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こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
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52000hit、瑛莉さまのリクエストです。
瑛莉さま、リクエスト有り難う御座います。
遅れまして申し訳ありませんでした。


リクエストはラヴィアンローズシリーズでってことでした。
遅れた上に、更にゴメンなさい要素が一つ。
七夕ネタをやります。もう過ぎてるよっ!
やろうと思ったのが当日じゃ、形にならんかったのですよ、ええ。
まあよい、やってしまえ。
ということでやります。


備忘録:キリリク溜め込み状況
50000:零那さま
50001:黄月さま
51111:こなつ様
53333:miyakoさま
54000:ゆぽん様

多分コレで抜けはない筈……。
「私の名前無いよ――っ!」って方がおりましたら、ご連絡下さい。


最近、「DRRR!!」が気になって仕方ない。
どこかで原作小説を安くセットで売ってないかなぁ……。

「「さーさーのーはーさーらさら~~♪ のーきーばーにーゆーれーる~~♪」」

双子の娘たち、晃子と公子が声を揃えて歌っている。
東城大学教育学部附属幼稚園は、七月に入ってから七夕一色らしい。
二人が歌う歌もずっと「たなばたさま」だった。
歌を歌いながら、ふと公子が首を傾げる。

「ねえ、マぁマ」
「ん?」
「すなごってなあに?」
「え、っと」

咄嗟に娘の言葉が変換出来なくて、田口は返答に詰まった。
七夕の歌を自分の頭の中でなぞってみて、やっと該当箇所に行き当たる。

「ああ、砂子。お砂のことだよ」
「ふぅん」
「じゃあごしきは?」
「いろんな色って意味」
「ふぅん」

次に尋ねてきたのは晃子だ。
今度は心構えが出来ていた田口は、すらすらと答えが出た。
正確には「ごしき」は五色、青・黄・赤・白・黒だが、子供にそこまで教えなくてもいいだろう。
それぞれに納得した娘たちは、再び熱心に手を動かす。
娘たちの手元にあるのは、それこそ五色の短冊だった。
幼稚園で七夕飾りを作ってきたのに、更に家にも飾りたいと言い出したのである。
それを知った速水が、何処からか笹を手に入れてきた。
そうして今、晃子と公子は夢中になって短冊を作っているのである。
一生懸命に願い事を書いている二人を上から覗きこんで、田口は思わず笑ってしまった。

「おーい、きみ。こんなにいっぱい大変じゃないか?」
「なるもんっ!」
「そっか。じゃあいっぱい頑張らないとな」
「うんっ」

公子が書いている短冊は、将来なりたい職業シリーズだ。
お医者さん、ケーキ屋さん、パン屋さん、お花屋さん、バスガイドさん、などなど。
凡そ女のコが憧れる職業を網羅している。
しかし実際問題、併願できるのは「お嫁さん」ぐらいだろう。
幼稚園では短冊は一人一枚きりだったらしく、その鬱憤を晴らしているかのようだった。
からかった田口に、公子は元気よく主張する。
夢に向かって邁進するのはよいことだ、と田口は笑って頷いた。
逆に晃子の方はというと、だ。

「あき、これ…………」

田口は苦笑すら出来なかった。
田口がお小言を言おうとしたのを察したのか、逆に晃子はきっ、と鋭い目を田口に向けてくる。
幼児ながら、その負けん気の強さに恐れ入るところだ。
だが、これは。

「七夕さまに書くお願いとは、違う気がするぞ……?」

晃子が力強く書いた短冊には、「ばかりょうをやっつける」とあった。
ばかりょう、はつまり"バカ涼"。
幼稚園で晃子が何度となくケンカをしている、同じクラスの男の子である。
七夕に飾るに相応しい願い事とは思えない。
ついでに言うと、既に決意表明文になっていて、お願い事ですらない。

「や――っ! 飾るの――っ!」

田口を睨んだのもほんの一瞬で、晃子はすぐに涙目になった。
田口の口元に今度は苦笑が浮かぶ。
晃子の髪を荒っぽい手つきで掻き混ぜると、もう一枚短冊を差し出した。

「飾らないなんて言ってないだろ。ちゃんと飾ってあげるから。ほら、他にも願い事書いたらどうだ?」
「うんっ」

晃子は大きく頷いて、決意表明短冊とトレードに未記入の短冊を手にした。
次に書いたのはなりたい職業シリーズだったので、実は少し安心した田口だった。



帰宅した速水は、短冊ばかりがぶら下がった笹を見て目を細めた。
子供たちが喜んだのが目に見えて解る、それが父親にとっても嬉しいことらしい。
短冊を何枚か捲ってみて、そこに書かれた憧れの職業にしきりと頷いている。

「ほら」

そんな速水に、田口は残しておいた短冊を一枚差し出した。
速水は首を傾げた。

「俺も書くのか?」
「ああ。晃子と公子の、是非にというお達しだ」
「そりゃ逆らえないな。お前も書いた?」
「ああ」

既に晃子と公子は寝てしまっている。
二人の娘たちから、「絶対の絶対ね!」と田口は仰せつかったのだ。
田口の物言いに速水も苦笑を浮かべた。
速水が田口の短冊を探す素振りをしたので、先に自分が書いた短冊を捲ってみせた。
月並みだが、「家族みんなが仲良く元気に暮らせますように」だ。

「芸がないぞ、行灯」
「こういう時に奇抜さは要らないんだよ」

速水がからかう言葉に、田口は澄ました顔で返した。
速水が喉の奥でクスクスと笑う。
つられて田口も小さく笑い出してしまった。






速水にしては珍しくノックをしたな、と思ったら、両手がふさがっているから扉を開けてくれという意味だったらしい。
開けなきゃよかったと田口は早々に後悔した。

「デカい、邪魔、鬱陶しい」

速水が不定愁訴外来に持ち込んだのは笹だった。
うっかりすると竹レベルだ。
あからさまに邪険にしてやったのに、速水は一向に堪える様子もなかった。

「ほんっと、微笑ましいってああいうことだよなぁ」

一人で夢の話をしては悦に入っている。
お願い事でいっぱいの笹飾りが可愛くてやりたくなった、らしい。
喋る間も、器用に網飾りや星飾りを作っている。
それならこんな病院の僻地ではなく、小児科のあるオレンジ新棟でやればよかろうに。

「さーさーのーはーさーらさら~~♪ のーきーばーにーゆーれーる~~♪」

速水が童謡を歌っても、ちっとも可愛くない。
胡乱な眼で速水を見ながら、田口はコーヒーを啜った。
当然のことだが、何一つ手伝おうという気は起きなかった。
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