。
「美味いわ」
「だろ」
速水が呟くと、田口は満足そうに笑って肉を一枚取り上げたのだった。
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COMMENT
可愛い^^
こんにちは。
ジェネラルに野菜を食べさせようとする田口先生、お疲れ様ですね。
確かにあの人の食生活は無残なことになっていそうですし…
あーんしての応酬は可愛くて強烈に萌えました!
最後に田口先生がとった肉は自分で食べるのか、野菜を食べたジェネラルにご褒美で食べさせてあげるのかが気になりました。
萌え小説ごちそうさまでした^^
ジェネラルに野菜を食べさせようとする田口先生、お疲れ様ですね。
確かにあの人の食生活は無残なことになっていそうですし…
あーんしての応酬は可愛くて強烈に萌えました!
最後に田口先生がとった肉は自分で食べるのか、野菜を食べたジェネラルにご褒美で食べさせてあげるのかが気になりました。
萌え小説ごちそうさまでした^^
Re:可愛い^^
いらっしゃいませ、コメント有難う御座います。
行灯先生自ら積極的に「はい、あーん」をやって、うかうか食べさせられちゃう将軍って案もあったんですけどね。まあ今回は恥じらって貰いました。
肉は多分自分で食った。ご褒美やるほど、行灯先生は優しくない(笑)。
その後「てめ、人には野菜食えっつっといて自分ばっか!」というやり取りがあったかもしれないな……。
行灯先生自ら積極的に「はい、あーん」をやって、うかうか食べさせられちゃう将軍って案もあったんですけどね。まあ今回は恥じらって貰いました。
肉は多分自分で食った。ご褒美やるほど、行灯先生は優しくない(笑)。
その後「てめ、人には野菜食えっつっといて自分ばっか!」というやり取りがあったかもしれないな……。