childhood again・３

サイトを更新しています。
12月下旬分を再録。将軍行灯が二つ、長いの二つ、小ネタが一つかな？
12月28日付のなゆた様サイトGravityの女体行灯パロは微妙なので再録から外しました。まず、何処へ収納すればいいかが解らないという点。


では、なーんにも考えてない連載その３。
将軍と行灯の子守りスキルって似たり寄ったりだと思うな。
子供と遊ぶという点では将軍のが上。行灯先生はナメられがち。
食事や実際の生活、おねむの時間とかは行灯先生の方が上だと思う。
子供あしらいが一番巧いのはやはり魔人なのでしょう……その魔人を小さくしたのは失敗だったか？
やはりなーんにも考えてなかったようです。

大胆にも東城大へ行こうと言い出したのは、やはり速水だった。

「げっ」
「いいのかなぁ？」

田口は首を傾げるが、代案があるワケでもないので強く反対も出来ない。
島津は盛大に顔を顰めた。

「俺だってバレたらどうするんだ！」
「別に？　つーかさ、バレて困ることってあるか？　黒い組織に追われてるワケでもなし」

異議を唱えた島津に、速水の返答はあっさりしていた。
どこまでもマンガの話から離れていかない。
速水の言葉に田口も首を傾げた。

「……人体実験の材料にされるとか？」

単純な発想だが、無いとは言い切れない。
手術台と電極というステレオタイプな想像をして、島津は背中を震わせた。
そして、こういう時に限って思い出してしまうのが医療倫理というヤツだった。
研究の名目の下、倫理に抵触する行為が、云々。
怖い発想に至った頭を大きく振って、島津は妄想を追い払った。
口元に手を当てて考え込むように田口は呟いた。

「それならいっそ、最初から病院長に保護を求めた方が安心かな？」
「だろ？　休むにしてそのまま仕事するにしても、狸院長に話を通した方が簡単だろうしな」

田口と速水の間で話は淡々と進んでいく。
当人を放置して結論は出たようで、二人はくるりと揃って島津を振り向いた。

「つーことで、病院行くぞ」
「へいへい、わーったよ」

反論の隙間など無い。
速水の宣告に、島津は投げやりな口調で頷くしかなかった。



子供服を着込んで、島津は速水や田口と東城大病院へ向かった。
子供服を用意する時がまた大変だった。
当然ながら、田口の家に子供服の用意はない。
サイズもよく解らなかったので三人で大型衣料品店に赴いたのだが、面白がってやたら可愛い服を着せようとする速水に、島津は全力で抵抗する羽目になった。
田口の家の最寄りの衣料品店がユニ●ロでよかったと、島津は心底思う。
他だったら、ヒーロー物やキャラクター物のトレーナーなどを着せられていたかもしれない。

「遠い…………」

田口の家から東城大病院は徒歩圏だ。
だが、子供の足では結構かかる。
足を止めると尚辛くなりそうで、島津は溜息を吐きながら歩いていた。
そんな島津をちらりと見下ろした速水が、ひょいと島津を抱き上げた。

「速水っ？！」
「お前、おっせーよ」

島津は思わず声を上げる。
田口も、速水の唐突な行動に目を丸くしていた。
速水はうんざりした顔で、突然の行動の理由を説明した。

「仕方ないだろ、子供なんだから！」

島津も反論はしたが、正直かなり楽である。
もぞもぞと動いて落ち着く場所を探すと、速水の肩に捕まって大人しく運ばれることにした。
少し横を向くと、速水の横顔がアップで視界に入る。
ハッキリ言って照れくさい。
敢えてそちらは向かず、速水の肩越しに後ろの地面ばかりを見ていた。

「子供を抱いてる親って、子供を甘やかしてると思ってたけど違うな。面倒くさくなっただけだ」
「お前の意見は極端だなぁ」

速水の呟きに、田口が呆れた顔で笑う。
何となくむず痒い雰囲気に、島津は速水の腕の中で身動ぎしたのだった。