パラレル注意報発令中
…………えーっと。
反応無いのがものっすごく怖いのですが。
でもいいや、霧島はこーゆうの好きなのです。やっちゃうぞ。
ところで最近初めて、かの有名なボカロ・ミクのCD聴きました。
これ、慣れるまでがきっつくない?
合成ボイスを耳が捕捉できなくて、最初の一曲目「恋は戦争」なんてメタボロでした。3曲聴いてやっと慣れた。
…………えーっと。
反応無いのがものっすごく怖いのですが。
でもいいや、霧島はこーゆうの好きなのです。やっちゃうぞ。
ところで最近初めて、かの有名なボカロ・ミクのCD聴きました。
これ、慣れるまでがきっつくない?
合成ボイスを耳が捕捉できなくて、最初の一曲目「恋は戦争」なんてメタボロでした。3曲聴いてやっと慣れた。
「お前、何やって…………」
速水は呆気に取られるしかなかった。
人が宙に浮いているだけでも驚きである。
それが知った顔で、しかし姿は全く違っている。
仮装というには田口の身体にしっかり馴染んでいた。
「今は、説明する暇無いと思うんだけど……」
田口が言うのも尤もだが、その姿を説明なしで済むと思っているのか。
下から睨みつけるように見上げていれば、田口は溜息を一つ吐いた。
空に浮かんだまま田口は、言葉を選ぶように口を開きかけては頭を振るということを繰り返していたが、ふと、弾かれたように顔を上げた。
虚空を睨みつけている。
「始まった…………っ」
喉の奥から絞るような低い声は、速水の知る田口とは全く違うトーンだった。
田口が見つめる先を目で追うと、細いものが立ち上っていくのが見える。
最初は火災現場の煙かと思った。しかし、色が違う。
石油が燃える時の黒煙ではなく、ぼんやりと光を放つ湯気。
淡い赤、仄かな青、幽かな緑、そういった光が、ゆらりと揺れながら空を上っていく。
「なん、だ、アレ…………?」
「ああ、俺がこうしているから、見えちゃうんだな」
速水の呟きに田口は独り言で応じて、小さく笑った。
「人の魂が天に昇っていくんだ」
田口の答えにぎょっとして速水は彼を見上げた。
それではあれは、今、桜宮から消えようとしている命か。
速水の疑問に答えないまま、田口はもう視線を虚空に投げている。
そして、田口は両手を広げた。
田口の白衣がまた風を孕んで大きく膨れ上がった。
「月帝太子の名を以て命ず。魂魄分かるを許さず、地に留め置く。
せんざい、せんざいや、ちとせのせんざいや。
まんざい、まんざいや、よろづよのまんざいや」
音叉の広がるような、不思議な響きを伴ってその声は語った。
田口が広げた両手を抱き込むと、天へ上っていこうとしていた色とりどりの光は空に留まり、ゆるゆると戻ってくる。
「行って、速水」
目に見えない何かを抱き抱えたまま、田口は速水に告げた。
「ここに着くまでに死ぬことがないよう、天に昇っていく魂を引き留めただけなんだ。怪我を直したワケじゃない。だから、速水」
「ああ。俺の仕事だ」
田口の言う通りだった。
ここに、速水の元に辿り着いてくれさえすれば、速水はいくらでも助けることができる。
近付いてくる救急車のサイレンだけが、残酷なほどの現実だ。
「ちゃんと説明してもらうからな、逃げるなよっ」
田口にそれだけ言い捨てて、速水は戦場へと戻っていった。
「説明するのは別に構わないんだけどなぁ……」
風に髪を弄られながら田口は一人呟いた。
信じられるかはまた別だ。
この姿を既に見せてしまったから、否応なく信じるだろうか。
いや、それ以前に。
「説明する時間をくれるのかな?」
「さあね。判決次第ってところじゃないの?」
新たな声がオレンジ新棟の屋上に降る。
天から現れた人物は、今の田口と同じように、冬の月のように白い髪と春の月のように黄色い瞳をしている。額にある赤い痣も同じだ。
同じ目の高さで宙に浮かぶ相手の顔を見て、田口はにこりと笑った。
「やあ。君が来たのか、ナルミ」
「来たくて来たわけじゃない」
田口の言葉に、ナルミは秀麗な顔を歪めて嘯いた。
速水は呆気に取られるしかなかった。
人が宙に浮いているだけでも驚きである。
それが知った顔で、しかし姿は全く違っている。
仮装というには田口の身体にしっかり馴染んでいた。
「今は、説明する暇無いと思うんだけど……」
田口が言うのも尤もだが、その姿を説明なしで済むと思っているのか。
下から睨みつけるように見上げていれば、田口は溜息を一つ吐いた。
空に浮かんだまま田口は、言葉を選ぶように口を開きかけては頭を振るということを繰り返していたが、ふと、弾かれたように顔を上げた。
虚空を睨みつけている。
「始まった…………っ」
喉の奥から絞るような低い声は、速水の知る田口とは全く違うトーンだった。
田口が見つめる先を目で追うと、細いものが立ち上っていくのが見える。
最初は火災現場の煙かと思った。しかし、色が違う。
石油が燃える時の黒煙ではなく、ぼんやりと光を放つ湯気。
淡い赤、仄かな青、幽かな緑、そういった光が、ゆらりと揺れながら空を上っていく。
「なん、だ、アレ…………?」
「ああ、俺がこうしているから、見えちゃうんだな」
速水の呟きに田口は独り言で応じて、小さく笑った。
「人の魂が天に昇っていくんだ」
田口の答えにぎょっとして速水は彼を見上げた。
それではあれは、今、桜宮から消えようとしている命か。
速水の疑問に答えないまま、田口はもう視線を虚空に投げている。
そして、田口は両手を広げた。
田口の白衣がまた風を孕んで大きく膨れ上がった。
「月帝太子の名を以て命ず。魂魄分かるを許さず、地に留め置く。
せんざい、せんざいや、ちとせのせんざいや。
まんざい、まんざいや、よろづよのまんざいや」
音叉の広がるような、不思議な響きを伴ってその声は語った。
田口が広げた両手を抱き込むと、天へ上っていこうとしていた色とりどりの光は空に留まり、ゆるゆると戻ってくる。
「行って、速水」
目に見えない何かを抱き抱えたまま、田口は速水に告げた。
「ここに着くまでに死ぬことがないよう、天に昇っていく魂を引き留めただけなんだ。怪我を直したワケじゃない。だから、速水」
「ああ。俺の仕事だ」
田口の言う通りだった。
ここに、速水の元に辿り着いてくれさえすれば、速水はいくらでも助けることができる。
近付いてくる救急車のサイレンだけが、残酷なほどの現実だ。
「ちゃんと説明してもらうからな、逃げるなよっ」
田口にそれだけ言い捨てて、速水は戦場へと戻っていった。
「説明するのは別に構わないんだけどなぁ……」
風に髪を弄られながら田口は一人呟いた。
信じられるかはまた別だ。
この姿を既に見せてしまったから、否応なく信じるだろうか。
いや、それ以前に。
「説明する時間をくれるのかな?」
「さあね。判決次第ってところじゃないの?」
新たな声がオレンジ新棟の屋上に降る。
天から現れた人物は、今の田口と同じように、冬の月のように白い髪と春の月のように黄色い瞳をしている。額にある赤い痣も同じだ。
同じ目の高さで宙に浮かぶ相手の顔を見て、田口はにこりと笑った。
「やあ。君が来たのか、ナルミ」
「来たくて来たわけじゃない」
田口の言葉に、ナルミは秀麗な顔を歪めて嘯いた。
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