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こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
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パラレル警報発令中


ずるずる長くなる病気を何とかしたい今日この頃。
薄々無理だとは思ってたんですがね。
パラレルって、状況説明の為に行数費やすことになるに決まってるのに。
しかし、前後編で納まらないとは思わんかったよ……!
リクエスト下さったとむ様、こんなのでゴメンなさい。
管理人は楽しく書かせていただきました。
有り難う御座います。
……って、お前一人で楽しんでどーするって言われそうだなぁ。


私信:ゆぽん様
54000hitおめでとうございます。
リクエスト了解しましたが、出来上がり品質は保証しかねます。
……っていつものことでしょうか?

残業せずに退社した男は、慣れた足取りでビジネスホテルに入っていった。
男の後を付けて部屋番号を確かめ、監視カメラをこっそり設置する。

「よぉ、どうだ?」
「ばっちり」
「よし、一度戻るぜ」

カメラを取りつけた速水は、路地裏に止めている車に戻ってきた。
車内では、島津がモニタの映り具合を確かめている。
速水も横からモニタを覗き込み、自分の仕事の出来栄えに満足して一つ頷いた。
あとはそのまま待機だ。張り込みには辛抱強さが肝要である。
時々、パンやらおにぎりやらを咀嚼する音がするだけだ。

「あんま水分取り過ぎるなよ」
「わーってるっての」

島津の小言に、つまらなそうな声で速水が返した時だった。
ホテルの入口に、若い女子が現れる。
ビジネスホテルにはそぐわない、少々派手な格好の女性だ。

「お、来たか?」
「どら」

ホテルの入口を双眼鏡で速水が監視。
部屋の前に仕掛けた監視カメラを島津が注視する。
女性がホテルの入口から消え、少しの空白の後、部屋の前に現れる。
部屋に入っていくのを確認して、島津は時刻を記録した。
さて、ここからがまた我慢のしどころだ。

「浮気調査の張り込みの何がイヤって、この時間だよなぁ」
「…………同感」

つまり、部屋の中でめくるめく官能シーンが繰り広げられているであろう時間を、待つ時間。
呆れ半分の声で速水は呟き、渋い表情で島津が返した。
何となくホテルの入口を見張っていた速水が、ふと眉を顰めた。

「何だ、ありゃ?」
「あん? …………ヤのつく職業のにいさんか?」

4、5人の男がホテルの入口付近にたむろし始めた。
格好はバラバラだが、どれも若くガッシリした身体をしていた。
穏やかならざる雰囲気は、遠く双眼鏡越しにも伝わってくる。

「何か起こりそうじゃねえの?」
「喜ぶなよ、お前は…………」

わくわくを隠そうとしない速水に、島津はガックリと肩を落とした。



事態が動いたのは、調査対象の男がホテルから出てきた時だった。
集まっていた者たちがたちまちに男を取り囲む。
男と一緒に出てきた浮気相手らしい女は、身を翻して取り囲む側についた。

「美人局かい…………」

島津は思わず呟いた。
女も堅気ではなかったらしい。そう、思いっきり。
ヤクザの関係者の女に手を出したと難癖を付け、金を捲き上げようという話なのだろう。

「ありがちだな」

双眼鏡を放り出した速水も、呆れたように言う。
しかし、速水の表情はこの上なく楽しそうだった。
速水の期待通りに、トラブルの予感だ。
探偵ごっこがしたくて探偵社に入ったという速水である。
速水は何よりも、大立ち回りがやりたくて仕方ないのだ。

「どうするよ?」
「二、三発テキトーに殴られたところで、蹴散らしてこいよ」

速水に問われ、島津は大雑把な指示を出した。
無傷ではなく殴られるのを待ってから助けに行くのは、これで多少懲りるだろうという計算の上である。
依頼主たる妻にとっても、浮気が止むのがベストの筈だ。

「了解、ボス」

楽しげに芝居がかって速水は言うと、音をさせないように車のドアを開けて出ていった。




『了解、ボス』

集音マイクも受信機も感度は良好だ。
聞こえてきたセリフに、彦根は思わず口元に笑みを浮かべた。
アクションの予感にはしゃぐ速水は実に子供じみている。
二つ年下の彦根がそう思うのだから、同い年の田口などは尚更だ。
サイフォンから念入りに淹れたコーヒーを啜り、田口は呟いた。

「永遠のガキ大将ってヤツかなぁ」
「それ、却ってサムいですって」

どこかで聞いたキャッチコピーに、彦根は苦笑を浮かべた。
スピーカーの向こうから、速水の元気のいい声と、人を殴り飛ばす音が聞こえていた。



「浮気調査が2件、ペット探しが4件……今月も優秀ですね、『すずめ探偵社』は」
「お誉めに預かりまして」

月一での、本社報告である。
島津が社長であるのは、他の三人が本社報告を面倒臭がった、というのが最大の理由だった。
高階本社長の誉め言葉に、慇懃無礼にならない丁重さで島津は一礼した。
しかし、高階は口元にひねこびた笑みを浮かべる。

「警察のお世話になったんですって?」
「それはっ」

先日の、美人局の一件だ。
桜宮に縄張りを持つ結城組の仕業だったらしく、報復行為を警戒して警察に相談に行くハメになった。
田口と「そこそこ顔見知り」の警察関係者が桜宮署にいるので、警察との話し合いは田口に一切任せている。
しかし、探偵社が警察に頼るなど、少々情けない。
速水などは未だにブツブツ愚痴を零している。
島津も、高階本社長に知られたくはなかったのだが、既に手遅れらしい。

「次は桜宮署をぎゃふんと言わせること、いいですね?」
「…………了解、ボス」

一体誰が「ぎゃふん」と言えば気が済むのだろう。
署長とか、課長とかだろうか。
高階の発想に呆れながら、島津は返事をするしかなかった。
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ありがとうございました!
霧島さま
リクエストに応えていただいてありがとうございました。
色々悩んだ末、やっぱりお任せして正解でした。
前後編になるということで、我慢して一気に読ませていただきました。
これからもイソイソと通わせていただきます。
とむ 2010/07/09(Fri)22:17:25 編集
Re:ありがとうございました!
こちらこそ、もうほんっとにお待たせしましたですよっ!
平伏して謝るしかねえな、こりゃ。

>前後編一気読み
……え? そうなんですか?
結構いらっしゃるらしいですねえ、完結するまで読まない派の方。
時間かかったことを尚更お詫びせねばなりませんね。ゴメンなさい。
その上、好き放題やり放題でした。
ホントにお任せでよかったんでしょうか? 今でも疑問なんですが。

そんなへっぽこ管理人に呆れず、今後ともどうぞ宜しくお願い致します。
またどうぞです~。
S.Kirishima 2010/07/10 20:39
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