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こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
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4444番ヒットの蒼さまからのリクエストです。
おめでとう御座います&報告とリクエスト、有難う御座います。

リクは「将軍×行灯女の子設定で、無自覚でラブラブな二人とそんな二人に振り回されてる周り」です。
以前に書いた「有り得ない二人」の設定を使い回して活用しております。厳密に続きものではないので、これだけでも十分です。
女の子設定苦手の方は、御遠慮下さいませ。
ラブラブっつーか、イチャイチャです。


そしてお詫びを一つ。
実は、4000番ヒットのみなぎ様からのリクエストを先に承っているのですけれど、悪戦苦闘中でして……。
みなぎ様、スミマせん! もうちょっと時間下さいっ!

柔道部と剣道部で、揃って飲みにいくことになった。
道場も隣同士、この二つの部の交流は割と頻繁だ。
何せ、合同で後輩にメロンやスイカをぶつけ合う仲である。

「速水がいない?」
「島津先輩、知りませんか?」

校門前にほぼメンバーは揃っているのに、一番目立つ男がいなかった。
剣道部の河井が島津に尋ねる。島津は少し考え込んだ。

「行灯のトコじゃねえか?」
「行灯、て」
「田口んトコ」

島津の言葉に剣道部の面々も柔道部の面々も目を丸くした。
河井が代表して島津に尋ねる。

「田口って、田口先輩ですよね? 東城大のワイドスペクトルコンビ、一撃必殺スマイルの」
「何だ、そりゃ」
「受験に来た高校生が『頑張ってね』のセリフで一目惚れしたとか」
「夏のオープンキャンパスで、案内図配布した時の『はいどうぞ』で告られたとか」
「「「で、ぜーんぶ速水先輩が邪魔したとか」」」

剣道部柔道部から寄せられる証言に、島津は溜息を吐いた。
知っていたことではあるが、東城大ワイドスペクトルコンビの噂は果てしなく広がっているようだ。
正しくは、速水が邪魔をしたのではなく、速水の存在を知った先方が勝手に諦めたのであるが。

「とにかく! 速水を連れてくるから、お前ら先行ってろ」

話を強引に元に戻し、島津はそう宣言した。




「あれ? どしたの、島津。お供がいっぱいだな」

呼び鈴で顔を出した田口は、島津の背後に鈴なりになっている面々を面白そうに見遣って笑った。
こうして笑っている田口は可愛らしいという形容がぴったりで、ウッカリ惚れた高校生がいても不思議はなかった。
だが、島津の現状としては苦虫を噛み潰すしかない。
田口の家へ行くと知った面々がこぞって付いてきたがったのだ。どいつもこいつも野次馬根性が旺盛である。

「気にすんな。速水いるか?」
「いるよ。寝てるけど」

実にあっさりと田口は頷いた。
田口の言葉に島津は溜息を吐いた。何度目だ。
フツー、女友達の家に上がり込んで、のうのうと昼寝するだろうか。

「取り敢えず入って……入りきるか、解らないけど」
「邪魔するぞ」

付いてきた人数の多さに苦笑を浮かべながら、田口は玄関を大きく開けた。
島津がのっそりと進むと、居間のラグに寝転がっている速水の姿をすぐに見つけた。
田口が速水の肩を揺する。

「速水ぃ。みんな来たぞー。お前、約束あったんじゃないの?」
「ん――――…………」
「ったく」

速水は寝惚けた声で田口の手を払った。
田口は一つ呆れた顔をすると、徐にスリッパを片方脱いだ。
島津の顔を見て、にっ、と一つ笑う。
田口がやろうとしていることを察して、島津もにやりと笑った。
期待の視線が集まる中、田口がスリッパを振りかざし、振り下ろした。

「おっと」
「うわっ!」

ぱっと目を覚ました速水が田口の手首を捕まえ、そのまま田口を引き倒した。空かさず田口の上に圧し掛かって四肢を封じてしまう。

「ね、寝たフリなんて卑怯だぞっ!」
「そう何度も殴られてたまるか。しかもお前それ、こないだゴキブリ潰したヤツだろう」
「ちゃんと雑巾で拭いたもん」

組み敷かれた女と、圧し掛かった男。
見てはいけないものを見ているようで、来客一同はそわそわと落ち着かない気分になる。
だが、それに全く気付く様子もなく、田口と速水はいかがわしい体勢のまま普通の会話を続けている。

「こら放せっ! 重いっ」
「おっと、金的はなしな。今までの仕返しだ。どうしてくれようかなあ」

田口が股間を狙ってバタつかせた足を、速水は上手くひっかけて完全に田口を押さえ込んだ。
どうしてくれようかなぁって、どうするつもりだおいおいおいっ?!
一同は心の中で揃って悲鳴を上げている。
ふと、田口が表情を消した。

「明日の夜さあ」
「ん?」
「久々にハンバーグ作ろうかなぁと思って」

速水の背中がピクっと動いた。
田口は無表情で、淡々とした口調を作る。

「折角だからお前にも声かけようかなぁとか思ってたんだけど……」

勝利を確信したのか、田口の唇が笑みを浮かべた。
紡ぎ出す声が奇妙な節をつけて弾んでいる。

「やーめよっかなぁ~~?」
「悪かった」

ぱっと速水は田口の手首を解放した。
座ったままずるずると後ろに下がって、田口の足も自由にする。
速水の下から抜け出した田口は、床に手を突いて身体を起こすとわざとらしいほど長い溜息を吐いた。

「お前ホント食べ物に弱いのな。他人事ながら情けないぞ」
「るっせえ。なあ行灯、チーズ載せろよ、チーズ」
「却下。明日は和風おろしハンバーグって決まってんのっ」
「和風ねえ……じゃあ冷だな。ホン酒あんの?」
「上善があるよ」
「よしっ。明日、絶対だぞ」
「はいはい」

速水は笑い、子供っぽい口調で田口に念を押した。
田口の方は呆れた顔で苦笑を浮かべる。子供の速水に対して、こちらはお母さんな口調だ。

「…………明日のメニューが決まったところで、いいか?」

ようやっと島津に口を挟むチャンスが回ってきた。
憮然とした表情の島津を見上げて二人、

「あ、いたのか、島津」
「あ、そういやいたね、島津」

島津の存在に全く気付いてなかった速水と、島津の存在をすっかり忘れていた田口。
失礼な二人に、島津は溜息を吐いた。この一年分の幸せはかっ飛んだかもしれない。



「飲み会? ほどほどにね」

玄関からぞろぞろと出ていく面々を見送って、田口は笑って言った。
一同の間に、ほわん、とした空気が漂う。癒しのオーラというやつだ。

「明日な」
「ん」

速水と田口の挨拶はあっさりしたものだった。
だがその簡単さに、親密過ぎるほどの親密さが潜んでいる……ように思うのは、島津の気の回し過ぎだろうか。

「島津先輩…………」
「何だよ」

島津のすぐ前を歩いていた河井が、最後尾の速水を伺いつつ囁いた。
何となく言いたいことが解ってしまって、島津の声は自然と不機嫌なものになる。

「あの二人見てると、すっげえ胸焼けしません?」
「俺は毎度だ」

胸のあたりを手で押さえて、うんざりした顔と声で河井は言う。
島津もまた同じようなうんざり顔で言うと、河井は酷く同情的な視線を島津に向けるのだった。
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あぁ、もう大好きです!!
こんばんは。
武器を手に笑う田口さんに惚れました。きっとイイ顔をしてらっしゃるんだろうなぁ^^ そして食べ物に釣られる将軍サマ。可愛い……。
胸キュンとニヤニヤが止まりません!!
存在を忘れられた島津とか可哀そうすぎて大好きです。この三人を近くで観察していたい……

田口の家の場所を知っ(てしまっ)た部員たちは後で速水にくぎをさされそうですね♪ 妄想するだけで楽しいです←

素敵な小説、ありがとうございました!!
人がいるところでニヤニヤ思い出さないように気をつけます★
2009/05/20(Wed)00:41:23 編集
Re:あぁ、もう大好きです!!
コメント有難う御座います。こんなんで宜しかったでしょうか?

>武器を手に笑う行灯と食べ物に釣られる将軍
ウチの彼女は結構乱暴者かもしれない。ゴキブリにもめげませんぜ。
将軍は……ご飯をたかってるつもりが、しつけられてるっぽいね。
それでも結構好みは五月蠅いので、「イヤなら食うなっ!」「あ、バカ返せっ」ってなことを散々やると思われます……これも胸焼けしそうな光景か?

田口の家を知られてねえ……多分、部員どもは速水が何言っても聞かないよ? そんでちょくちょく押しかけてきて、まったりしてる速水の邪魔をするんだよ? あんまり邪魔されるモンだから逆ギレして、

「行灯、お前引っ越せ!」
「逆だろ、バカっ!」

とか言うとか言わないとか。入り浸らなきゃいいだけの話なのに。
あ、何か楽しくなってきたな。妄想ってホント楽しいわ。
胸焼けじゃなくて、胸キュンを少しでも提供できてよかったです。
また遊びにいらして下さいませ。
S.Kirishima 2009/05/20 20:38
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