さて、当初の予定じゃここが最終回だったんだが。
少し引っ張りそうだなぁ……。
キリ番1500もスルーされたようです。いいもん、めげないから。
てなワケでしつこく次を設定。
回転の速さにビックリしております。お、追いつかないぞ。
少し引っ張りそうだなぁ……。
キリ番1500もスルーされたようです。いいもん、めげないから。
てなワケでしつこく次を設定。
回転の速さにビックリしております。お、追いつかないぞ。
「…………田口っ?!」
話の最中で、速水が押さえていた手を支点に前のめりで田口は倒れた。元々座っていたのが幸いして、床に強く打つことはない。
速水の方へ倒れてきた身体を支えようとして、何処に触れようか速水は瞬間迷った。
遠慮のせいではない。田口の輪郭がハッキリしなかったのだ。
ラフスケッチを重ねた時のように、身体が二重三重にブレて見える。それとも霞み目か疲れ目。何処に触ればいいのだか、単純に解らない。
それでも次第に田口の輪郭が一つに定まった。
そして、ほんの僅かに大きく直線的な田口がそこにいる。
「戻った…………?」
時計は日付を超えていた。
「行灯。おい、目ぇ覚ませ」
「ん…………っ」
頬を軽く叩くと、田口は薄目を開けた。目線が変に揺らぐこともなく、脳などに重大な損傷はなさそうだと医師として判断する。
「えっと、俺…………」
「元に戻ってるぞ」
「えっ?! あ…………」
速水の言葉に驚きの声を上げた田口は、今度はその声が聞き慣れた男の低い声であることに気付いてまた驚いたようだった。ペタペタと自分の身体を触り出す。
だが。
「…………着替えてくる!」
慌てて立ち上がると、自分の部屋に引っ込んで襖を閉めてしまったのだ。何も言えずに見送ってしまったが、田口の頬が赤らんでいるのを速水はしっかり見た。
腕を動かした拍子に服が突っ張って、自分が女物を身につけていることを思い出したらしい。それは恥ずかしいだろう。
相変わらずの慌てっぷりに、速水は喉の奥で笑った。
「う、あ――――…………」
スウェットの上下を着て現れた田口は、再度速水の前に座ると、何とも言い難い表情で意味のない声を発した。目線があちこちと気まずげに動いている。
速水の方から口を切ってやった。
「戻ってよかったな」
「あ、ああ。これで明日から仕事に行ける」
田口が肩の力を抜いてほっとした顔になった。速水にも見慣れた顔だった。
緊張が解けた田口は、溜息と共に愚痴を零した。
「しかし、どうしてこんなことになったんだか…………」
「どうして女になったのかも解らなけりゃ、どうして元に戻ったのかも不明だな。またひょっこりなったりして」
「冗談じゃない、二度とゴメンだぞ」
速水の軽口に田口は本気で眉間に皺を寄せた。
油断している。速水は田口の隙を突いてやることに決める。
「そりゃ残念だ。可愛かったのに」
「かわっ」
田口は速水の言葉に唖然とした。ポカンと口を開けて速水を見ている。
速水は笑ってやった。ここが捕まえ処だと本能的に解っていた。
「今でも可愛いけどよ」
マヌケ面、と普通なら評されるだろう、田口の今の顔。
しかし速水の中では「可愛い」に分類される。「可愛い」以外が見当たらないボキャブラリーの貧困さが、我ながら嘆かわしいくらいだ。
顔を赤くすることも出来ないくらい驚いている田口に、速水はそっとキスをした。
「さっきの話の続きをしようぜ」
至近距離での囁きに田口が息を飲む。
喉を通る空気の音までがハッキリ聞こえて、背筋に快感が走った。
決まりだな、と速水は思う。自分の気持は疑いようもなかった。
後は田口を手に入れるだけだ。
話の最中で、速水が押さえていた手を支点に前のめりで田口は倒れた。元々座っていたのが幸いして、床に強く打つことはない。
速水の方へ倒れてきた身体を支えようとして、何処に触れようか速水は瞬間迷った。
遠慮のせいではない。田口の輪郭がハッキリしなかったのだ。
ラフスケッチを重ねた時のように、身体が二重三重にブレて見える。それとも霞み目か疲れ目。何処に触ればいいのだか、単純に解らない。
それでも次第に田口の輪郭が一つに定まった。
そして、ほんの僅かに大きく直線的な田口がそこにいる。
「戻った…………?」
時計は日付を超えていた。
「行灯。おい、目ぇ覚ませ」
「ん…………っ」
頬を軽く叩くと、田口は薄目を開けた。目線が変に揺らぐこともなく、脳などに重大な損傷はなさそうだと医師として判断する。
「えっと、俺…………」
「元に戻ってるぞ」
「えっ?! あ…………」
速水の言葉に驚きの声を上げた田口は、今度はその声が聞き慣れた男の低い声であることに気付いてまた驚いたようだった。ペタペタと自分の身体を触り出す。
だが。
「…………着替えてくる!」
慌てて立ち上がると、自分の部屋に引っ込んで襖を閉めてしまったのだ。何も言えずに見送ってしまったが、田口の頬が赤らんでいるのを速水はしっかり見た。
腕を動かした拍子に服が突っ張って、自分が女物を身につけていることを思い出したらしい。それは恥ずかしいだろう。
相変わらずの慌てっぷりに、速水は喉の奥で笑った。
「う、あ――――…………」
スウェットの上下を着て現れた田口は、再度速水の前に座ると、何とも言い難い表情で意味のない声を発した。目線があちこちと気まずげに動いている。
速水の方から口を切ってやった。
「戻ってよかったな」
「あ、ああ。これで明日から仕事に行ける」
田口が肩の力を抜いてほっとした顔になった。速水にも見慣れた顔だった。
緊張が解けた田口は、溜息と共に愚痴を零した。
「しかし、どうしてこんなことになったんだか…………」
「どうして女になったのかも解らなけりゃ、どうして元に戻ったのかも不明だな。またひょっこりなったりして」
「冗談じゃない、二度とゴメンだぞ」
速水の軽口に田口は本気で眉間に皺を寄せた。
油断している。速水は田口の隙を突いてやることに決める。
「そりゃ残念だ。可愛かったのに」
「かわっ」
田口は速水の言葉に唖然とした。ポカンと口を開けて速水を見ている。
速水は笑ってやった。ここが捕まえ処だと本能的に解っていた。
「今でも可愛いけどよ」
マヌケ面、と普通なら評されるだろう、田口の今の顔。
しかし速水の中では「可愛い」に分類される。「可愛い」以外が見当たらないボキャブラリーの貧困さが、我ながら嘆かわしいくらいだ。
顔を赤くすることも出来ないくらい驚いている田口に、速水はそっとキスをした。
「さっきの話の続きをしようぜ」
至近距離での囁きに田口が息を飲む。
喉を通る空気の音までがハッキリ聞こえて、背筋に快感が走った。
決まりだな、と速水は思う。自分の気持は疑いようもなかった。
後は田口を手に入れるだけだ。
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