無知は台無し。

伝説ネタバレ警報発令中。


キャストは将軍とネコ。場面はICU満床後、一度断った受け入れを再度決断する場面。
……あの見せ場を、全て台無しにします。
ゴ、ゴメンなさいっ！　怒らないで、笑い飛ばしてっ！


ところで、皆さん、イカロスの話って何時から知ってます？
霧島の場合、一番最初に知ったのはおそらく「勇気一つを友にして」です。これで漠然と、イカロスのストーリーを知り、その後ギリシア神話だと知った次第。
ちなみに「勇気～」の初出は1975年10月の「みんなのうた」だそうで。
同期三人って10歳ぐらいだよなぁ。

「あんたは東城大のイカロスよ。天高く舞い上がり、太陽の怒りを買って地べたに叩きつけられる大バカ者」

猫田の声は強い。
普段の寝惚けた声とは比べ物にならない。
猫田の演説はICUの看護婦たちの精神を張り詰めさせ、高め上げた。
しかし、肝心の速水にはまだ届かない。

「あの、」

速水は恐る恐る口を挟む。
演説を邪魔された猫田が、じろりと据わった目で速水を見た。
言っていいものか、と瞬間思ったが、速水は言わずにはいられなかった。

「イカロスって何ですか？」

その瞬間のICUは見物だった。
猫田が目を見開き、花房以下看護婦たちがポカンと口を開け、微妙な空気が漂う。電話は鳴り響いているのに沈黙が漂い、「あほーあほー」と鳴くカラスの幻聴が聞こえた。

「…………いいからとっとと患者を受け入れなさい！」
「ふぁいっ！」

猫田に一喝されて、速水は情けない返事をした。
速水が返事をした瞬間、看護婦たちは電話を取り上げて口早に応対する。
慌ただしく動き始める医局を見回しながら、後で田口か島津にでも訊こうと速水はボンヤリ思った。