27777ヒットのひよこ様からのリクエストです。
ひよこ様、ヒットおめでとうございます&リクエスト有難う御座います。
……そして、遅くなって申し訳ありません。
リク内容は「将軍の危機を行灯先生が救う話」ということですが。
…………気付きました。
ウチの行灯先生、うっかりすると身体張っちゃいます。将軍が怪我しそうなんて場面に遭遇したら、絶対やっちゃいそうだ。
愛ね、愛。
サイト更新しています。
将軍行灯に3つとその他に1つです。
8月の怪談企画収録が始まっております。
ひよこ様、ヒットおめでとうございます&リクエスト有難う御座います。
……そして、遅くなって申し訳ありません。
リク内容は「将軍の危機を行灯先生が救う話」ということですが。
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ウチの行灯先生、うっかりすると身体張っちゃいます。将軍が怪我しそうなんて場面に遭遇したら、絶対やっちゃいそうだ。
愛ね、愛。
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将軍行灯に3つとその他に1つです。
8月の怪談企画収録が始まっております。
「君は自分の立場を解っているのかね?」
陰険な口調に、速水は苦虫を噛み潰した。
後からするから後悔とはよく言ったものだ。
嫌味を聞かされるくらいなら、挨拶などしなければよかった。
「大体君は勝手な振る舞いが多すぎる。君の横暴に振り回されるオペ室の面々のことも考えたまえ」
先日速水は、手術が予定されていた第九手術室に割り込んで、緊急手術を行った。
その、予定手術の執刀医が目の前にいる痩せた宮内准教授だ。当然ながら速水より年は上。
自分が方々に迷惑をかけている自覚はあるからこそ、詫び代わりの挨拶をしようとも思ったのだ。
嫌味の一つ二つは予想のうちだったが、五つも六つもではウンザリしてくる。
「すみませんね、でも患者死ぬとこだったんで仕方なかったんですよ」
「またそれだ。患者の為と口にすれば、何でも許されると思っているワケだな、君は」
「はっ」
宮内の言葉に、速水は鼻を鳴らした。
病院内に於いて、患者以上に優先するものがあるもんか。
速水の嘲笑が当然ながら癇に障った宮内が眉を吊り上げた。
二人の間の空気がますます険悪に、刺々しくなる。
その時だ。
「あ、速水! 探したんだぞっ!」
大きな声が割って入ると共に、速水の腕が強く引かれた。
速水が身体ごと振り返ると、田口が速水を見上げている。
田口の瞳が一瞬だけ悪戯っぽく笑った。
「訊きたいことがあったんだ、昨日ICUから送られてきた患者さんで……あ、宮内先生。失礼しました、お話中でしたか?」
田口は滅多にない早口で捲し立て、その途中「今気付いた」という素振りで宮内に向き直った。人当たりのいい笑顔を浮かべている。
宮内は毒気を抜かれた顔をしていた。
「ああ、いや…………」
「よかった、速水を借りてもいいですか? ちょっとこちらも滞ってしまって……悪い、速水、来て貰えるか?」
「あ、おう」
「それでは、失礼します」
「あっ、と、廊下で大きな声を出すのは止めたまえ」
「はい、失礼しました」
田口が慌てる様など、速水は見たこともない。
だが今の田口は堂に入った急ぎっぷりで、一方的に喋って速水を引っ張って行こうとした。
宮内も引き止めることが出来ず、お小言をくれるのが精一杯だ。
田口はぴょこんと頭を下げて、速水の腕を引いたまま廊下を歩き始めた。
角を二つ曲がったところで、田口は速水の腕を解放した。
歩行速度も田口の常態、つまりてくてく歩きになった。
速水の通常より遅いそのペースに合わせながら、速水は笑い交じりに口を開いた。
「昨日、極楽病棟に患者を送った覚えなんかないぞ?」
「物覚えが悪いんだな、速水。ひょっとして耄碌した?」
田口も笑って軽口を叩いた。
事実は速水の言う通り、ICUから神経内科病棟に送った患者はいない。
田口は厚かましいほど堂々と嘘を吐いているのだ。
陰険准教授から、速水を解放する為に。
「助かった。俺一人でも論破出来たけどな」
うんざりしていたのは確かだが、舌戦になっても勝つ自信があった。
不遜な好奇心が、言い負かされる宮内准教授像を見たがっているのも事実だ。
速水の言い草に、田口は呆れた顔をした。
「解ってるよ、多分お前は負けなかっただろうな。でも恨みは買った」
「それは、まあな」
論破された宮内准教授が速水を憎むだろうことは、容易に想像がつく。
元々気に入られていないのだから、今更恨まれようが、速水には痛くも痒くもない。
速水の恐れ知らずな態度に田口は溜息を一つ吐いた。
「人の兵を屈するも戦うに非ず」
「は?」
「直接戦わないで相手を屈伏させるのが、自分の損も少なく利益が大きいって意味。出典は孫子」
田口が唐突に口にした文語文が瞬間解らず、速水は目を瞬いた。
田口はすらすらと解説した。
読書家だったことは知っているが、よく覚えているものだと感心する。
田口ののんびりした風情に、兵法書は聊か不似合いだとは思ったが。
速水に向かって田口はにっこりと笑った。
「喧嘩は勝たなきゃ意味ないし、勝つなら上手い勝ち方ってものがあるよな」
呆気に取られて田口を見ていた速水だが、次第に笑いが込み上げてきた。
人畜無害そうな顔をしていて、時に痛烈な一撃を繰り出す相手だったことを思い出す。
「なるほど、少し考えよう」
「是非そうしてくれ」
速水が笑いながらも重々しい口調を作って言うと、田口も笑って頷いたのだった。
陰険な口調に、速水は苦虫を噛み潰した。
後からするから後悔とはよく言ったものだ。
嫌味を聞かされるくらいなら、挨拶などしなければよかった。
「大体君は勝手な振る舞いが多すぎる。君の横暴に振り回されるオペ室の面々のことも考えたまえ」
先日速水は、手術が予定されていた第九手術室に割り込んで、緊急手術を行った。
その、予定手術の執刀医が目の前にいる痩せた宮内准教授だ。当然ながら速水より年は上。
自分が方々に迷惑をかけている自覚はあるからこそ、詫び代わりの挨拶をしようとも思ったのだ。
嫌味の一つ二つは予想のうちだったが、五つも六つもではウンザリしてくる。
「すみませんね、でも患者死ぬとこだったんで仕方なかったんですよ」
「またそれだ。患者の為と口にすれば、何でも許されると思っているワケだな、君は」
「はっ」
宮内の言葉に、速水は鼻を鳴らした。
病院内に於いて、患者以上に優先するものがあるもんか。
速水の嘲笑が当然ながら癇に障った宮内が眉を吊り上げた。
二人の間の空気がますます険悪に、刺々しくなる。
その時だ。
「あ、速水! 探したんだぞっ!」
大きな声が割って入ると共に、速水の腕が強く引かれた。
速水が身体ごと振り返ると、田口が速水を見上げている。
田口の瞳が一瞬だけ悪戯っぽく笑った。
「訊きたいことがあったんだ、昨日ICUから送られてきた患者さんで……あ、宮内先生。失礼しました、お話中でしたか?」
田口は滅多にない早口で捲し立て、その途中「今気付いた」という素振りで宮内に向き直った。人当たりのいい笑顔を浮かべている。
宮内は毒気を抜かれた顔をしていた。
「ああ、いや…………」
「よかった、速水を借りてもいいですか? ちょっとこちらも滞ってしまって……悪い、速水、来て貰えるか?」
「あ、おう」
「それでは、失礼します」
「あっ、と、廊下で大きな声を出すのは止めたまえ」
「はい、失礼しました」
田口が慌てる様など、速水は見たこともない。
だが今の田口は堂に入った急ぎっぷりで、一方的に喋って速水を引っ張って行こうとした。
宮内も引き止めることが出来ず、お小言をくれるのが精一杯だ。
田口はぴょこんと頭を下げて、速水の腕を引いたまま廊下を歩き始めた。
角を二つ曲がったところで、田口は速水の腕を解放した。
歩行速度も田口の常態、つまりてくてく歩きになった。
速水の通常より遅いそのペースに合わせながら、速水は笑い交じりに口を開いた。
「昨日、極楽病棟に患者を送った覚えなんかないぞ?」
「物覚えが悪いんだな、速水。ひょっとして耄碌した?」
田口も笑って軽口を叩いた。
事実は速水の言う通り、ICUから神経内科病棟に送った患者はいない。
田口は厚かましいほど堂々と嘘を吐いているのだ。
陰険准教授から、速水を解放する為に。
「助かった。俺一人でも論破出来たけどな」
うんざりしていたのは確かだが、舌戦になっても勝つ自信があった。
不遜な好奇心が、言い負かされる宮内准教授像を見たがっているのも事実だ。
速水の言い草に、田口は呆れた顔をした。
「解ってるよ、多分お前は負けなかっただろうな。でも恨みは買った」
「それは、まあな」
論破された宮内准教授が速水を憎むだろうことは、容易に想像がつく。
元々気に入られていないのだから、今更恨まれようが、速水には痛くも痒くもない。
速水の恐れ知らずな態度に田口は溜息を一つ吐いた。
「人の兵を屈するも戦うに非ず」
「は?」
「直接戦わないで相手を屈伏させるのが、自分の損も少なく利益が大きいって意味。出典は孫子」
田口が唐突に口にした文語文が瞬間解らず、速水は目を瞬いた。
田口はすらすらと解説した。
読書家だったことは知っているが、よく覚えているものだと感心する。
田口ののんびりした風情に、兵法書は聊か不似合いだとは思ったが。
速水に向かって田口はにっこりと笑った。
「喧嘩は勝たなきゃ意味ないし、勝つなら上手い勝ち方ってものがあるよな」
呆気に取られて田口を見ていた速水だが、次第に笑いが込み上げてきた。
人畜無害そうな顔をしていて、時に痛烈な一撃を繰り出す相手だったことを思い出す。
「なるほど、少し考えよう」
「是非そうしてくれ」
速水が笑いながらも重々しい口調を作って言うと、田口も笑って頷いたのだった。
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