将軍イジメ週間、止めの一撃はタイトルの御方にご登場いただきましょう。
学生時代設定ですので若干「報復三部作」と雰囲気違いますが、まあやることは一緒さ。
ご来場の方に割と人気のあるゲリラな彼ですが、ウチの設定だと愉快犯ってトコでしょうか。とにかく、行灯に絡み将軍(学生時代だから猛虎か?)を突くことに楽しみを見出しております。
そこが魔人と違うんだよな……魔人は将軍に同情的です。少なくとも、ウチの場合はね。
そんなすずめ四天王を書いてみよう。うん。
……ということで続きをどうぞ。
学生時代設定ですので若干「報復三部作」と雰囲気違いますが、まあやることは一緒さ。
ご来場の方に割と人気のあるゲリラな彼ですが、ウチの設定だと愉快犯ってトコでしょうか。とにかく、行灯に絡み将軍(学生時代だから猛虎か?)を突くことに楽しみを見出しております。
そこが魔人と違うんだよな……魔人は将軍に同情的です。少なくとも、ウチの場合はね。
そんなすずめ四天王を書いてみよう。うん。
……ということで続きをどうぞ。
こんばんは。
東城大学医学部1年所属、彦根新吾です。
僕は今、東城大正門前の雀荘「すずめ」の定位置にいる。
僕の隣りに座っているのは二つ上の田口先輩。僕のお気に入りだ。
とりあえず文庫本を開いてますが、読んでるんだか読んでないんだか、そのぼんやりした顔からはちっとも解らない。
田口先輩の隣り、ちょうど僕の正面に座っているのがやはり二つ上の速水先輩。こちらも僕のお気に入り。
「ども」
「ん」
僕の挨拶に、田口先輩はちらっと目線を上げただけで、一言頷くとすぐ文庫本に視線を戻した。
ふぅん、今は割と真面目に読書中かな。
話しかけてきたのは速水先輩の方だった。
「何だ、また来たのか」
「何だってこたないでしょ」
「すっかりサボリ癖が付いたなぁ」
速水先輩には言われたくないな。
僕より更に二年、サボリ癖にも年季が入ってるでしょうに。
僕が言い返すより早く、田口先輩が笑って言った。
「彦根もお前には言われたくないだろうよ。なあ?」
「ですね」
ちょっとだけ首を傾げ、僕に同意を求めるように田口先輩は言う。
まあ、そのセリフには半分だけ同意しよう。
速水先輩と同じく、サボリ魔と名高い田口先輩が言っても意味ないなぁと思いながら、僕は頷いた。
ここ。田口先輩と仲良さそうに見せるのがポイントなのだ。
実際悪いワケじゃないけど、つまり雰囲気の問題。共犯者というか、解り合ってる同士っぽい空気が醸し出せれば成功だ。
案の定、
「お前にも言えるセリフじゃないだろ? そっちだってサボリ魔だろうが」
口先はいつも通りのやり取りをしている速水先輩だけど、眉間に皺が寄っている。一瞬、こっちを睨まれたし。
…………解り易いんだよなぁ。
僕は田口先輩がお気に入りだけど、速水先輩も田口先輩がお気に入りらしい。
問題は、僕の場合、田口先輩の友達に目くじら立てたりしないけど、速水先輩はそうじゃないってトコだ。そりゃあもう、一瞬浮かぶ極悪人面に何人が震え上がったか。それでも友達やれてるのは島津先輩ぐらいじゃないだろうか。
「だよなぁ」
速水先輩の言葉に、鷹揚に返す田口先輩は偉い。
てゆーか、速水先輩の表情にちっとも気付いてない。
毎度毎度がこうだから、僕は速水先輩も込みで田口先輩が気に入っているのだ。
実に面白い二人である。
島津先輩は5コマまで授業を取っていることがある。サボリ魔の二人は、そもそもがそんなにキツい時間割を組まない。組んでいても出ない。
で、当然ながら島津先輩を三人で待つ展開になるワケだ。
楽しく麻雀するコツは馴れた面子で打つことだと思う。懐具合も大体解っているから、笑って済ませられる範囲を超えることがない。誰か一人適当に誘って、ということを僕らがやらないのはそういう理由だ。
待っている間の暇つぶしに、僕はウオークマンを引っ張り出した。
ここしばらく同じカセットテープが入れっ放しになっている。
ボリュームを絞り、周囲の音が聞こえるレベルで再生した。
「お前、何聴いてんの?」
読むものも聴くものもない速水先輩は、つまり暇らしい。
僕がウォークマンを引っ張り出したのを見て訊いてきた。
「明菜です」
「…………お前そういう趣味だったっけ」
「いいでしょ、別に」
僕の言葉に速水先輩は、何てゆーか微妙な顔になった。
人の好みだ、勝手にさせてほしい。聖子より明菜派なのだ、僕は。
今まで読書に没頭していた田口先輩がふと顔を上げた。
「アキナって中森明菜? 名前しか聞いたことない」
「うっわ。去年と一昨年とレコ大取ってるのに、全く聞いたことないんですか?」
「多分」
「行灯らしいな」
だーかーらー。
どうしてそこで顔が緩むかなぁ、速水先輩は。
十中八、九、「世間知らずなトコが可愛い」とか思ってんだろうな。
可愛いか? 僕は田口先輩の浮世離れっぷりが心配になるぞ。
「あ、聴きます?」
僕は右のイヤホンを田口先輩に差し出した。
ちょうど、曲が噂のレコード大賞受賞曲になったのだ。
片っぽしか差し出さなかったのは、僕もその曲を聴きたかったから。
「ん」
イヤホンを受け取った田口先輩は素早く左の耳に突っ込んだ。イントロが終わって、サビ始まりの第一声が鳴る。
左に残ったイヤホンだけでは音が聴き辛い。ベース音ばかりが残っていて、女性にしては低い声が味わえないのがちょっと残念だ。
田口先輩が身動ぎしたので、イヤホンが引っ張られた。左耳用のイヤホンを僕は右耳に突っ込んだ。
更に、距離を詰めればお互いが楽になることに、僕と田口先輩が気付くのはほぼ同時だった。
双方が顔を寄せ合う。麻雀卓の一コーナーで、僕と田口先輩は頬擦りできるほどの距離まで接近する。
そこで顔を上げれば、やっぱりだった。
速水先輩が唖然とした顔をしていた。
僕はにやりと笑った。
当然ながら田口先輩は気付いていない。
僕の笑いに気付いた速水先輩が、たちまち眉を吊り上げた。
怒鳴りたい……けど、怒鳴れないんだろうな。田口先輩の前でそれをやったら、田口先輩が僕の味方に付くのが目に見えているから。
そりゃそうだ。
田口先輩は、何で速水先輩が怒るんだかがそもそも解っていない。結果、速水先輩の怒りは理不尽にしか見えないわけで、当然理不尽に怒られた後輩の味方に付くに決まっているのだ。
ああでも、そろそろ限界かな?
速水先輩が腰を浮かして、手を伸ばしかけた。
多分、イヤホンを毟り取ろうっていうんだろう。断線したらヤだなぁ。
「何やってんだ、顔くっつけあって?」
意外なところから僕にとっては救いの声がした。
島津先輩だ。授業が終わったらしい。終わって即行来るのが雀荘というあたり、真面目な島津先輩も立派な麻雀狂いだ。
「あ。彦根のテープ聞かせてもらってたんだ」
「ふぅん。何?」
「中森明菜」
「明菜ぁ? お前そーゆう趣味だったの?」
……速水先輩といい島津先輩といい、何でそんなにけったいがるんだ。
とにかく島津先輩の登場で、速水先輩は気勢を削がれ、僕のウォークマンは破壊を免れた。やれやれ。
腰を浮かしかけていた速水先輩がどっかりと座り直す。それで早速田口先輩にちょっかい出す辺り、もうどうしようもない人だ。
島津先輩は僕と田口先輩と速水先輩を等分に眺め、わざとらしく長い溜息を吐いた。
「あんまり速水をイジメてやるなよ、彦根」
「して、その本心は」
「速水に八つ当たりされる俺の身になれ」
「…………そんなトコだと思いましたけどね」
島津先輩の同情なんて、その程度ってことだ。
性質の悪い後輩といい、自分本位な同期友人といい、鈍感な片思い相手といい。速水先輩も対人関係に恵まれていないことである。
しかし性質の悪い後輩の僕は、当面速水先輩を突くのを止められるものではなかった。
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COMMENT
初めまして
初めまして、シラユキと申します。
バチスタサイト巡りをしていて参りました。
素敵な小説がたくさんあって嬉しかったです。
すずめ四天王大好きなので揃い踏みの姿が見られてよかったです。
彦根にはこうあってほしいなという理想な感じでした。
次回の更新を楽しみにしています。
これからもがんばってください。
バチスタサイト巡りをしていて参りました。
素敵な小説がたくさんあって嬉しかったです。
すずめ四天王大好きなので揃い踏みの姿が見られてよかったです。
彦根にはこうあってほしいなという理想な感じでした。
次回の更新を楽しみにしています。
これからもがんばってください。
Re:初めまして
え? 明菜派でもですか?
す、すみません。挨拶すっ飛ばしで。
改めまして。初めまして。御来訪&コメント有難う御座います。
シラユキ様のイメージする彦根くんに少しでも近いと思っていただければ有難い限りなのですが、ネックは上のアレです。そもそもご来場の方は、明菜と聖子っつって解るんでしょうか?
でもな~~、すずめ四天王ってみんな、聖子より明菜派な気がするんだよな。イヤ、強いて二択をすればって話ですが。敢えて言うなら、行灯クンが聖子派かもしれないが……。
ウチの更新が早いのはブログに一発書という簡単さ故です。思いつきで書くから突飛な方向へ突っ走ったりもするのですが……次はどうしよう? ネタのストックが尽きるまで頑張りますので、またお立ち寄り下さいませ。
す、すみません。挨拶すっ飛ばしで。
改めまして。初めまして。御来訪&コメント有難う御座います。
シラユキ様のイメージする彦根くんに少しでも近いと思っていただければ有難い限りなのですが、ネックは上のアレです。そもそもご来場の方は、明菜と聖子っつって解るんでしょうか?
でもな~~、すずめ四天王ってみんな、聖子より明菜派な気がするんだよな。イヤ、強いて二択をすればって話ですが。敢えて言うなら、行灯クンが聖子派かもしれないが……。
ウチの更新が早いのはブログに一発書という簡単さ故です。思いつきで書くから突飛な方向へ突っ走ったりもするのですが……次はどうしよう? ネタのストックが尽きるまで頑張りますので、またお立ち寄り下さいませ。
わーい
学生彦根クンだあ!
同期3人組を一歩引いて見てる感じがいいんです。先輩達より大人な感じで。しかし、将軍って本当に行灯クンがお気に入りですよね。(伝説を読んでひしひしと伝わってきました。)これからも彦根クンにカラカワレテ下さい。しかし中森明菜を知らない行灯クン。ありそーです。
同期3人組を一歩引いて見てる感じがいいんです。先輩達より大人な感じで。しかし、将軍って本当に行灯クンがお気に入りですよね。(伝説を読んでひしひしと伝わってきました。)これからも彦根クンにカラカワレテ下さい。しかし中森明菜を知らない行灯クン。ありそーです。
Re:わーい
こんばんは。コメント有難う御座います。
以前にリクエスト頂きました学生彦根視点に挑戦してみましたですよっ。楽しんで貰えて何よりでございます。彦根ツッコミ属性確定。
行灯先生は最新流行歌は知らないでしょう。今も昔も。
多分知ってるのは、「父や母が好きな演歌」「従兄がハマってたキャンディーズ」「従妹が踊ってたピンクレディ」とかそういう、10年くらい単位で古い歌だな。歌番組も見なさそう。
「伝説」は萌えどころたくさんありましたねー。そのうち伝説妄想文もやっちゃうぞってなモンですよっ。
ではではっ。また覗いてやって下さいませ。
以前にリクエスト頂きました学生彦根視点に挑戦してみましたですよっ。楽しんで貰えて何よりでございます。彦根ツッコミ属性確定。
行灯先生は最新流行歌は知らないでしょう。今も昔も。
多分知ってるのは、「父や母が好きな演歌」「従兄がハマってたキャンディーズ」「従妹が踊ってたピンクレディ」とかそういう、10年くらい単位で古い歌だな。歌番組も見なさそう。
「伝説」は萌えどころたくさんありましたねー。そのうち伝説妄想文もやっちゃうぞってなモンですよっ。
ではではっ。また覗いてやって下さいませ。
お疲れ様でしたvv
こんばんは~お邪魔します
一ヶ月お疲れ様でした。とうとうゴールですね!苦しい記念日もあったようですが、とても楽しかったです!ありがとうございました。
12月の企画も楽しみにしております。私もリクさせていただこうかな…なんて(苦笑)
一ヶ月お疲れ様でした。とうとうゴールですね!苦しい記念日もあったようですが、とても楽しかったです!ありがとうございました。
12月の企画も楽しみにしております。私もリクさせていただこうかな…なんて(苦笑)
Re:お疲れ様でしたvv
いらっしゃいませ、コメント有難う御座います。
こちらこそ1カ月のお付き合い、有難う御座いました。
>苦しい記念日
アレとかコレとかありましたねえ……今となってはいい思い出です。
でももう一回、別ネタを捻り出せと言われても多分出来ないだろうな。
12月企画も宜しくお付き合い下さいませ。どんなカンジになるか、まだ未知数です。
こちらこそ1カ月のお付き合い、有難う御座いました。
>苦しい記念日
アレとかコレとかありましたねえ……今となってはいい思い出です。
でももう一回、別ネタを捻り出せと言われても多分出来ないだろうな。
12月企画も宜しくお付き合い下さいませ。どんなカンジになるか、まだ未知数です。