15回で終わるんじゃないかな、と思います。14回は確実。
随分長くなったなぁ……。
サイトの方、今日明日くらいには777ヒットしそうな勢いです。
今まで別サイト運営もしたことあるのですが、キリ番は意外とスルーされがち。まずはスルーされないことを願ってます。
随分長くなったなぁ……。
サイトの方、今日明日くらいには777ヒットしそうな勢いです。
今まで別サイト運営もしたことあるのですが、キリ番は意外とスルーされがち。まずはスルーされないことを願ってます。
スケジュール機能で予約した携帯電話のアラームで速水は目を覚ました。珍しく邪魔が入らずに休日を満喫した翌日は、どうしても遅刻しがちになる。
カーテン越しの薄明かりの中で腕を伸ばしてアラームを止め、隣で眠る相手を気遣うことを思い出した。
すうすうと寝息を立てる田口の身体は今日も女のままだ。素裸の胸に昨夜の興奮を思い出した。
明るいリビング、速水の上で上半身を露わに身体を弾ませる田口は妖艶と言ってもよかった。そのくせ不安気に速水の名を呼び、両手で縋る。熱で潤んだ瞳が速水の目を探すその様子に、込み上げたのは愛おしさだ。
優しく触れたい。甘やかしてやりたい。
触れ合いが気持ちいいと思ってもらいたかった。
一方的に先走りそうになる快楽に緩くブレーキをかけるのは田口の声だった。速水、と熱い吐息交じりに呼ぶ名前が、セックスは二人でするものだと思い出させる。そんな当たり前のことを、今更に思った。
折角アラームが鳴ったのに、田口の髪に触れながらぐずぐずとしていたら田口がうっすらと瞼を上げた。拙い仕草で目を擦って速水に焦点を合わせる。
「…………仕事?」
「寝てていいぞ」
「ん…………」
速水が言うと、田口はまたそっと瞼を閉じる。
疲れているだろう田口のことを思うと、速水の口元には苦笑が浮かんできた。疲労の原因は明らかに速水だ。リビングで一度、ベッドで二度三度。
俺も若いなぁ、というのは言ってもいいのか悪いのか。
とにかく仕事は待ってくれない。シャワーを浴びる為に立ち上がり、ベッドを抜け出した。着替えを探していたら、細い声が速水に投げられた。
「朝メシ、冷蔵庫に、にんじんのサラダとゆで卵あるから……」
「…………サンキュ」
このセリフの何がそんなに衝撃的だったのか、速水にも今一つ解っていない。だが、このシーンでこれは心臓にキた。
嬉しい。可愛い。諸々ひっくるめて、つまりは惚れて好きで愛しい。
結局その結論に達した。
睡魔に負けてしまった田口にはおそらく速水の謝辞は聞こえなかっただろう。そちらの方が有難かった。今、自分はとんでもなく赤い顔をしているだろうから。
「よぉ、昨日は平和だったみたいだな」
「おはよーございます…………速水部長、えらい上機嫌ですね?」
救命救急センターのナースステーションに顔を見せた速水に、佐藤副部長代理は挨拶をした後首を傾げた。速水に振り回されるオレンジの人間は、自然速水の顔色を読むことに長けてくる。
佐藤のセリフに、看護師が勢いよく手を上げた。
「はいっ! その理由知ってますっ!」
「え? 何?」
「速水部長、昨日デートでした! 目撃しちゃいました!」
「へええ~~~っ」
佐藤はちらりと速水を見て、それから看護師の方も見た。注目を集めた看護師は速水に遮られる前に自分の目撃談を語り出す。
「えっと、××の喫茶店でコーヒー飲んでましたよね。彼女はいちごのタルト食べてて、で、速水部長が一口貰って」
周囲の注目に調子に乗ったのか、そのまま看護師は一人芝居に突入した。
「一口くれ」
「ん? どーぞ」
「何だよ、はいあーん、じゃねえの?」
「誰がやるか、そんな恥ずかしいこと……って、あ――っ! デカイっ。食い過ぎ!」
「あん? フツーいちご単位でいくだろ、こーゆうのって」
「そうだけどっ」
というようなやり取りを、ヘンに作った声色で再現した。
速水はいろいろな意味で頭を抱えたくなった。
見られていたことも衝撃だが、この位なら問題なさそうだ。
「そこまで見てたのか。暇だなぁ」
東城大のナースが、というより、いいトシした成人女性のやることか、という呆れた気分である。
だが、佐藤の意見はまた違うらしい。速水の方を見て一言、
「痴話ですね」
と言った。
「彼女さんってどんな人ですか?」
「え――? そうね、ちっちゃくて可愛いカンジ? ユニカジ系の、シンプルってゆーか、あんまり派手めじゃなかったよ」
「へええ~~~っ」
看護師の目撃談に感嘆の声が上がると、視線が一斉に速水の方に向いた。
一同の視線はきらきらと期待に輝いている。
完全否定しようかとも思った。正式に交際しているわけではない……一線は越えているが。
だが、昨夜から今朝に続く浮かれ気分が速水の口を少し軽くしていた。
「すんげえ可愛い。これ以上は言わん、勿体ない」
「えええっ!!」
速水の堂々としたノロケに悲鳴じみた声が上がる。こういう時にテンションが上がるのは女性で、佐藤は珍奇なものを見た表情を隠そうともしなかった。
「さあ、仕事だ」
喉の奥で笑いながら、速水はその場を抜け出した。
帰宅した時は夜の十時を過ぎていた。それでも、今日のうちに帰れたのだから珍しい方だ。
玄関には鍵がかかっていた。この時間だし、一人なら当然だ。
呼び鈴を鳴らしたが、待っても誰も出てこない。
自分で持っていた鍵で玄関を開ける。中も真っ暗だった。
流石に速水も不審に思う。
まず一番近い玄関の明かりを付ける。狭い玄関を穏やかな電球が照らす。
靴が足りないことにすぐ気付いた。田口の、引き摺りながら履いていた男物の靴が無い。
靴を蹴飛ばすように脱いで、速水は家に上がった。大股で室内を横切り、全ての部屋を確かめる。
どの部屋にも田口はいなかった。
カーテン越しの薄明かりの中で腕を伸ばしてアラームを止め、隣で眠る相手を気遣うことを思い出した。
すうすうと寝息を立てる田口の身体は今日も女のままだ。素裸の胸に昨夜の興奮を思い出した。
明るいリビング、速水の上で上半身を露わに身体を弾ませる田口は妖艶と言ってもよかった。そのくせ不安気に速水の名を呼び、両手で縋る。熱で潤んだ瞳が速水の目を探すその様子に、込み上げたのは愛おしさだ。
優しく触れたい。甘やかしてやりたい。
触れ合いが気持ちいいと思ってもらいたかった。
一方的に先走りそうになる快楽に緩くブレーキをかけるのは田口の声だった。速水、と熱い吐息交じりに呼ぶ名前が、セックスは二人でするものだと思い出させる。そんな当たり前のことを、今更に思った。
折角アラームが鳴ったのに、田口の髪に触れながらぐずぐずとしていたら田口がうっすらと瞼を上げた。拙い仕草で目を擦って速水に焦点を合わせる。
「…………仕事?」
「寝てていいぞ」
「ん…………」
速水が言うと、田口はまたそっと瞼を閉じる。
疲れているだろう田口のことを思うと、速水の口元には苦笑が浮かんできた。疲労の原因は明らかに速水だ。リビングで一度、ベッドで二度三度。
俺も若いなぁ、というのは言ってもいいのか悪いのか。
とにかく仕事は待ってくれない。シャワーを浴びる為に立ち上がり、ベッドを抜け出した。着替えを探していたら、細い声が速水に投げられた。
「朝メシ、冷蔵庫に、にんじんのサラダとゆで卵あるから……」
「…………サンキュ」
このセリフの何がそんなに衝撃的だったのか、速水にも今一つ解っていない。だが、このシーンでこれは心臓にキた。
嬉しい。可愛い。諸々ひっくるめて、つまりは惚れて好きで愛しい。
結局その結論に達した。
睡魔に負けてしまった田口にはおそらく速水の謝辞は聞こえなかっただろう。そちらの方が有難かった。今、自分はとんでもなく赤い顔をしているだろうから。
「よぉ、昨日は平和だったみたいだな」
「おはよーございます…………速水部長、えらい上機嫌ですね?」
救命救急センターのナースステーションに顔を見せた速水に、佐藤副部長代理は挨拶をした後首を傾げた。速水に振り回されるオレンジの人間は、自然速水の顔色を読むことに長けてくる。
佐藤のセリフに、看護師が勢いよく手を上げた。
「はいっ! その理由知ってますっ!」
「え? 何?」
「速水部長、昨日デートでした! 目撃しちゃいました!」
「へええ~~~っ」
佐藤はちらりと速水を見て、それから看護師の方も見た。注目を集めた看護師は速水に遮られる前に自分の目撃談を語り出す。
「えっと、××の喫茶店でコーヒー飲んでましたよね。彼女はいちごのタルト食べてて、で、速水部長が一口貰って」
周囲の注目に調子に乗ったのか、そのまま看護師は一人芝居に突入した。
「一口くれ」
「ん? どーぞ」
「何だよ、はいあーん、じゃねえの?」
「誰がやるか、そんな恥ずかしいこと……って、あ――っ! デカイっ。食い過ぎ!」
「あん? フツーいちご単位でいくだろ、こーゆうのって」
「そうだけどっ」
というようなやり取りを、ヘンに作った声色で再現した。
速水はいろいろな意味で頭を抱えたくなった。
見られていたことも衝撃だが、この位なら問題なさそうだ。
「そこまで見てたのか。暇だなぁ」
東城大のナースが、というより、いいトシした成人女性のやることか、という呆れた気分である。
だが、佐藤の意見はまた違うらしい。速水の方を見て一言、
「痴話ですね」
と言った。
「彼女さんってどんな人ですか?」
「え――? そうね、ちっちゃくて可愛いカンジ? ユニカジ系の、シンプルってゆーか、あんまり派手めじゃなかったよ」
「へええ~~~っ」
看護師の目撃談に感嘆の声が上がると、視線が一斉に速水の方に向いた。
一同の視線はきらきらと期待に輝いている。
完全否定しようかとも思った。正式に交際しているわけではない……一線は越えているが。
だが、昨夜から今朝に続く浮かれ気分が速水の口を少し軽くしていた。
「すんげえ可愛い。これ以上は言わん、勿体ない」
「えええっ!!」
速水の堂々としたノロケに悲鳴じみた声が上がる。こういう時にテンションが上がるのは女性で、佐藤は珍奇なものを見た表情を隠そうともしなかった。
「さあ、仕事だ」
喉の奥で笑いながら、速水はその場を抜け出した。
帰宅した時は夜の十時を過ぎていた。それでも、今日のうちに帰れたのだから珍しい方だ。
玄関には鍵がかかっていた。この時間だし、一人なら当然だ。
呼び鈴を鳴らしたが、待っても誰も出てこない。
自分で持っていた鍵で玄関を開ける。中も真っ暗だった。
流石に速水も不審に思う。
まず一番近い玄関の明かりを付ける。狭い玄関を穏やかな電球が照らす。
靴が足りないことにすぐ気付いた。田口の、引き摺りながら履いていた男物の靴が無い。
靴を蹴飛ばすように脱いで、速水は家に上がった。大股で室内を横切り、全ての部屋を確かめる。
どの部屋にも田口はいなかった。
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COMMENT
ありがとうございます
こんにちは、モトコです。
サイトオープンおめでとうございますv
リンクも貼って下さってありがとうございます。
ちょっとバタバタしているのですが、落ち着いたら次回更新の時に、ウチからもリンクさせて下さいませ。連載の続き、凄く楽しみにしてます。
行灯センセ消えちゃって、将軍の行動が楽しみのような、ハラハラのような・・。
惚気の一言には、ガツンとやられちゃいましたv
サイトオープンおめでとうございますv
リンクも貼って下さってありがとうございます。
ちょっとバタバタしているのですが、落ち着いたら次回更新の時に、ウチからもリンクさせて下さいませ。連載の続き、凄く楽しみにしてます。
行灯センセ消えちゃって、将軍の行動が楽しみのような、ハラハラのような・・。
惚気の一言には、ガツンとやられちゃいましたv
Re:ありがとうございます
こんにちは&コメント有難う御座います。
無精で未熟者ですが、今後ともどうぞ宜しくデス。
連載はぁ~~……どうなるんだろ。路線図は出来上がってるので後はどうにかなる、とは思うんだけどな。
取り敢えず将軍は走る。その予定。
無精で未熟者ですが、今後ともどうぞ宜しくデス。
連載はぁ~~……どうなるんだろ。路線図は出来上がってるので後はどうにかなる、とは思うんだけどな。
取り敢えず将軍は走る。その予定。