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こちらは、愚痴外来シリーズの妄想文を展開するブログです。 行灯先生最愛、将軍独り勝ち傾向です。 どうぞお立ち寄り下さいませ。
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37777ヒットのうきら様からリクエストです。
うきら様、ヒットおめでとう&リクエスト有り難う御座います。


さてリク内容は「『スウィートライフシリーズ』の続き」ということでした。他、詳細リクもあるのですが、話の中身がバレるのでちょっと伏せてみる。
実はこれ書くと、スウィートライフシリーズ6本目になります。
じ、地味に増えてます……。主にリクエストで。
二人シリーズみたいに、別カテゴリ作った方が読みやすいかな……。サイト再録版では別立てになってますけどね。
それで言ったら、ラヴィアンローズも別立てかもしれない。


時間軸を迷った挙句にこんな話になりました。
ゴメンなさい、何か間違った……ぎゃうっ。

遠距離恋愛中の速水にとって、電話は貴重な恋愛ツールだった。
勤務中も寸暇を惜しんで電話をかけた。
田口も仕事中なのだが、当然と言うか暇な方が多いらしく、大概は相手をしてくれていた。
メールでは足りないのだ。声が聞きたい。
会いたさが尚更募り、一人寝の夜に枕に涙することになっても、せめて声が聞きたかった。
その貴っ重なトークタイムに、邪魔が入った。



『悪い、そろそろ切るな』
「何だよ、お前の昼休憩ってもうちっとあるだろ?」
『客が来るんだよ』

短めで切り上げられそうになった電話に不平を洩らすと、電話の向こうで田口が苦笑したらしかった。
そのまま小さな笑いが漏れる。

「田口?」
『客って言うのも可笑しいかな、お前も知ってる奴だよ』
「島津?」
『今更アイツを客人扱いするか。彦根だ』

何が可笑しいのかを問いかけた速水に、田口は笑いの混ざった声で言った。
電話の向こうに見えない筈だが、速水も一つ頷いた。
随分と没交渉になっていた彦根と、厚労省の会議絡みでつい先日会った、というようなことは、田口から話に聞いていた。
全く初対面の客ではなく、だからと言って友人というには少し距離が空いてしまっている。
その微妙さを田口は笑っているのだろう。
速水自身は、彦根とはもう数年来話もしていなかった。

「そうか。俺からもよろし、」
『お邪魔しまーすっ』

よろしく言っておいてくれ、という言葉は闖入者によって掻き消された。
数年ぶりに聞いた声を、意外と脳はよく覚えているものだった。

「『彦根っ』」

受話器の向こうとこちらで、田口と速水の声が重なる。

『早めに着いたんで、来ちゃいましたっ!』
『まだ二十分もあるのに……』
『ああ、電話中でしたか、スミマせん』
『いや、仕事関係じゃないから……』
『あ、速水先輩?』

受話器の口を押さえるのを忘れているのだろう、田口と彦根の遣り取りが筒抜けだった。
突然出てきた自分の名前に、速水は一瞬息を呑む。
しかし、速水よりも電話の向こうの田口の方が動揺が大きかった。

『えええぇぇっ?! 何で速水っ?!』
『だって田口先輩が仕事以外で電話する程仲のいい人って、島津先輩か速水先輩しかいないでしょ。速水せんぱ~~い?』

電話の向こうから、しれっとした彦根の声がする。
学生時代の頃の厚かましい表情をしていることだろう。
間遠な電話から、速水を呼ぶ声がした。

「…………何だよ?」
『お久しぶりです。今度カニ送って下さいね』
『わぁっ! ちょっとお前、手ぇ離せっ!』

速水の返事が聞こえたのかどうか、怪しいものだった。
速水の方にも、田口の焦り声ばかりが聞こえてくる。
携帯電話の奪い合いになっているのかもしれない。
そう考えて、速水は眉間に皺を寄せた。
想像図の二人はかなり接近している。

「おいこら、彦根」
『何でしょう?』

幾ら速水がドスの利いた声を出しても、彦根の声音は軽いままだ。
苦々しく思いながらも、速水は怖い口調に努めて言った。

「田口は俺んだからな、手ぇ出すなよ」
『何言ってんだ、速水っ!』

速水の一言は、ターゲットの彦根よりも聞き耳を立てていた田口に利いたらしい。
盛大な声が上がる。
おそらく電話の向こうで、田口は思いっきり照れているだろう。

『あははっ! いーじゃないですか、先輩』
『っさい! もう切るからなっ!!』

盛大な彦根の笑い声を一刀両断するように、電話が切れる。
火花が飛びそうな勢いに、速水は携帯を耳から少し遠ざけた。
静けさが戻っても、速水のテンションは下がってこなかった。

「彦根の野郎……次会ったら絶対蹴りくれてやる」

速水の物騒な呟きを耳にした可哀想な女性看護師が、廊下の隅っこで震えていたとか、いないとか。
勿論、当の速水はそんなことにはまったく気付かないままだった。
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無題
霧島さんこんにちは。早速書いてくださったんですね、ありがとうございます。あ、このとき速水先生は単身赴任中なんですね。寂しくて寂しくてたまらないのに、彦根は嬉しそうに遊びに来ているんですね。とりあえず速水先生は即効でシフト調整して、桜宮に帰ってきて、田口先生とイチャイチャするといいと思います!
うきら 2010/03/12(Fri)11:21:20 編集
Re:無題
いらっしゃいませ。改めまして、リクエスト有り難う御座います。
で、こんな残念な出来で申し訳ないですぅ……。

>このとき将軍、単身赴任中
リクエストはゲリラかトンビでしたでしょ? トンビじゃ行灯先生も相手にしないし将軍も歯牙にもかけないかと思ってゲリラにしたら、さてどの時点のゲリラにするかを迷って。
で、緑本後のゲリラに合わせたら、将軍が単身赴任するハメになったのです。
将軍余裕無いなぁ。

この肩透かしにめげず、また遊びにいらして下さいませ。
S.Kirishima 2010/03/12 20:29
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