昨日はたくさんお祝い頂きました。有難う御座います!
それでは本日の記念日。張り切って参りましょう。
かまぼこの日/七五三/蔵の日/きものの日/いい遺言の日/夫婦の遺言週間(~22日)
これ、迷ったなぁ。七五三と遺言の日と。
遺言の日はどうしたって死にネタになってしまうけど。
取り敢えず何となく桜宮藩が書きたくて七五三にしました。
七五三は、元々別々の儀式がドッキングしたもので、成立はほぼ江戸時代だとか。15日になったのは、綱吉公に由来するそうです。
そんなワケで桜宮藩。子供の行事なのに、親ばっかりです。
27777ヒットのひよこ様。メッセージ受信しました。
リクエスト有難う御座いました。
少々お時間下さいませ、頑張りますっ!
それでは本日の記念日。張り切って参りましょう。
かまぼこの日/七五三/蔵の日/きものの日/いい遺言の日/夫婦の遺言週間(~22日)
これ、迷ったなぁ。七五三と遺言の日と。
遺言の日はどうしたって死にネタになってしまうけど。
取り敢えず何となく桜宮藩が書きたくて七五三にしました。
七五三は、元々別々の儀式がドッキングしたもので、成立はほぼ江戸時代だとか。15日になったのは、綱吉公に由来するそうです。
そんなワケで桜宮藩。子供の行事なのに、親ばっかりです。
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リクエスト有難う御座いました。
少々お時間下さいませ、頑張りますっ!
「一太郎の、袴着をやろうと思う」
「まあ」
速水の言葉にきみは顔を綻ばせた。
袴着は五歳になった男児が初めて袴を身につけ、その成長を祝う儀式だ。
子供の成長を祝う行事に、母としてきみが喜ばないわけがない。
「誰に袴親を頼むかが問題でな」
「まあ……ご親族の方では、どなたかいらっしゃいませんの?」
袴親とは、男児が身に付けた袴の帯を締める役をする後見人のような存在だ。
父親より目上の者がなるのが習いである。
きみが首を傾げるが、速水は親族の顔を思い浮かべて眉を潜めた。
速水家は桜宮藩家老も勤められる家格だ、親戚筋も当然ながら多い。
だが、所詮は分家であり、主家の嫡男の袴親に相応しいかどうかは微妙だ。
また、きみの「連れ子」である一太郎を速水が嫡男扱いすることに、いい顔をしない向きもある。
「田口先生が御存命なら、間違いなくお願いしたんだがな」
「…………」
きみの兄・田口公平なら、速水にとっても恩師に当たる。藩主の腹心を勤め、地位も問題なかった。
速水の呟きに、きみはそっと顔を伏せる。
きみの兄は、妹の結婚も甥の誕生も見ないままに亡くなっているのだ。
速水はそっと手を伸ばしてきみの頬を撫でた。
「そんな顔をするな。お前を悲しませたかった訳ではない」
「ええ、解っております」
きみはそっと微笑むと、酒を注ぐ振りをして速水の手から逃げた。
速水はそれを許さない。
膳を横へ押し遣り、きみの手から銚子を取り上げて膳へ戻すと、きみを抱き締めた。
「なあ。お前の泣き顔は、俺は二度と見たくないんだ。その為なら、何でもする」
「殿…………」
寝間でもないのに抱き締められることに抵抗を見せたきみだったが、速水が放そうとしないのを悟って身体の力を抜いた。
速水の腕の中でそっと息を吐き、柔らかく笑う。
「私は幸せです。殿のお傍にいられて、一太郎も健やかに育っている……これ以上、何を望むことがありましょうか?」
「本当に?」
「嘘など申しません」
「どうだか…………お前は以前に大嘘を吐いたからな」
「まあ、酷い」
五年の歳月を経て二人が再会した時に、きみはたくさんの嘘を並べ立てた。
速水がそれを当てこすると、きみはくすくすと笑い出す。
首を曲げて腕の中から速水を見上げると、きみはそっと指を伸ばして速水の頬に触れた。
「幸せです、本当に」
「それならいい」
微笑んだきみを強く抱き締めて、速水は小さく頷いたのだった。
後日のことだ。
一太郎の袴着に関してどこから聞きつけたのか、桜宮藩主である高階上総介が袴親に名乗りを挙げた。
流石に畏れ多い事態に、速水は大慌てすることになるのだった。
「まあ」
速水の言葉にきみは顔を綻ばせた。
袴着は五歳になった男児が初めて袴を身につけ、その成長を祝う儀式だ。
子供の成長を祝う行事に、母としてきみが喜ばないわけがない。
「誰に袴親を頼むかが問題でな」
「まあ……ご親族の方では、どなたかいらっしゃいませんの?」
袴親とは、男児が身に付けた袴の帯を締める役をする後見人のような存在だ。
父親より目上の者がなるのが習いである。
きみが首を傾げるが、速水は親族の顔を思い浮かべて眉を潜めた。
速水家は桜宮藩家老も勤められる家格だ、親戚筋も当然ながら多い。
だが、所詮は分家であり、主家の嫡男の袴親に相応しいかどうかは微妙だ。
また、きみの「連れ子」である一太郎を速水が嫡男扱いすることに、いい顔をしない向きもある。
「田口先生が御存命なら、間違いなくお願いしたんだがな」
「…………」
きみの兄・田口公平なら、速水にとっても恩師に当たる。藩主の腹心を勤め、地位も問題なかった。
速水の呟きに、きみはそっと顔を伏せる。
きみの兄は、妹の結婚も甥の誕生も見ないままに亡くなっているのだ。
速水はそっと手を伸ばしてきみの頬を撫でた。
「そんな顔をするな。お前を悲しませたかった訳ではない」
「ええ、解っております」
きみはそっと微笑むと、酒を注ぐ振りをして速水の手から逃げた。
速水はそれを許さない。
膳を横へ押し遣り、きみの手から銚子を取り上げて膳へ戻すと、きみを抱き締めた。
「なあ。お前の泣き顔は、俺は二度と見たくないんだ。その為なら、何でもする」
「殿…………」
寝間でもないのに抱き締められることに抵抗を見せたきみだったが、速水が放そうとしないのを悟って身体の力を抜いた。
速水の腕の中でそっと息を吐き、柔らかく笑う。
「私は幸せです。殿のお傍にいられて、一太郎も健やかに育っている……これ以上、何を望むことがありましょうか?」
「本当に?」
「嘘など申しません」
「どうだか…………お前は以前に大嘘を吐いたからな」
「まあ、酷い」
五年の歳月を経て二人が再会した時に、きみはたくさんの嘘を並べ立てた。
速水がそれを当てこすると、きみはくすくすと笑い出す。
首を曲げて腕の中から速水を見上げると、きみはそっと指を伸ばして速水の頬に触れた。
「幸せです、本当に」
「それならいい」
微笑んだきみを強く抱き締めて、速水は小さく頷いたのだった。
後日のことだ。
一太郎の袴着に関してどこから聞きつけたのか、桜宮藩主である高階上総介が袴親に名乗りを挙げた。
流石に畏れ多い事態に、速水は大慌てすることになるのだった。
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