冗談はお好きですか。

ネタばれってほどじゃないけど、青本です。
青本をネタにするのが一番多いような気がします。
4章の終り、将軍と行灯先生による、酔いどれ歌姫談義シーンです。
あ、霧島単行本ベースなんですけど、文庫でセリフが変わってたりしたらどうしよう？

まーさーに一発芸。笑ってスルーしてもいいレベルです。
冗談がお好きな人は続きをどうぞです。

「行灯クンは部屋に籠って、一体何をしているのかな？」

速水はニヤニヤ笑いながら軽口を叩いた。
二人の会話に聞き耳を立てていた看護師たちが漣のように笑う。
自分が注目されることを自覚している速水にとっては、珍しくもない光景だった。
しかし、田口の返しは速水の予想を超えた。

「そんなの…………お前が一番よく知ってるだろ…………っ」

右手で自分の身体を抱き、左手で口元を隠す。
赤い顔で横を向き、恥ずかしげに捨てられたセリフがそう来る。
速水が反応するより早く、周囲の看護師たちが今度はあからさまに悲鳴を上げた。
とんでもない方向に転がりつつある事態に、速水は呆然とする以外になかった。
ただ、左手に隠した田口の口元が不敵に吊り上っているのだけは、見るまでもなく察せられた。



当日午後の不定愁訴外来にて。

「田口先生って冗談に身体を張るクチなんですねぇ」
「アイツに一泡噴かせるのが、私のささやかな楽しみなんです」

藤原看護師の呆れたような声に、田口はのんびり笑ってみせた。