さて、本日の記念日は。
ピザの日/山梨県民の日
の二つです。
茨城、埼玉から微妙に続いております。伊賀谷杏さん再登場。
今回、彼女の名前の由来をテキトーに騙ってます。話の都合で作りました。
本当はローマ字アナグラムなんですけど、イガヤアン。
山梨県のる●ぶとかまっ●るとか見たけれど、何たって果物王国ですな、山梨。山梨関連の銘菓っつーと一つしか思いつきませんでした。
ピザの日/山梨県民の日
の二つです。
茨城、埼玉から微妙に続いております。伊賀谷杏さん再登場。
今回、彼女の名前の由来をテキトーに騙ってます。話の都合で作りました。
本当はローマ字アナグラムなんですけど、イガヤアン。
山梨県のる●ぶとかまっ●るとか見たけれど、何たって果物王国ですな、山梨。山梨関連の銘菓っつーと一つしか思いつきませんでした。
「お待たせしました。伊賀谷さん、ですよね」
速水を見送って程なく、不定愁訴外来の責任者・田口が顔を見せた。
会釈する田口に対し、伊賀谷も小さく頭を下げた。
「はい、伊賀谷杏です」
田口は人の名前の由来に興味を持つ人だと聞いていたので、伊賀谷はフルネームで名乗った。
案の定、田口は目を瞬いた。
「あん? どんな字を?」
「あんずの杏です」
「ああ……由来を訊いてもよろしいですか?」
噂の通りに訊かれると、少しこそばゆい気がしてくるものである。
まして伊賀谷の名前の由来は、少女趣味もいいところなのだ。
「母親が『赤毛のアン』が大好きで。アン、という音を決めてから漢字を探したんです」
「そうだったんですか。可愛らしいお名前ですね」
そう言って、田口はにっこりと柔らかく笑った。
お地蔵様とも仙人とも言われる、俗っぽいところのない笑顔で正面から見つめられて、伊賀谷は大いに照れた。
照れ隠しに、慌てて持参したものを田口の方へ押しやった。
「あの、これっ! お納め下さいっ」
慌てる余り、口上が頓珍漢なものになる。
瞬時に失敗に気付いた伊賀谷だったが、田口は気付かないようだった。
伊賀谷が押し出した山梨土産に目を見張っていた。
「信玄餅と……ワイン?」
「勝沼のワインです。結構有名だと思いますけど」
山梨は甲州ブドウ発祥の地だ。
ブドウ生産の歴史は古く、農家もワイナリーも多い。
田口は酒が嫌いではなかった筈だ。
ある意味、判決を待つ被告人のような気持ちになる。
そんな伊賀谷に、ワインのラベルから目を上げた田口はにっこりと笑ってみせた。
「凄いですね、喜んで頂きます。有難う御座いました」
「いいえっ、そんなっ」
伊賀谷は手を振って、田口の謝辞に答えた。
まだまだ混乱気味の伊賀谷を小さく笑って、田口は再度ワインのラベルを読み始める。
田口の横顔を見ていた伊賀谷だったが、田口の耳の下辺りに赤い痕が残っているのに気付いた。
きっと、少し前に速水が残したものだろう。
思わずくすっと笑ってしまう。
伊賀谷が上げた笑い声に、田口が顔を上げた。
田口と眼が合った。
「是非、速水先生と一緒に飲んで下さいね」
言いながら、意味ありげに自分の耳の下を指差した。
その意味に気付いたのだろう、田口がたちまち頬を赤くする。
乱暴に音を立ててワインを机に戻し、手で耳を隠した。
だが、遅い。しっかり見えた。
田口の反応が面白いし可愛いしで、伊賀谷の中から笑いが込み上げる。
面と向かって笑うワケにもいかないので、伊賀谷は下を向いて懸命に笑いを噛み殺したのだった。
速水を見送って程なく、不定愁訴外来の責任者・田口が顔を見せた。
会釈する田口に対し、伊賀谷も小さく頭を下げた。
「はい、伊賀谷杏です」
田口は人の名前の由来に興味を持つ人だと聞いていたので、伊賀谷はフルネームで名乗った。
案の定、田口は目を瞬いた。
「あん? どんな字を?」
「あんずの杏です」
「ああ……由来を訊いてもよろしいですか?」
噂の通りに訊かれると、少しこそばゆい気がしてくるものである。
まして伊賀谷の名前の由来は、少女趣味もいいところなのだ。
「母親が『赤毛のアン』が大好きで。アン、という音を決めてから漢字を探したんです」
「そうだったんですか。可愛らしいお名前ですね」
そう言って、田口はにっこりと柔らかく笑った。
お地蔵様とも仙人とも言われる、俗っぽいところのない笑顔で正面から見つめられて、伊賀谷は大いに照れた。
照れ隠しに、慌てて持参したものを田口の方へ押しやった。
「あの、これっ! お納め下さいっ」
慌てる余り、口上が頓珍漢なものになる。
瞬時に失敗に気付いた伊賀谷だったが、田口は気付かないようだった。
伊賀谷が押し出した山梨土産に目を見張っていた。
「信玄餅と……ワイン?」
「勝沼のワインです。結構有名だと思いますけど」
山梨は甲州ブドウ発祥の地だ。
ブドウ生産の歴史は古く、農家もワイナリーも多い。
田口は酒が嫌いではなかった筈だ。
ある意味、判決を待つ被告人のような気持ちになる。
そんな伊賀谷に、ワインのラベルから目を上げた田口はにっこりと笑ってみせた。
「凄いですね、喜んで頂きます。有難う御座いました」
「いいえっ、そんなっ」
伊賀谷は手を振って、田口の謝辞に答えた。
まだまだ混乱気味の伊賀谷を小さく笑って、田口は再度ワインのラベルを読み始める。
田口の横顔を見ていた伊賀谷だったが、田口の耳の下辺りに赤い痕が残っているのに気付いた。
きっと、少し前に速水が残したものだろう。
思わずくすっと笑ってしまう。
伊賀谷が上げた笑い声に、田口が顔を上げた。
田口と眼が合った。
「是非、速水先生と一緒に飲んで下さいね」
言いながら、意味ありげに自分の耳の下を指差した。
その意味に気付いたのだろう、田口がたちまち頬を赤くする。
乱暴に音を立ててワインを机に戻し、手で耳を隠した。
だが、遅い。しっかり見えた。
田口の反応が面白いし可愛いしで、伊賀谷の中から笑いが込み上げる。
面と向かって笑うワケにもいかないので、伊賀谷は下を向いて懸命に笑いを噛み殺したのだった。
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