本日の記念日です。多いぞ~。
ミュージカル「キャッツ」の日/ジュエリーデー/電池の日/めんの日/磁気の日/鮭の日/ポッキー&プリッツの日/サッカーの日/きりたんぽの日/おりがみの日/長野県きのこの日/介護の日/鏡の日/コピーライターの日/おそろいの日
以上!
ポッキーの日は有名ですが、ポッキーゲームはベタすぎるのでやりません。
鏡の日はホラーにしかならないです。真っ先に「ブラッディ・メアリー」を思い出してしまった……。
ミュージカル「キャッツ」の日/ジュエリーデー/電池の日/めんの日/磁気の日/鮭の日/ポッキー&プリッツの日/サッカーの日/きりたんぽの日/おりがみの日/長野県きのこの日/介護の日/鏡の日/コピーライターの日/おそろいの日
以上!
ポッキーの日は有名ですが、ポッキーゲームはベタすぎるのでやりません。
鏡の日はホラーにしかならないです。真っ先に「ブラッディ・メアリー」を思い出してしまった……。
「速水せんせー、田口せんせー、お先でーす」
「満天」で食事をしていた速水の脇を通り過ぎる際、如月翔子は明るく声をかけた。
速水と、速水の前にいた田口が顔を上げると、如月と一緒に浜田小夜もペコリと頭を下げる。
その二人が揃いのトートバックを持っているのに速水は気付いた。
「あ、お揃いか?」
「はいっ!」
憧れの人が、自分の持ち物に気付いてくれるのは嬉しいことだ。
如月は満面に笑みを浮かべて頷いた。
速水に見せるようにちょっとだけトートバックを掲げると、浜田のトートバックと自分の物を交互に見遣りながら言った。
「雑貨屋さんで見つけて、可愛かったんで二人して一目惚れしたんです」
如月の言葉に浜田も同意して頷いた。
「お二人は仲良しなんですね」
「はいっ」
田口が笑って言うと、如月はきっぱりと返事をし、その隣りで浜田がはにかんだ笑みと共に頷いた。
女の子同士の友情に、速水も田口も微笑ましい気分になった。
「いーなー、お揃い」
「……………………」
「仲良しだってさー」
「……………………」
「満天」から下りていくエレベーターの中だ。
わざとらしい口調で繰り返す速水のセリフを、田口は忍耐強く黙殺していた。
速水が何を言いたいのか、田口にも解っている筈だ。
返事をしようとしない田口の横顔を見下ろしながら、速水は内心溜息を吐いた。
指輪や時計やネクタイ、愚痴外来に置くマグカップなど、「お揃い」をやろうとしたことはあったのだ。
しかし悉く田口に拒否されている。
その理由が「恥ずかし過ぎる」という可愛いものだから、速水も強行はしなかったけれど、仮令女の子同士の友情だろうと、仲の良い二人を見せつけられては羨ましくもなろうというものだ。
「なぁ、田口」
「五月蠅い」
何度目かの声に、ようやっと田口が返したのは素っ気無いセリフだった。
エレベーターが停止し、珍しくも田口が先に立って歩き出す。
外来受付ホールを抜けて非常扉を開け、非常階段へ出た時だった。
「おわっ」
突然胸倉を掴まれて、速水は瞬間焦った。
田口は速水を非常扉に押し付ける勢いで身体を寄せると、速水の右の鎖骨に噛みついた。
速水がされるままになっているうちに、田口は速水の肌をきつく吸い上げて、鎖骨の辺りに赤い痕を残した。
それから、最初と同じ唐突さと乱暴さで、速水の身体を突き放す。
今度こそ本当に速水は背中を非常扉にぶつけた。
めまぐるしい展開を把握しきれないでいるうちに、田口は真っ赤になった顔で速水を睨んで。
「こ、これで我慢しとけ! お揃いだろっ」
そう言い捨てて、転がるように階段を下りていった。
速水の足の下で、不定愁訴外来の扉が大きな音と共に閉まる。
「えっとぉ」
一人残された速水は、じんわりと痛みの残る鎖骨を指で撫でた。
そういえば昨夜、いや日付は今日になっていたか。
情事の最中に田口に刻んだキスマークの一つは、この場所だった筈だ。
つまりキスマークが「お揃い」ということか。
そこまで理解が至ると、速水の喉の奥から笑いが込み上げてくる。
「くっくっく…………かーわいい奴っ」
やることが大胆なわりに、やった傍から恥ずかしがるなんて、可愛いとしか言いようがなかった。
速水は軽い足取りで非常階段を下りて行った。
そうして、必要以上の上機嫌で午後の仕事をこなす速水の姿に、オレンジ一階の佐藤副部長代理は首を傾げることになるのだった。
「満天」で食事をしていた速水の脇を通り過ぎる際、如月翔子は明るく声をかけた。
速水と、速水の前にいた田口が顔を上げると、如月と一緒に浜田小夜もペコリと頭を下げる。
その二人が揃いのトートバックを持っているのに速水は気付いた。
「あ、お揃いか?」
「はいっ!」
憧れの人が、自分の持ち物に気付いてくれるのは嬉しいことだ。
如月は満面に笑みを浮かべて頷いた。
速水に見せるようにちょっとだけトートバックを掲げると、浜田のトートバックと自分の物を交互に見遣りながら言った。
「雑貨屋さんで見つけて、可愛かったんで二人して一目惚れしたんです」
如月の言葉に浜田も同意して頷いた。
「お二人は仲良しなんですね」
「はいっ」
田口が笑って言うと、如月はきっぱりと返事をし、その隣りで浜田がはにかんだ笑みと共に頷いた。
女の子同士の友情に、速水も田口も微笑ましい気分になった。
「いーなー、お揃い」
「……………………」
「仲良しだってさー」
「……………………」
「満天」から下りていくエレベーターの中だ。
わざとらしい口調で繰り返す速水のセリフを、田口は忍耐強く黙殺していた。
速水が何を言いたいのか、田口にも解っている筈だ。
返事をしようとしない田口の横顔を見下ろしながら、速水は内心溜息を吐いた。
指輪や時計やネクタイ、愚痴外来に置くマグカップなど、「お揃い」をやろうとしたことはあったのだ。
しかし悉く田口に拒否されている。
その理由が「恥ずかし過ぎる」という可愛いものだから、速水も強行はしなかったけれど、仮令女の子同士の友情だろうと、仲の良い二人を見せつけられては羨ましくもなろうというものだ。
「なぁ、田口」
「五月蠅い」
何度目かの声に、ようやっと田口が返したのは素っ気無いセリフだった。
エレベーターが停止し、珍しくも田口が先に立って歩き出す。
外来受付ホールを抜けて非常扉を開け、非常階段へ出た時だった。
「おわっ」
突然胸倉を掴まれて、速水は瞬間焦った。
田口は速水を非常扉に押し付ける勢いで身体を寄せると、速水の右の鎖骨に噛みついた。
速水がされるままになっているうちに、田口は速水の肌をきつく吸い上げて、鎖骨の辺りに赤い痕を残した。
それから、最初と同じ唐突さと乱暴さで、速水の身体を突き放す。
今度こそ本当に速水は背中を非常扉にぶつけた。
めまぐるしい展開を把握しきれないでいるうちに、田口は真っ赤になった顔で速水を睨んで。
「こ、これで我慢しとけ! お揃いだろっ」
そう言い捨てて、転がるように階段を下りていった。
速水の足の下で、不定愁訴外来の扉が大きな音と共に閉まる。
「えっとぉ」
一人残された速水は、じんわりと痛みの残る鎖骨を指で撫でた。
そういえば昨夜、いや日付は今日になっていたか。
情事の最中に田口に刻んだキスマークの一つは、この場所だった筈だ。
つまりキスマークが「お揃い」ということか。
そこまで理解が至ると、速水の喉の奥から笑いが込み上げてくる。
「くっくっく…………かーわいい奴っ」
やることが大胆なわりに、やった傍から恥ずかしがるなんて、可愛いとしか言いようがなかった。
速水は軽い足取りで非常階段を下りて行った。
そうして、必要以上の上機嫌で午後の仕事をこなす速水の姿に、オレンジ一階の佐藤副部長代理は首を傾げることになるのだった。
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