埼玉県民の日

本日、11月14日の記念日です。

埼玉県民の日/いい石の日/盛人の日/アンチエイジングの日

実はもう一つありまして。
霧島の誕生日だったりします。いくつになったかは訊かんでくれ……。


既に記憶の彼方にある今回の企画タイトル「何でもない日万歳！」というのは、ディズニー版「不思議の国のアリス」由来です。
三月ウサギとイカレ帽子屋の歌が、

「誕生日は年に1回、何でもない日は354日、だから祝おう何でもない日を！」

というものでして。ここからきていたりします。
だから今日は、霧島にとっては「何でもない日ではない日」「何かある日」です。


微妙に昨日の「茨城県民の日」と続いております。伊賀谷杏さん続投中。
埼玉県情報下さったA様、N様、有難う御座いました！

伊賀谷が湯呑を前に待っていると、奥のパーテーションを開けて速水が出てきた。
顔を上げた伊賀谷と視線が合う。
速水は胡散臭そうな目で伊賀谷を見た。
逢瀬の邪魔をされたからといって、そんなに恨まないで欲しい。
元々、この時間に約束をしていたのは伊賀谷の方なのだ。
ジェネラルと呼ばれる男の視線に伊賀谷が怯むと、速水は伊賀谷からテーブルの上に目を動かした。

「ふぅん……芋せんべいに五家宝、狭山緑茶……埼玉ねえ」

もう本当に面白くなさそうな口ぶりだった。
埼玉銘菓の御威光も、不機嫌なジェネラルには通用しないらしい。
そのまま速水は伊賀谷の方に一歩近寄ると、長身を存分に利用して伊賀谷を見下ろした。
威圧的な距離に伊賀谷は腰が退ける。
椅子に座ったまま逃げようとして、椅子ががたんと音を立てた。

「藤原さんを懐柔か？　田口に手ぇ出したらタダじゃおかねえぞ」
「め、滅相もありませんっ！」

速水の言い様に伊賀谷は目を見開いた。
両手と首をまとめて横に振って、否定の意を表す。
確かにちょっかいは出したいところだ。
でもそれは、速水との交際について田口をつつきたい、という意味である。
決して二人の邪魔をするつもりはない。

「応援、してますからっ」
「ふぅん…………？」

伊賀谷が主張すると一応は納得したのか、未だ眉間に皺を寄せたままだったが、取り敢えず速水は退いた。
遠のいた圧迫感に伊賀谷はやっと緊張を解く。

「そんならいいけどな」

一言そう残して、後は伊賀谷に構わず速水は不定愁訴外来を出て行った。
扉が閉まる音を確認して、伊賀谷は息を吐く。

「ああ、怖かったぁ…………ふふっ」

ジェネラルに睨まれるという恐怖体験は嬉しくもなんともない。
だが、田口に対する盲愛ぶりを目の当たりに出来たのは、実に有意義なことと言える。
伊賀谷は思わず小さく笑ってしまったのだった。