早速本日の記念日から。
オペラ記念日/鰹節の日
日本で初めて上演されたオペラは「ファウスト」だそうだ。で、日付が今日らしい。
今回は「トゥーランドット」より"誰も寝てはならぬ"をネタにしてみました。
荒川静香が金メダルを取った時の曲、といえば解るかと思います。
ソプラノアリアより、テノールやアルトのアリアの方が好きだなぁ……ソプラノは周波数が高過ぎて、耳に痛い。
しかしネットって便利ですね。
28888ヒットの月華さま。
メッセージ受信しました。キリ番ヒットおめでとうございます。
リクの方、のんびりゆっくりで結構ですよ~お待ちしてますね。
オペラ記念日/鰹節の日
日本で初めて上演されたオペラは「ファウスト」だそうだ。で、日付が今日らしい。
今回は「トゥーランドット」より"誰も寝てはならぬ"をネタにしてみました。
荒川静香が金メダルを取った時の曲、といえば解るかと思います。
ソプラノアリアより、テノールやアルトのアリアの方が好きだなぁ……ソプラノは周波数が高過ぎて、耳に痛い。
しかしネットって便利ですね。
28888ヒットの月華さま。
メッセージ受信しました。キリ番ヒットおめでとうございます。
リクの方、のんびりゆっくりで結構ですよ~お待ちしてますね。
夜勤のオレンジ新棟で、佐藤副部長代理は首を傾げていた。
上司である速水がいやに上機嫌なのだ。
緊急搬送も急変も起こらない平和で、ある意味、退屈な夜である。
それなのに、速水は鼻歌混じりでさえあった。
まあ速水が上機嫌に越したことはない。
佐藤も、舐めかけの棒付きキャンディをぶつけられる回数が減るというものだ。
平和な夜だとて、何時慌ただしくなるか知れたものではないので、佐藤は速水に仮眠を勧めることにした。
「部長、少し寝てきたらどうですか? こっちはまだ余裕ありそうですし」
「寝られねえよ」
「…………まさか」
速水の答えに、佐藤は眉を顰めた。
速水の勘には定評がある。
つまり、寝ている暇などないような事態が起こるということだろうか。
佐藤の表情から佐藤が抱いた危惧を読み取って、速水は笑った。
「いや、今日は多分何も起きないだろ。俺が、寝たくないだけさ」
「は?」
また謎な答えだ。
怪訝な顔をする佐藤に、速水は笑みを深くした。
「俺ね、告ったの」
「うえぇっ?!」
速水の言葉に、今度こそ佐藤は仰天した。
素っ頓狂な声を上げてしまう。
当然ながら速水は、そんな佐藤の反応を実に面白そうな顔で見ていた。
取り敢えず驚いておいてから、佐藤は速水の上機嫌の理由に気付いた。
「じゃあ、OK貰って……?」
「いや、返事待ち。でも多分OK」
自慢か、畜生。
佐藤が心中でそう思うのも無理はなかった。
OKを貰って浮かれるよりも、OKの自信があって浮かれる方が、許し難い気がする。
男としていろいろ負けているように思えた。
渋い表情になった佐藤に構わず、速水は話を続けた。
「そんなワケで、待ち遠しくて寝たくない気分だから。佐藤ちゃん、寝ていいよ」
「はぁ…………ほいじゃ、お言葉に甘えて寝てきます」
今一釈然としないが、速水がそう言うなら佐藤に異論はなかった。
ぺこんと頭を下げると、緩慢な足取りで仮眠室へ向かった。
佐藤の背中を視界の端で見送って、速水は小さく笑った。
随分と余計なことを喋った気がするが、それも浮かれている証拠だろう。
今の気分にぴったりの歌が脳裏を駆ける。
愛しい姫君からの謎かけを解き、逆に謎を問いかける王子のアリア。
夜明けに贈る口づけで、愛しい人を手に入れる歌。
速水にその歌を教えてくれたのは田口だった。
おそらく、今の速水と同じように、眠らずに夜明けを待っている。
そして、夜明けの光と共に訪れる口づけを。
「Dilegua, o notte! (夜よ早く消え去れ!)
Tramontate, stelle! (星よ早く隠れてしまえ!)
All'alba vincero!(夜明けには貴方を勝ち取ってみせる!)」
丸暗記したイタリア語を速水は口に乗せた。
これほど夜明けが待ち遠しいことはなかった。
上司である速水がいやに上機嫌なのだ。
緊急搬送も急変も起こらない平和で、ある意味、退屈な夜である。
それなのに、速水は鼻歌混じりでさえあった。
まあ速水が上機嫌に越したことはない。
佐藤も、舐めかけの棒付きキャンディをぶつけられる回数が減るというものだ。
平和な夜だとて、何時慌ただしくなるか知れたものではないので、佐藤は速水に仮眠を勧めることにした。
「部長、少し寝てきたらどうですか? こっちはまだ余裕ありそうですし」
「寝られねえよ」
「…………まさか」
速水の答えに、佐藤は眉を顰めた。
速水の勘には定評がある。
つまり、寝ている暇などないような事態が起こるということだろうか。
佐藤の表情から佐藤が抱いた危惧を読み取って、速水は笑った。
「いや、今日は多分何も起きないだろ。俺が、寝たくないだけさ」
「は?」
また謎な答えだ。
怪訝な顔をする佐藤に、速水は笑みを深くした。
「俺ね、告ったの」
「うえぇっ?!」
速水の言葉に、今度こそ佐藤は仰天した。
素っ頓狂な声を上げてしまう。
当然ながら速水は、そんな佐藤の反応を実に面白そうな顔で見ていた。
取り敢えず驚いておいてから、佐藤は速水の上機嫌の理由に気付いた。
「じゃあ、OK貰って……?」
「いや、返事待ち。でも多分OK」
自慢か、畜生。
佐藤が心中でそう思うのも無理はなかった。
OKを貰って浮かれるよりも、OKの自信があって浮かれる方が、許し難い気がする。
男としていろいろ負けているように思えた。
渋い表情になった佐藤に構わず、速水は話を続けた。
「そんなワケで、待ち遠しくて寝たくない気分だから。佐藤ちゃん、寝ていいよ」
「はぁ…………ほいじゃ、お言葉に甘えて寝てきます」
今一釈然としないが、速水がそう言うなら佐藤に異論はなかった。
ぺこんと頭を下げると、緩慢な足取りで仮眠室へ向かった。
佐藤の背中を視界の端で見送って、速水は小さく笑った。
随分と余計なことを喋った気がするが、それも浮かれている証拠だろう。
今の気分にぴったりの歌が脳裏を駆ける。
愛しい姫君からの謎かけを解き、逆に謎を問いかける王子のアリア。
夜明けに贈る口づけで、愛しい人を手に入れる歌。
速水にその歌を教えてくれたのは田口だった。
おそらく、今の速水と同じように、眠らずに夜明けを待っている。
そして、夜明けの光と共に訪れる口づけを。
「Dilegua, o notte! (夜よ早く消え去れ!)
Tramontate, stelle! (星よ早く隠れてしまえ!)
All'alba vincero!(夜明けには貴方を勝ち取ってみせる!)」
丸暗記したイタリア語を速水は口に乗せた。
これほど夜明けが待ち遠しいことはなかった。
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